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今週の儲かる繁盛店の視点 第209話:「難題こそ人時生産性向上の最大のチャンス」

「先生、ご指摘いただいた 長時間労働の問題ですが 思ったより根が深く早く、取り組んでよかったです」

改革プロジェクト推進中の経営者の一言です。

特定の売場で、毎月100時間近くの時間外労働が発生していました。

――――これは、店舗ではできないので、会社が主体となって、解決する体制をとってください。とキッパリ申し上げました。

店舗業務改革というと、現場レベルで出来るコトと思われがちですが、それは全くの間違いであり、その一つである残業問題もしかりです。

まずは、経営が業務改革に対して、主体的に考え、意思決定をしていかなくては、何一つ変えることはできません。

残業をやっていた、ご本人は一生懸命やっている。ことは明らかで、問題なのは、それまで、現場に任せきっていて、その業務内容をだれも把握していないことにありました。

店長で解決できる問題であれば、とうに解決出来ているはずですが、できないということは。会社として解決にあたらねばならないということです。

その際、最も注意しなくてならないことは、

最初に「現場にどうしたらいいのか?と聞いてはならない」ということです。

「え!伊藤は何をいっているのか」とお思いの方もいらっしゃると思いますが

まずは、経営が考えた答えを用意してこれを機会にさらに良いものに、発展成長させていくものにする。

そして、この従業員の方に気づかせてもらったことに感謝をすると同時に、今後の対応策として「このように改善していきたい、どうであろうか?」という聞き方をしていかなくてはならないということです。

つまり、単なる一過性の問題解決ではなく、将来的に発展させていくプランをつくり、それに対して、意見を求めていくということです。

そして、この時、経営として、やるべき3つの方向性が確認されました。

1つ目に、これまで 調査してきた品出しや加工数量数値に基づき、本来必要である時間を設定し、作業の指示書を作成し、経営と現場のギャプを修正していく。

2つ目には、この発見が遅れた原因が、リアルタイムに経営としてそれを掴むシステムが無かったことから、勤怠システム更新が決定されました。

3つ目に、さらに業務量を減らすために、経営として、非効率業務をこの部門から優先的に取り組むことが盛り込まれ、この3つの計画をもって、本人と面談をすすめていくことを決定しました。

残業問題は、現場の問題と思われがちですが、こうして経営主体で導き出す、解決プロセスが最も重要であるということです。

企業として 業務改革を進める為に、業務改善とその投資概要について、方針をその場で明確にでき、一つの問題から様々な方針が打ち出せたといえます。

人口減少,少子高齢化により、これまでの人に頼るやりかたを 見直すことなしに、利益回復は見込めない時代に突入しています。

これからは、そういったことに時間の掛けるのではなく、もっと収益のあがることに時間をかけていくことが重要であると言えます。

一方では、経営として今後、この売場に対し、作業指示書通りに進めてくれるかどうかを、しっかり見ていかなくてはなりません。

というのは、人の習慣とは恐ろしいもので、長年そのサイクルで仕事をしつづけると、仕事があってもなくても、同じ時刻に出社し、同じように着替え、同じように売場に立ってしまうものだからです。

先日も、別のチェーンでは、自動発注に移行したはずの売場のパートナー社員が、発注端末を持って何やら発注をされているのを見受けました。

――――何をされているのですか?とお聴きすると

「自動発注の精度が良くないので、毎日発注修正をしている」とのこと。

これでは、いくら自動発注にしても、皆が発注端末をもっているようでは、意味がなく、投資回収をもすることもできません。

現に、こちらのチェーンでは、自動発注導入後も人時売上は一向に改善していません。

自動発注を単に、売上アップという側面でしかみなければ、その効果の半分も回収できないことになり、実にもったいないことと言えます。

そもそも、自動発注を導入したならば、各店舗4~5人いた発注担当の人は、その業務が不要になります。

仮に、1日1時間発注業務にかかっていたとして、5人いれば5時間で店舗週30時間分の余剰がでて、その分は他で活用することができるはずです。

年間150万円のコストを他の収益拡大業務に、振り返ることができます。

これが10店ならば年間1500万円になるわけで、この経費を本部に振り替え、自動発注を推進する専門チームを設定することで、生産性は着実に倍増させることが出来ます。

自動発注といっても、全自動洗濯機のようにスイッチ一つで動くものではないことは、皆さんお分かりのことと思います。

しかし、精度が低いからといって、それを手作業で発注しなおすのでは、倍の時間をかけることになります。

大事なことは、個人に頼る発注修正ではなく、品切れ件数という別角度で目視確認し、それがどうなっているのかを自動発注担当部門に伝え、仕組みとして精度をあげていくことです。

機械がやるとこは機械に任せ、それが異常値を示したときに、人は動くと言う流れになります。

成長チェーンに共通していることは、先の残業問題であったり、発注問題というシステムからアウトプットされる警報に対して、とるべき行動が決まっていて、そこを修正していくマネジメント体制をとっているということです。

さあ、貴社では、まだ1~10までの個人任せの仕事をさせつづけますか?それとも収益を落とす警報に対して行動するしくみになっていますか?

今日も最後までお読みいただきありがとうございました。


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