今週の儲かる繁盛店の視点 第308話:「生産性改善の最大の壁は○○!ここをブレないようにするのがプロジェクトでの社長の仕事」
「先生の本を読ませていただき、ニンジ生産性やらなくては!と前から思ってたのですが、これ、やるとなると、基本からお聞きしないとダメだなと思ったんですよ…」と とあるチェーン企業の社長さんからのご相談です。
聞くところによると、これまで、自社で何回も試みたものの、社内の抵抗に押し切られ上手くいかなかった。とのこと。
――――「ニンジ生産性」は、会社を発展成長させもう一段上のステージで優位な商売をしていけるようにするためのツールです。と申し上げさせていただきました。
わかりやすい例では、自動車の燃費をイメージしてください。と言っていますが、ひと昔前は、給油時に走行距離を給油量で割ると、リッターあたりの走行距離が分かるので、ちょっと運転が荒かったかな?と反省した方もおられるのではないかと思います。
今は燃費が常に表示されるので、常に燃費がどういう状況なのかがわかります。そこから急発進はもちろん、積みっぱなしのゴルフバックも「邪魔!」と言われる前に、まめにおろさなくては…と気づくこともしばしあります。
チェーン経営の人時生産性も同じで、今日は全部で何ケース納品があるから、それを品出しするのに、何人時必要なのか?とか、店内加工品は何パック作るから何人時必要?
といった具合で決めていき、日々どうだったか?と確認し目標に近づけていくことになります。
ところが、現実問題として、コロナ特需で売上が10%以上伸びてるにもかかわらず、緊急対応として未だに新規採用に動いておられないチェーン企業があるのには驚かされます。
予想だにしないお客様の来店状況、マスクに代表されるメーカー品切れ、ばら売りの自粛、清掃や衛生管理。ソーシャルディスタンス、また、ちょっとしたことに不満の声を荒げるお客さまに手がかかるようになっています。
こうしたことは、目には見えても、果たしてどれくらい企業の負担になっているのか?今後 これがいつまで続き、この先どうなるのか?
早くて3カ月、長引けば半年続いた場合、
店舗でそういった対応に耐えられる人は、・・・・・
そうたくさんはいないということです。
思い起こせば、つい半年前、人口減で売上は減り、人手不足で、きつい仕事は人材があつまらない状況がありました。年次有給取得義務化、残業時間削減が叫ばれている中、チェーン各社は採用難を極めていました。
そこでわかったことは
仕事の指示が曖昧で、いつ休みがとれるかもわからない職場を選ばなくても、働きやすい職業はいくらでもあるから集まらないことを痛感したということです。この上手くいかなかったことを繰り返してはならないということです。
今までであれば、売上が上がるのだから仕方がないといって、残業対応してきたものも、このまま、従業員が総倒れになってからでは遅く、なにはともあれ増員が急務になるということです。
ここで注意しなくてはならないことは、「売れてる」という理由だけで、何人必要といって、どんぶり採用していくということです。
どんぶり採用とは、作業指示書なしで、欲しいといわれた分だけ「人を採用する」意味です。
「非常時にそんなこと 言ってたら採用が間に合わない」という声が聞こえてきそうですが、
――――では、通常時必要なのは 何人ではなく何人時ですか?とお聞きすると
みなさん「うーん」と口籠られるのです。
ニンジとは、時間当たり作業量の意味です。
作業指示書なしに、頭数で採用すると、こういった非常時の人時売上がどのくらい必要なのか把握できないばかりか、いざ、特需終息後、売上が下がって作業がなくなったとき、人件費超過で大幅減益になりかねないからです。
社長自身が、この人時を上手くコントロールする術を知っておかないと、利益計画が全く見えなくなるということです。
こういったことを 回避するためには、これまでやってきた「売上中心経営」から 売上と人件費をひとつにまとめた 「人時売上経営」でその骨格をしっかり作り上げていくことが必要になります。
実際に、ご指導させていただいている企業では、仕事のやり方が全く変わり、ここ数年、売上が下がっても、この数値が大きく改善しているため、戦略資金を留保できるようになっているということです。
戦略資金とは、新規取り組みに必要な蓄えであり、有事の時の準備金です。人時売上数値を改善させていくことで、利益が安定し、従業員の信頼と、お客様の支持を得る大きなエンジンとなっています。
今「人時売上」と申しましたが、お手伝いさせていただいている企業は、みなさんほぼゼロからの出発でした。
・店長は朝7時前から出社し、21時過ぎまで働いている。
・欠員があっても 人件費オーバーするから入れてもらえないので不満だらけ。
・大人の対応と称した 暗黙のサービス残業の横行。
お手伝いさせていただいたいるK社もその一つでした。
月残業80時間はあたりまえ、労基署の立ち入り検査を受け、翻弄する毎日が続いていました。
今は、弊社が提供しているツールを使って、労基署に定期的に報告に行き、地域企業の模範となっています。
拙著 「儲かる個店力最大化のすすめ方」でも書きましたが、労基署は敵ではなく、こうした企業を救済してくれる最大の味方であり、その力を借りないというのは、税金を有効活用していない経営者と ハッキリ申し上げてます。
こういったことから、今、絶対欠かすことができないのが、人時売上経営なのです。
非常事態宣言が収束することで、人口減の市場に再び戻った時に向け、チェーン企業は、売上に対して人を配置するやり方から、作業量や物量に対して人を配置するという、新しい構造を作っていく事になります。
これによって、仕事のないところへの人の配置が不要になることから、不要な人件費の垂れ流しをくい止めることが出来、これが人時生産性の高い企業と、低い企業の大きな分かれ目となっていきます。
こういったことに必要となるのが、作業指示書であり、遠隔操作を可能とした人時割レイバースケジュールです。
詳しくはセミナー、オンライン個別相談でお伝えしていますが、ブレない経営のためにはこれは必須となります。
さあ貴社では、まだ、売上中心主義を貫きますか?それとも人時売上げ方式で、大きく道を切り開きますか?