今週の儲かる繁盛店の視点 第70話:「筋肉質チェーンとそうでないチェーンの違い」
第70話:「筋肉質チェーンとそうでないチェーンの違い」
「イトウサン、ムダな作業ってどういうのがあるんですか?」
—-少し前に ご相談にお見えになった、スーパーマーケットチェーンの経営者の声です。
チェーン店経営に於いて 創業から頑張ってやってきたけれども、売れていた時代から人口減の時代に変わり、店舗業務改革は避けて通ることはできません。
しかし、実際に何をどうすれば いいのか見えずらく、悩まれておられる方が多いのも事実です。
業務改革は遅れると、現場から「対応が遅い」「口先ばかり」「何もしない」と本部は言われ、店舗の士気は一気に下がっていきます。
実際に お店に入ってある視点で一緒に見ていくことで 発見できるムダはたくさんあります。
その1つに、業務一つ一つの 目的がはっきり決まっているかどうかということです。
お店に行かなくても、店舗業務を書き出してあるものがあれば、その目的を確認してみることができます。
そこから、以前は必要だったけれども、今は必要ない作業やコストあることに気づきます。
例えば、冷蔵ケースの設備保守費です。万が一故障した時に即座に復帰させるための定期契約です。
かつては、大量に商品陳列するのに 人手が必要であったため、冷ケース霜取りや清掃は保守委託していました。
今は、販売点数が下がってきているわけですからその余剰人時を 設備保守と計画販売に活用することにより、改善幅はより大きくなります。
大事なことは、ムダなことを止めるだけでなく、そこで生まれた人時を 目的ある業務に転換していくということです。
一方では、止めることのできない業務もあります。
品だしなどのルーティン業務は、その1つで、最も早くできる方法見つけていかなければなりません。
例えば、冬に入る前にスタッドレスタイヤに交換する時、「タイヤ交換を最も速くやると何分何秒できるのだろうか?」と考えて見てみれば分かります。
まず、自分でやるか?ガソリンスタンドへもっていくか? 自分でやるなら、ジャッキが使える安全な場所は?・・・
いろいろお考えになると思います。
ここで重要なのは、「今までの枠に捉われない」で考えるということです。
ネットで調べると、タイヤ交換の最速時間は「2秒」ということです。
え?と思われると思いますが、事実です。
これは、直近のF1レースタイヤ交換のタイムです。
かつては、給油の15秒ぐらいの間にタイヤ交換をすればよかったのですが ルール改訂で給油禁止となったことから、2秒という驚異的な数字となったのです。
F1チームの一番のネックであった給油が無くなったわけですから、燃費のよいエンジンやタイヤ、軽量なボディー改良が進んだのは言うまでもありません。
これによって、レース展開がわかり易く、エキサイティングになるなど 観客視点からも様々なメリットが叫ばれるようになりました。
お店の品出しなどは タイムを競うものではありませんが、現実に何秒かかっているのかということは 知っておく必要があります。
毎日1000ケース納品される店であれば、実際に1ケースを60秒で品出しするのを30秒に短縮することによって、1店年間300万円ものコストが変わってきます。
100店のチェーンであれば3億円にもなります。
チェーン店でいえば、効率のよい作業計画やツールを改良し、手際よくやるための 練習も定期的に行わなければ遅くなります。
チェーン経営もF1の世界と同じで、この数秒をどう短縮するかが明日の利益に直結するのです。
そのためには、日々の業務目的を明確にし、余計な作業をやらない 筋肉質な本部機能をつくりあげることです。
さて、御社でも 従業員が「今こそやるべき」と絶賛する 業務改革を始めてみてはいかがでしょうか?
今日も 最後までお読みいただきありがとうございました。
●「コラム更新をお知らせいたします」
ここから簡単登録。メールアドレスをご登録頂くと、コラムの更新時
お知らせメールをお届けします。最新号をお見逃しされないために
是非ご登録ください。