今週の儲かる繁盛店の視点 第311話:「ニンジ売上の基準をどこに置くべきか?…で悩む企業は根本的な問題があります。それは!?」
先生 前期は数値がようやく上がり、僅かですが、業績賞与を出すことができました。ありがとうございます。
とあるチェーンの社長さんからの報告です。
――――よかったですね~ さあ、ここから勝負です!一気に伸ばしていきましょう。
なにはともあれ、クライアント先の業績が、意図したやり方で、意図した結果に近づいたときの声をお聞きする時ほど、嬉しいものはありません。
もちろん、この会社も最初から、全て上手くいったわけではありません。掲げた目標に向け一旦、企画が動き始めれば、これまで解決できなかった悩みや、葛藤と対峙しどうするのか?といった決断の連続となります。
石の上にも三年といいますが、多少辛くとも、やり方さえ間違えずに続けることで、目標達成の確率は徐々に上がっていくものです。言い方を変えればやり方が間違っていると、何度挑戦をしてもその確率は絶対に上がらない。ということです。
先のチェーン企業の業績は、いまの特需が起る前の業績賞与ですが、特需モードに入ってからは、さらに人時売上を大きく伸ばしています。
一方で、実際にこうした指標を持たず、単に売上アップだけを目指してきた企業にとっては、特需という大きな変化に苦慮されてます。
理由は明白で、これまで、売上さえ上がれば、全ての問題は解決できる。と踏んでいたことが、そうならないことが分かり始めたからです。
今までは、人が減って毎日の売上を維持するのが精一杯。人手不足が経営利益を圧迫している。といったことが不振の理由でした。ところが、今は、売上が上がって現状の人員で頑張って回しても、期待した利益は得られない。という事が起っています。
見方を変えれば、実際に二ケタ近く売上が伸びていても「現状の人員で十分回わすことが出来ている」という経営にとって想定外の事が起きていて、こんなに売上が伸びても利益が出ないのは、明らかに効率の悪いところに、経費が多くかけられ続けているということが証明されたことになります。
営業現場は売上が伸びているのに、「人を増やしてくれない」とか「手間のかかるやり方について企業側は見直しをしない」とか「頑張ってるのに手当一つ出ない」といった不満があちこちで噴出してます。
冷静に考えてみればわかることですが、通常業務の中で不満となっていた小さなことも、特需の時は大きくクローズアップされます。
そうした問題を即座に解決していく仕組みが、社内にあるかどうか?ということが、今、企業に問われていると言えます。
前出の企業では、作業指示書が厨房内に掲示されていて、その実行状況が日々確認され修正が行われている為、こういった問題は蓄積されることなく、日々解決されていきます。
一方、日々の作業指示書といったモノ自体無く「朝礼時の口頭指示」「お互い分かっているから…」「阿吽の呼吸で…」といった職場内の空気を読みながらの作業をしてる企業では、こうした問題が蓄積されて大きな問題となっています。
例えば、特需で売上変動があると、各自が仕事をスピードアップしてやることを考えようとします。1人がやる手作業の速度は、日に1割くらい上げることはできても、一週間そのペースで続ければ、疲れるしミスも増えます。まして、2倍、3倍にすることは不可能です。
そこでは、各自の経験・感覚といった見えない基準で回っていて、指標といったものはありません。そのため、一旦業務が滞ると、効率はあがるどころか、手待ち時間は増えるばかりで、生産力は一気に下がります。特定の人に仕事がついたやり方のツケが一気にここで回ってくるのです。
「誰でも早くやるように努力や工夫はしている、それのどこが悪い」という声が聞こえてきそうですが
――――明日の、商品加工目標数はいくつですか?とお聞きすると
「え?」と言葉に詰まります。
全体の目標加工数があって、それに対しての 人時が配置されていないところでは、コストは上がることはあっても、モチベーションも士気も上がらないのは火を見るよりも明らかだということです。
経営がなすべきことは、「仕事に人をつけ、誰でもそれができるようにすること」ですが、そのためには、どういう条件を揃える必要があるのか?を明示していくことになります。
「指示したことが出来ない」という嘆きや、「出口が見えないといった」不満が起きるのは、こういった機能が社内にないからに他ありません。
これからは そういった問題をクリアにしていく為に、個人の裁量に任されていた、業務内容を会社として掌握しておくことが必須となります。
「そんなことが わかれば苦労しない」という声が聞こえてきそうですが
――――売上対比13%以上を占める最大のコスト「人件費」の使用状況を把握するのは企業戦略です。それがない企業に明日はありません。と断言しています。
理由は簡単で、この先、上がる人件費単価に加え、数年に一回の頻度で起る災害に対応するためには、この最大コストを自在にコントロールする仕組みが無くてはならないからです。
かといって、個人別に単価が異なる人件費のままでは、活用できないため、一度 人時(ニンジ)と呼ばれる単位に置きかえ、その総量をコントロールしていくことになります。
これまでやってきた、売上を上げるのは人海戦術だけ!といった一辺倒なやり方から、これからは、同じ売上であれば、人手をかけなくても売上がとれる仕組みに転換させていかないことには、人時売上は1円たりとも上げることができません。
実際に、人時売上を年度目標に掲げておられる企業では、すでに期中で目標達成している企業もあります。また、次の一手となる非接触型販売やキャッシュス化のための戦略資金を蓄え、再び同じような災害が発生した時のための危機対策費を投資計画に組み入れている企業もあります。
詳細は、オンライン&会場セミナーでお伝えしてますが、
売上だけを目標にして変わることのできなかった企業も、人時売上を指標にすることで「業績賞与が出せる」ということを実現させている。ということです。
さあ、貴社におかれましても、業績を変える新たな指標を活かし、大きく飛躍していきましょう。心から応援してます!