今週の儲かる繁盛店の視点 第335話:「なぜ、成長企業は、毎年増益出来るのか?そこには○○があるからです。それは!?」
「先生 うちは、売上予算はたてないんです。立てても達成できないので・・・・」とある企業の社長さんの一言です。
――――では、何を目標にやってこられたのでしょうか?
「売上前年比です」
――――とすると、コロナ特需の来年は、前年割れ見込みになると思うのですが
「そうなんです、売上予算はどう決めればいいものかと…」
なるほど、そのお気持ちは、よくわかります。と申しますのは、前職時代、企業グループの遠い親戚にプロ野球球団があり、そのチームが優勝すると毎年大セールをやっていました。その年はいいのですが、その翌年は本当に胃が痛かったものです。とにかく、祈るしかない。訳ですから。こういったセールを続けた結果、ある日ホントに利益が出なくなる時は突然やってきました。その後、10年以上その厳しい状況が続き破たんの寸前までいきました。
予算など立ててもいかないことが分かっていても当時は上場企業でしたので、株主への説明責任があり、そこからは逃げることはできませんでした。
ところが、苦しいながらもそういったことをやる習慣があると、後になって、大きく役立つことがたくさんある事に気づきます。
これは、後に米ウォルマートと提携したとき、はじめて知ることとなったのですが「人時」を使う取り組みをしていく中で、人時と予算は切っても切れない関係にある。ということでした。
いかない売上予算だけでは、未来像を描くことはできません。そこで、売上と人時という2つの視点で人時売上目標を設定し、はじめて、自分たち将来の働き方はどうあるべきか?ということが意外にも簡単に想像出来るようになるのです。
人時売上は、売上を人時で割った数値ですが、言う間でもなく売上と人時の両予算があることで作ることが前提となります。
これを どのレベルにもっていくかで、自分たちで実現させていくべき企業未来像を描くわけですが、
いきなり、未来を創造しなさいと言われ、すぐに思いつくものではありません。
まず、今の人時売上がどのくらいなのか掌握し、仮にそれが2倍になったら会社はどうなるか?ということがスタートラインになります。
こういった発想や思考法が出来るようになると、目標達成のために、何が必要で、どういった手順ですすめていかなくてはならないか?ということが想像以上に楽しくなるものです。
例えば、人時売上が2割り増えると、新店投資もできますし、既存店投資、商品開発投資、システム投資ができるようになります。3割増えれば、ネット事業プラットフォーム構築、そのためのM&A、労働時間の短縮、社員業績賞与の増額など、これまでやりたくてもできなかったことも決して夢ではなくなります。
売上はコントロールすることは出来ませんが、そのブレ幅を事前に察知することで、それに合わせ人時は調整することができるものだからです。
忘れてはならないのは、予算が決まれば、業績目標も変わってくるという事です。これまでの売上だけの評価から、人時改善にむけた創意工夫に対しての評価もできることから、貢献意欲も高まります。
ここで一番の問題となるのが人の問題です。人間は歳をとるもので、人の入れ替わりがあるということです。今、立てた計画を達成させていく5年後~10年後には、メンバーが変わっているのはむしろ当然のことと言えます。
労働分配率の高い企業が、こういったことにスムーズに移行出来ないのは、経営から現場まで、人に仕事がべったり張りついているために多くの企業が苦労されているのです。
人を変えるためには、「優秀な人材を育てて」とか「生え抜きを教育して」といったことでレベルアップさせていくことが大事と、誰もが考えがちですが、そういったことでは解決できません。
教育でレベルアップさせるのではなく、誰がやってもできるようにシンプル化する。ということです。
「え、何を言っているのか?」という声が聞こえてきそうですが
人は常に入れ替わる。という前提で、シンプル化することではじめて企業は、5年後10年後の目標を達成させることが出来るということです。
因みに伊藤自身は、前職から離れ7年になりますが、当時そのプラン作りに関わった人間は、ほぼ入れ替わっていますが、10年以上前に手掛けた当初プランに沿って、今でも数値を伸ばし続けています。
一方、実際に、お手伝いさせてただいている企業でも「人事異動で慣れていない」とか「人が入れ替わったばかりで」といった発言は、出なくなくなり、当初プラン通りに、同じく毎年、利益を増やし続けています。
このように、企業規模に関係なく、これまで、複雑に入り組んでいた業務を、簡素化させていくことで、どの企業でも成長軌道に乗せることが出来るという事です。
なぜ、成長企業は、毎年利益を増やすことができるのか?それは「人が入れ替わる前提」で仕組みが出来ていてるからなのです。
SNSの深耕、ネット通販の台頭、キャシュレス化と買い物に対するムダが無くなり、それがあたりまえの時代、売り手である小売企業が社内でムダを抱える余裕はすでになくなっています。
これからは、今までのように、ムダを包含したやり方を教育するのでは間に合わないのです。
さあ、誰でもできる仕組み作りで、成長できる企業を実現させていきましょう。
応援してます!