今週の儲かる繁盛店の視点 第309話:「特需益の使い道が違う!金の使い方が下手な会社は、従業員の活用も下手」
「先生、このまま売れ続けるわけではないので、収束後について、ちゃんと考えなければと思ってまして…」と オンライン個別相談を受けられた とあるチェーンの経営者からのご相談です。
「コロナ問題収束後」を見据え、今、こうしたご相談が増えています。
かつては、売上が厳しくなりどうしよもなくなって、ご相談にお見えになる方が多かったのですが、最近は売れて、お金のあるうちに手を打たれたいという経営者が増えてきています。
拙著「儲かる個店力最大化のすすめ方」の中でも書かせていただいておりますが、現実的に収益が落ち込んでからでは、時間とエネルギーロスを覚悟しなくてはならない。という点に共感される方が多いようで、より早く動かれる傾向にあります。
今回のご相談も、数か月前からアポイントを頂いていたのですが、コロナ騒ぎでスケジュールが合わず、延期となっていました。
ところが、予想以上の特需となり、このままでは、人時生産性改革への取り組みがまた遅れてしまうことから「もう ビデオでも電話でもなんでもいいから、とにかく話を!」と ちょっぴりせっかちな社長さんが業を煮やされて、秘書の方から連絡をうけてのご相談でした。
この先、どうなり、いつ落ち着くのかは誰にもわかりませんが、動かなければ悪くなることはあっても、良くなることはありません。
そういう意味では直接お会いできなくても、ビデオ相談を通じ合意に至れば、構造改革に向け、仮説をたて、次の一手を講じていくことはできます。
振り返れば、数カ月前、客数減少よって売上は減り、採用単価上昇による、コスト増に翻弄されていました。
それが一転し、連日二ケタ近くの売上増が続いています。
「お子さん連れのお客を呼ぶやり方から、来店は一人で来てください」となり、
「午前中、夕方に売上ピークを見込んだ体制から、空いてる時間を知らせますのでその時間にご利用ください」に変わり
「滞留時間を引き延ばすイートイン機能が撤去されたり」と、今までやってきたことがすべてNG!となることが起きています。
店舗では、社員を感染源から守るための、マスク手袋の着用、飛沫感染防止シールドの設置やソーシャルディスタンスの設定。そういった顧客誘導や、入場制限といった、手間がかかる事が起きています。
こんな状況で、仮に発症者が従業員から出たら…。そしてこれが何か月も続いたら…、皆倒れてしまいかねないと危機感を感じ、各社、慌てて危険手当をだすといった動きにまで発展してます。
今、既存従業員のー助となるのは、手当もさることながら、急拡大した業務を人海戦術で応急措置をとっていくこと。と申し上げています。
しかし、経営者の中には、各社横並びの危険手当は出しても、人の採用となるとグッと口籠られます。
短期アルバイトといえども、時間給が高くなっていることから、一度採用してしまうと継続的なコスト増になるからです。
ここはひとつ残業と手当でなんとか…ということなのでしょうが、年末のような混雑が続いており、長期化することを想定しておく必要があります。
各社の考えがあるのでそれを どうのこうの言うつもりはありませんが、語弊を恐れず申し上げるとすれば、この期に及んで、新規採用ひとつ決断出来ない会社に、人時生産性改革は無理です。とキッパリ申し上げております。
理由は簡単で、今は、20年先に起ることが、一気に押し寄せ非常事態宣言が発令されてる事態がおきています。「コロナが収束すれば また 元に戻るはず」と楽観視しておられる経営の先に、企業の発展成長はない。といっても過言ではありません。
「では、どうすればいいのか?」という声が聞こえてきそうですが
実はこの事態を受け、やるべきことはそうたくさんある訳ではありません
今の状況が続くのが3カ月なのか、一年かかるのか誰にも分かりませんが、感染者が減少し、特効薬が使えるようになるまでの間と、その後がどうなるか?については、仮説を立て、検証もすることが出来るからです。
さらにその先には、もう一度パンデミックが起きたらどうするか?と
今やっておくべきことはこの2点であり、特効薬普及までの間の人海作戦と、再び起きた時に備える、2つに対し資金を投じる必要があるということです。
今回多くのチェーンで、緊急採用の募集が出来ていないのは、非常時に必要人時はどれくらいなのか?即座に算出できる仕組みがないことが最大の原因だとされてます。
例えば、入場規制を実施するとしても、人員整理や表示看板の作成設置など、全て人手がかかりますしその前に、全てのレジを開局することが、大前提となります。
「うちは そんなに人がいないので 全レジは開けられない」という声が聞こえてきそうですが、
そういった企業努力を惜しみ、行政に依存したやり方をすれば、コロナ騒動収束後、そのしっぺ返しを受けるのは、その店舗であるというのは火を見るよりも明らかだということです。
ネット通販のAmazonは僅か2週間で、70万人の従業員に対して24%にあたる17万人の新規採用を実施しています。米ウォルマートも15万人という10%以上の人員を新規採用しています。
こういった 経営が従業員を本気で守ろうとするトップの発言は現場の士気を高め、企業の結果となって跳ね返ってくることになります。
これは、超大手外資企業だから出来るのではなく、国内においても人時生産性改革に取り組んでおられる企業は、既に、人時割レイバースケジュールで、ジャッジが同じようにできる仕組みになっています。
非常時には必要に応じて社長が人時の増減を決断し、現場はそれにあわせコントロールできるようになっている企業は増えているのです。
これまで、店舗の新規採用は、上司や運営部長の承認に時間がかかっていたことが、この仕組みによって、店舗に権限があたえられ、必要に応じてクイックリー活用できるものとなっています。
今は、外出自粛や休業している企業のおかげで、売上が上昇してるわけですが、これが収束した時から、売上前年比割れが起ります。
こういったことに即座に対応するために、店長には、自店の業務量と売上を見て、人時を増減させる権限が委譲されています。
今頑張っている、店舗従業員にとって、一時金支給をだすのは簡単でも、こうして、業務量に合わせ人員を増減させることは仕組みが無ければやることはできません。
さあ、貴社では、まだ、終わりの見えないコロナ特需を、既存の残業対応で切り抜けようとしますか?それとも、人時売上をもとに新たな一歩に踏み出しますか?