今週の儲かる繁盛店の視点 第312話:「なぜ、特需なのに儲からない?その決定的な違いはズバリ○○!?」
「先生、この先、景気が冷え込む前に手を打たなくては、と思ってまして業務改革の中では、マニュアルの作り方とかも教えていだけるのでしょうか?」
とある企業の経営者からのご相談です。
――――もちろんご指導させていただきます。
但し、日々運用できるよう、自社で業務改革が回せる構造が出来てからということになります。
どんなに優れた方法やシステムでも、企業によっては、どうしても合わない。ということはあるもので、その場合は「切り口を変える」か「やり方を見直す」ということもあります。
そういったことを確認していく場がプロジェクトであり、そこでは、数多く仮説と検証を実施していきます。他企業でやってきたことで、予想以上に効果がでることもあれば、それほど効果はなかった。ということもあります。
何れにしても、まず、プロジェクトとしてやってみないことにはわからず、最初は状態を見ながら、徐々に効果を最大にするよう速度を上げていきます。
この取り組みを進めていく上で、見極めが難しいのは、徐々に結果が変わってくることもあれば、ある日突然ブレイクすることもあり、右肩上がりで一気に改善するとこもあれば、上下の弧を描きあがっていくといった感じで様々だということです。
どの企業でもほぼ間違いなく変わってくるものの、ここで陥るのが、効果が見え始めると、すぐに次の段階に飛びつきたくなってしまい、勇み足になるということです。
今まで、何もやってこられなかった企業が、業革に取組むことで数値は改善しますが、それは まだ、試験段階であって、その先、改良すべき点はたくさんあるということです。
では、どこがゴールなのかといいますと。人時売上の目標数値がクリアされた時となります。しかし、その後、その目標値を下回った時、一度立ち止まって、どこに問題があったのかをクリアにして、進めていくことになります。
「そんな 後戻りはしたくない」という声が聞こえてきそうですが
なんでもそうですが、今まで、上手くいっていたとしても、やっていくうちに環境の変化で、上手くいかないことが起きるのは世の常です。
――――そういう意味では、1店目が、二年連続で人時売上改善が見えたタイミングで、マニュアルを設定していきます。と申し上げています。
「そんなに 時間がかかるのか?」という声も聞こえてきそうですが?
言い方を変えれば、マニュアルづくりは、一店舗目で成果を出す手順を創り、それを明文化して「後に続ける」ことが目的となります。
このプロセスが、経営者にとって「後戻り」に映ることから、「マニュアルづくりなんかいらない」という誤解が生じ、マニュアル嫌いが起ります。
経営者や幹部の中には、「自分がマニュアルだからマニュアルなんで要らない」と豪語する方も チェーン業界にはたくさんいらっしゃいます。
冷静に考えてみればわかることですが、企業が今の人員体制で永遠に続くことはありません。今の社長も従業員も、年をとるのでいつか変わりますが、仕組みは年をとらないことから、一旦きちんとしたものがあれば引き継ぐことが出来るということです。
前職時代も、外資企業の素晴らしいノウハウを教えてもらい、世界ナンバーワの情報システムをいれても、その運用マニュアルがなく、そのため黒字転換まで7年を要しました。
それまでは、運営部長が変わる度にやることがコロコロ変わるだけで、長年続いた赤字体質は何ひとつ変わりませんでした。
当時、黒字化に向けた取り組んだ最初の一歩は、人時売上目標を掲げ、それを達成させるプロセスを作り、誰でも見れるようにしたことです。
それまでは、売上だけが目標であったことから、運営部長は自分たちが過去やってきた経験知や自分が良いと思ってる店をマネてやることが良いとされていました。ところが、人時売上に指標を置きかえた瞬間から、その経験値が全く役に立たないことがわかり、運営部長の存在が問われるようになったのです。
これをヨシと思わない運営部長にとって見れば、新らしいやり方をこころよく思いませんから反対がおこるわけです。
あるチェーンでも似たようなことがあり「我々役員は売上維持の責任がある」といって、1人の役員が抵抗し、結局LSPまで止めてしまいました。
再び販促強化と強引なコストカットを繰り返し、結果はどうなったかはご想像におまかせしますが、売上膨張後のコストカットは店舗の士気を落とすだけでなく、今後、再び新型コロナのようなことが起きた時、必要な人材が大量に人が辞めていくことが起きることは必至といえるでしょう。
一方で、仕組みづくりをしたうえで、そのマニュアルを作って運用している企業は、これまで、留保してきた成長資金を活かしています。
それは、非接触型販売であったり、キャッシュレス比率アップや、健康安全といった、今後、同じようなことが起きても、対応できる体制に向かってすでに動き始めています。
さあ、貴社では、まだ、特需にもかかわらず、戦略資金も留保できない状態を是としますか?それとも、仕組みづくりとマニュアル設定で、効率経営で成功を手にしますか?