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今週の儲かる繁盛店の視点 第282話:「本部の応援を受け、店はやるべきことを完全実行する。その時、会社は儲かっているのだろうか? 」

「ここの売場は、本部から支援をいただいているので、人時生産性はあがっています」とプロジェクト店舗の店長の報告です。

社長からの指示で、人が集まらないので、本部スタッフが売場づくりに午前中に、応援にはいっているとのこと。

―――いつまで、その補助制度を続けるおつもりでしょうか? 伊藤は申し上げました。

公的補助金にも期限はあります。急遽人が足りなくて、数日ならまだしも、単に、本部のおひざ元というだけで、SVやバイヤーが1カ月以上支援に入れば、店は依存し、考えなくなります。

病院に1週間入院し、ベッドで寝たきりの状態になると、いざ動こうとしてもフラフラで歩けなくなります。復帰するには、リハビリプログラムで、筋肉を慣らしていくことが必要になります。

店舗支援も同じで、開店や改装時に本部支援を受けてしまうと、誰しも「支援打ち切り」と言われたとたん「また 元に戻ってしまうのか・・・」もう少し伸ばせないものかとズルズルとなってしまうのです。これを抵抗なく、自分たちで回せるようにしていくのに欠かせないのが、作業指示書となります。

店舗責任者は、それをもとに作業がすすめられているかどうか、日々確認していくことになります。

言い換えますと、その指示書の書かれた通りに各自が作業を行うことで、粗利も確保でき、時間通りに作業は完了するように移行させていくということになります。

よくあるのが、「作業指示書を作って運用してます」という企業に限って、月残業50時間以上毎月やっている人が何人もいて、大抵そのワーストが店長だったりすることがあります。
よく見ると、特定の人に時間外労働が集中して、それが、総労働時間の10%以上にもなっている?笑えない状態にあるということです。

こちらの企業の名誉の為に申し上げておきますが、決して手を抜いているわけでなく、一人一人、誰もが真面目で、何とかしなくては…と思い頑張っても結果の出ない、実にもったいない企業だということです。

「店長の残業はつかないのでは・・・」という声が聞こえてきそうですが?

管理職の残業がつく、つかない。という問題ではありません。本社員は給与制だからいくら使おうとタダという、ひと昔前の経営感覚は、もはや通りません。企業の必要利益を確保するために、店は何人時で店舗運営すべきか?ガイドラインを明確にしなければならない。ということです。

店長の中には、出社して、売場に片っ端から支援にはいることを「生きがい」とされておられる方もいますが、これほど生産性の低い店長はいませんよ。ともハッキリ申し上げています。

その姿を見た、部下は「店長は早朝から夜遅くまで、全ての作業ができる超人的な人」と誤解され、益々その企業への若年層へマイナスイメージを高めるだけだからです。

店長の仕事は何か? それは・・・支援に入ることではなく、作業指示書通りに全ての職場が回っているか?この確認をするということになります。

問題は、企業としてこの作業指示書が無いため、店長は忙しそうなところへ応援に入る作業レベルの仕事しかできないということです。

そこで決まっている唯一のことは、目の前の作業を、それぞれ自由なやり方でやるということだけです。

語弊を恐れず申し上げれば、どこの売場の収益が低いとか高いとか、可視化できる状態にないことから、店長の応援要員化を招いているということです。

作業指示書は社長が「やれ!」といってできるモノではなく、その目的や作成手順を理解し、運用に馴れるため訓練も必要となります。

人は、誰しも今のやり方を変えたくないものですが、パソコンもスマートフォンも、最初は使うのに苦労しますが、一度使いこなせるようになると、こんなに便利なものはないと思った時からもう手放せなくなります。

作業指示書も同じで、これらが使いこなせるようになると、もう、これがないと、店舗オペレーションの利益管理はすることができない。と誰もが思うようになります。

今までは、経営者と店長の願望であった、全体を俯瞰した作業の流れを把握するものがありませんでした。

それを キチンと作り上げることで、その通りにやれば、必要なものから品出しがなされ、全ての作業を時間内に納める形に近づくことができます。

前出の店長は、後始末をしてまわるのが店長の仕事となりますが、指示書のある企業の店長は、最初と最後に指示書を確認するのが仕事となります。
そういう意味では、店長が月に何十時間も残業することは、ありえないのです。

こういいますと、「うちは お客さんからの特注が多いから」という声が聞こえてきそうですが、

特注のお客さまは 何人おられますか?とお聞きすると

「えーと」と言葉に詰ります。

特注=時間のかかる顧客と思えば仕方ない。という発想になりますが、一定サイクルで買っていただける優良顧客と考えれば、お待たせせず、ご満足のいく買い物ができるように、企業として仕組みを構築しなくてはならないことは言うまでもありません。

大事なことは、特注だからといって、追加で人手を増やして対応するという考えから脱するということです。

そもそも、特注は、毎回購入していただける いわば連絡先のわかるお客様です。購買時期などを予測することも、こちらから早期ご予約承りの販促をかける事も出来るわけで、早期に受け渡し日が決まれば、作業指示書に組み込むことも可能となってきます。

お客さまが来るのを待って、動くから遅いのであって、そのため、いくら人手があっても足りないのです。

儲け損なってる企業というのは、売れないからダメになっていくのでではなく、こうした後追いが多く、なんでも残業で対応しようとするから儲からないのです。

そもそも、作業指示書がありませんと、繁忙期に本部から支援がきても、全く活かすことができません。
応援者だから、とりあえず忙しそうなとこに入ってもらえばいい。というのは人口が増えていたころの大昔の話で、今は、一分でも有効に働いてもらうため、作業指示書をもとに、来てほしい時間帯を明確にして支援を要請することで、企業全体の生産性を引き上げることができます。

ところが、店側が出す要望と、本部が支援に行ける日程が必ずしも一致しない為、せっかく本部支援を出しても、店にとって不要な日であれば、無駄な人員を受けてしまうことになります。

もう昔と違って、売上ピーク日に、本部のスタッフが休みを返上して、応援にいくといった。ブラック企業の代名詞的なやり方をやってる企業はないと思いますが、本部スタッフも店舗同様に、休みは取得しなければならないことに変わりはないからです。

そこで、経営がやるべきことは、本部からいく支援者に対して、レジ操作やギフトの承り作業といった基本スキルを身に着けさせる、事前訓練の場を作るという事です。

一定のスキルを保有した本部支援者であれば汎用性が高く、店側で予め作業指示書に組み込むことができるため、有効活用が出来るからです。

本部スタッフが支援に行く日数は、年に数日かもしれませんが、延べ人数、延べ人時に換算すれば、数百人時規模となります。本部社員は金のかからない応援ではなく、人時としてカウントし、店舗にコストを配分しなくてはならないのです。

今は、本部スタッフも同様に年次休を、消化しなくてはならないことから、各自の作業が滞ることになり、サービス残業や持ち帰り残業と言ったことを誘発することになりかねないからです。

冒頭のプロジェクト店舗だけの支援を続ければ、確かに、売場は出来上がり、表面上の店舗の生産性はあがります。一方で、本部のSVやバイヤーは、その分自分たちの仕事ができなくなります。これで、商品改廃計画が遅延し、全社の売上に影響が出れば、一店舗一売場のためとは比べ物にならないくらい影響力がでるということです。

店が自立し成長をしていくためには、こうした支援コストは受益者負担の原則がないと公平性を欠くことになり不満が蓄積します。

公平な環境で、店舗は自らを困る状態におかない限り、知恵は出てきません。改善は「困っている」ことがなければ誰も改善しようとは考えないものだからです。

パワハラ、ブラック企業、等が叫ばれ、様々な厳しい目が経営を監視する時代だからこそ、一人一人を尊重した「支援」を活かす仕組みが重要となってきます。

さあ、貴社では、支援をまだ 無料でお得な人員として考えていますか?それとも、経営改革のひとつとして、前進するチャンスと捉え動き始めていますか?


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