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今週の儲かる繁盛店の視点 第246話:「業革で成果を出せるチェーンと出せないチェーンの違い」

「先生、いい話、ありがとうございました。社にもどり会長と導入について検討します」 先日のセミナーにご参加になられたとあるチェーンの社長の一言です。

業務改革の仕事というのは、やりがいがありますし、プロジェクトとして、成果が出せた時は本当に嬉しいものです。

しかし、こうして口で言うのは簡単でも、実際にやるとなると、想像以上に大変なものです。

なんといっても これまで、歴代経営者が決めてきたことを「これは無駄なので見直していきましょう」という仕分けをやっていくことになるからです。

どこでもそうですが、歴代社長が、会長や相談役として一線からご引退されたからといって、そのやり方や慣習が自動的に新しいやり方に変わるわけではありません。

2代目3代目の社長として「人時生産性を上げたい」と思っていても、社長自身が何かひとつでも、変わることを起こさない限り、1年365日、同じやり方は繰り返され、混沌とした状況を回復させることはできません。

言い方を変えますと、変わる事を選択した社長の企業だけが、明るい未来を手にする。ということになります。

それゆえ、多くの経営者が変わる方法や仕組みを求め、ご相談にお見えになる機会が日に日に増えております。

「業務改革を自社でやると、なぜうまくいかないのか?」とか「失敗しない為に何に気をつけなくてはならないのか?」はたまた「業務改革にはどのくらい資金は必要なのか?」といったことまで、社長としての悩みは尽きません。

ご相談にお見えになる方に共通点としていえるのが「手詰まり感」です。売上を上げる為やるべきことはやっているのだが、結果がでず時間切れでなすすべがない。といった類です。 

なんでもそうですが、目の前の具体策ばかりを講じていると、戦略づくりはやがて、手詰りになっていくものです。そのため 課題を一度抽象化し、実際に活用できるように切り口を見直し、骨格を組み立て直していくことからはいっていかなくてはなりません。

「具体的な話じゃなければ、現場に落とせないのではないか?」という声が聞こえてきそうですが、

ビジネスには学校の勉強と違い正解はありません。過去問題が解ければ、この先の課題がすべて解けるということはないように、全てが応用であり、全て実践で仮説と検証をたてて結果を出すことが必要です。

そういう意味では「効果がでない過去の具体策」をやり続ければ、続けるほど、泥沼と化し、解決どころか、状況は悪くなる一方です。

これまで通りのやり方で、利益が出なくなってきた。という危機的状況から脱する為には、こうしたがんじがらめで動けなくなっている具体的事象を 一度抽象概念に置きかえ、そもそも利益を最大化させるにはどうあるべきか?といった一段高いとこから見据えて、解を見つけ出していくプロセスが必要となります。

経営として、こういった抽象化プロセスは 構造的な改革には大変重要なのですが、かつて長年の人口増によって、自己流のやり方や、表面的な課題解決研修のような付け焼刃のやり方でも、売上維持ができた時がありました。

「なんでも具体化していくことが課題解決の近道」とばかり、深堀りをしないで答えだけをだすことに慣れてしまうと、本質的なことを考えることができなくなってしまうのです。

多くのチェーンで 伸びていくチェーンと、ジリ貧となっていくチェーンの違いは まさにここにあります。

このような、深化の時期を経て、企業が強固な存在に昇華するプロセスは大変重要です。それは、経営者自らが動き外部ノウハウを集め、実践していくなかで、培われていくものだからです。

企業として、早期にそういった取り組みをしなければ、やがてドメスティックで排他的な企業体質となり、脱皮しない蛇のごとく殻を破ることができず 成長どころか自らを死に追い込むことになりかねないとうことです。

一方で、数年前より、こういった思考法を徹底して社員に伝え続け、業務改革を推進し、人時生産性を更新し続けている企業もあります。

少子高齢化が深刻化している地方都市で展開するこちらのチェーンは、ある意味待ったなしの状態が目前に迫っていました。

社長自らインターネットで検索し、自分の目で確かめ、費用対効果が獲れ導入できるかどうか、確認の意味で弊社セミナーに出席されました。

今でも、その時の出来ごとがとても印象的で、よく覚えているのですが、セミナー半ばの休憩時間に、演台に歩みよられ、「先生、ちょっといいですか?このプログラムでいいので、2コマずつ進めていただくことはできますか?」という質問をされたのです。

ようするに、2倍のスピードでプロジェクトを進めて欲しい。と言っておられることがわかり、思わず、

――――大変結構なことですが、大丈夫でしょうか? とこちらが 引いてしまったくらいです。

「すぐにでも取り組まないと間に合わない、考えながら体で覚えていきます。」と真剣な眼差しで言われ、

異例の、個別スポットコンサルティングなしで、キックオフをするという超ハードスケジュールで、プロジェクトはスタートしたのです。

「人についた仕事から 仕事に人をつける」という社長の号令のもと、この企業の得意分野であった商品発掘力を活かし、利益を見いだす仕組みを強固なものにするにはどうすべきか?という観点で作り直していったのです。

社長曰く、「どうしても目新しい商品ばかりに、注目しがちですが、人時生産性が上がらなくては、何もできないということがハッキリしました。まだまだ、道半ばです」と、いつも謙遜されますが、その改革のスピードと情熱が、社員の心を動かし成果となって表れているのは紛れもない事実です。

こうした早期の取組みが、企業としての選択肢を増やし有利に戦える活路を拡げるのは間違いのない事実です。

「社に戻って…」「前向きに…」「いろいろ検討して…」といったこと無意識に口にし、社長ご自身が「先送り」のオーラを少しでにじませれば、社員の士気は下がり、人口減の市場で選別を受けることになります。

人口減の時代では、チェーン企業の間で、一層の選別と淘汰が進み、より良いサービスを提供できる企業のみが活躍できるようになり、世の中がより快適に住みやすくなります。

個人の自由に仕事をさせて、利益がとれた時代は終わりです。これからは、企業が新たな価値を創り上げていくために、仕事に人をつけた収益改善の仕組みをつくり、再生力を高めることは必須となります。

さあ、貴社では、まだ「前向きな検討」に時間を割き、市場の選別に身をゆだねますか? それとも業務改革の前倒しで活躍できる未来を手に入れますか?


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