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今週の儲かる繁盛店の視点 第227話:「人時売上の活用で成長するチェーンと失敗するチェーンの違い」

「先生、店長が日々チェックする数値帳票を作りたいのですが?良い見本はありますでしょうか?」とあるチェーンの経営者からのご相談です。

―――貴社では、毎日、店長が確認すべき業務項目は 決まっていますか?

「売上概算ぐらいで、これといったものはありませんが…」 

―――確認すべきは、売上概算ではなく、人時売上です。これなくしては店長の作業スケジュールは出来ません。とハッキリお伝えしました。

チェーン経営で生産性を上げていくためには、だれでもわかるように、利益を増やす手順が伝えられ、店長はその業務に時間を引き当てていくことになります。

理由はシンプルで、店を切り盛りする責任者の行動が、不明確で、ムリ、ムダがあれば、店舗の全従業員の人件費のムダに、使われることになるからです。

出社して、パソコンを立ち上げて、売上を出して、売場毎の予算達成状況を拾って読み込んで…、なんてやってますと、すぐに時間が過ぎてしまいます。

先のチェーンでは、朝一で売上実績はでるものの、その他は、帳票を引っ張り出し、別データを手計算で集計しなくてはなりませんでした。

朝の一時間は特に貴重です。一日の物量を開店時までに、品出しが完了しなくてはなりません。ここで出遅れると、チャンスロス、商品ロス、作業ロスを招くことになりかねないからです。

一方で、店舗の人時生産性を引き上げているチェーンでは、販管費を引き下げ、粗利を上げる方法が決まっています。

販管費と粗利が時系列に表記され 誰でも理解できる、帳票が自動で出力されます。

ザックリ申し上げれば、収益をどれだけ引き上げ、ロスをどれだけ小さくするか?この二つを改善するための、KPIの実績数値が示された情報ツールです。

そこには、店長が出勤したら、すぐ行動すべきこと書かれているので、朝一番に店長の机の上にあることがポイントとなります。

例えば、昨日の人時実績はどのくらいで、それが、部門別にわかる。とか、日々の最大値下げアイテム、品切れ件数といったものです。これが分かれば、日々の人時生産性の状況が一目でわかりやるべきことが指示できます。

「人時売上なら 月に一回は出してる」という声も聞こえてきそうですが

人時売上高とは、一人当たり時間作業量のことで、人時生産性に欠かすことの出来ない数値です。

人時生産性の改善手法は、いろいろとありますが、最低限必要なのが、日々の人時売上目標が設定されているということです。

そこに、人時売上実績が、日々自動で更新され、アウトプット出来るようになっていることが最初となります。

なんでもそうですが、月間の目標を達成するのに、月一回の月次実績しかでないようでは、途中進捗管理は出来ません。

毎月一回しか人時実績が出ないという、無策な決定を誰が決めたのか?確認をし、直ちに修正すべきと断言します。

「日々の人時売上が出ても、それをどうやって使いこなせばいいのか」という声も聞こえてきそうですが、

おっしゃる通りでして、人時売上というのは、その時々の売上や作業内容によって大きく変わってくるのですが、目に見えないため、どこから手を付けたらいいのか分からないのです。

そのためには、どの業務項目に時間がかかっているのか?という実態を把握し、要因を探り当てなくてはなりません。

どこのチェーンでも、商品の棚卸はやりますが、ここで申し上げているのは業務項目の棚卸です。これを定期的にやっている企業はまだ出会ったことはありません。

今後、人時生産性を改善に取り組んでいかれるのであれば、売上対比10%以上を占める人件費の実態を把握することが、喫緊の課題であることは言うまでもありません。

これまでのように、ゆったりとマイペースの速度で業務改善をしているのでは 少子高齢化による 上がるコストに増えない売上には対応ができなくなりつつあります。

それは歩く速度から、駆け足でというレベルではなく、自動車の速度で移動することになります。自働車移動となると、教習所で学科と実技を習って免許を取得することから学ぶことになります。教習所では単に車を動かし方だけではなく、交通ルールを熟知しなくては公道を走ることはできません。

人時生産性も同じで、仕組みや、システムについて本で読んだ程度知識があっても、その用法やルールなくしては、その多大なメリットを享受することは出来ません。

それどころか、誤った使い方をすれば、人件費がすぐに上昇するといった損害を被ることになります。

一旦、人時売上を活用し始めると、ワンクリックで、何もかもわかり、結果がわかるため、経営の決断が速くなり、現場が動かない原因も、迅速に解決できます。

しかし、「今は資金的に余裕がない・・・」とか「他にもやるべきことが先にある」と 取組まない理由を、探し回る経営者も多くおられるのも事実です。

企業によって考え方があるので とやかく言うつもりはありませんが、こういった 経営者は、たとえ時間や資金があっても、絶対に「業務改革」はやらない。と断言します。お金があるとか、時期の問題ではなく、それは成長しようとする経営意思の問題だからです。

業務改革による人時生産性の改善に着手しない限り、企業業績と社員給与は下がり続けます。本気で改革しようと考える経営者なら、借金をしてでも業務改革に投資するはずです。

人時生産性は、その活用法やルールを設定するのには、時間を要します。前職時代でも、それを活用できるようになるには、長時間かかったのを昨日のことのように覚えています。

時間がかかった要因は、商品やPOP,チラシ、売場といったものと違い、店舗運営の業務改革は一見して外からは全く見えにくいという点があげられます。

人間は本能的に、見えないものは、やる云々以前に、信じることすらできないものです。

そういう意味では、経営として、業務改革でしっかりとお手本を作り、誰でもわかるように準備をしなければ進むことはできません。

人時生産性とは、業務改革です。固定概念を取り除くため、経営としてこれまでやってきたことを、抽象化し、あるべき姿をイメージし、それが、どのような現場にマッチするのか説明していくことが必要になります。

見えにくいものだからこそ、自社のものにしたとき、それは個性を発揮し、誰にもまねされることのない、強固なチェーン経営基盤が、出来ると言えます。

顧客視点と称して、見えるモノしか評価されないのは世の常ですが、商品、販促、施設といった見えるモノばかりを変えようとすればするほど、コストが増大し長続きできなくなります。

断っておきますが、決して見えるモノすべてが、ダメと言っている訳ではありません。

そういった取り組みをするためには、資金が必要であり、標準体の、低いコストで利益が出せるようにすることが、まず最初にやるべきことになります。

人時生産性が上がる仕組みとは、人時売上指標に紐づいた、個別目標と、やるべき項目を決めるのことで 経営も店舗も無駄なく動くことが出来るのです。

さあ、貴社ではまだ、売上だけの為に行動し続けますか?それとも人時売上で、全社で業務改革に取組みますか?

 


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