今週の儲かる繁盛店の視点 第344話:「2021年躍進するチェーン経営実現へ向けて」
まもなく、新しい年がスタートします
2020年はコロナに始まり、コロナに終わった年ですが、昨年の今頃は、まさか、このような事態になるとは、誰も予想はしていませんでした。
実際にお手伝いしている企業の経営者の方々からは、「コロナで時間が空いたので、やっていてよかった」とか、「特需後を見据えやるべきことがはっきりした」とか「コロナ前に最高益を出すことが出来ました」と言ったご報告をいただき、厳しい中にも新しい発見や気づきの多い年でした。そういった中から、来期へ向け、備えておくべきことについて記させて頂きました。
●生産性を上げるためのデジタル変換
2021年9月のデジタル庁発足へ向け、採用公募が始まりました。政府はすでに、オンライン授業や、オンライン診療、またタクシーの運送業参入といったことについて、規制緩和しています。
企業でも早いところでは、本部の9割を在宅ワークに移行したというとこもあれば、対策を取りながら、今までとは変えずにやっているともありと様々ですが、それはまだ人時生産性を引き上げる取り組みの入口手前にいるということです。
現実問題として店舗では、感染対策の業務量が増え、売上が伸びても、肝心の生産性が上がらない状況が続いています。
多くの人を抱え、複雑に作業が入り混じった小売りチェーンは、その殆どの業務が人の手によって行われてきました。手間がかかる割に、薄利なビジネスモデルであったことから、長きに渡り改革が起こりにくいことに甘んじた業種であったともいえます。
ところが、ここ数年人件費上昇で事態は急変し、生産性向上が叫ばれる中、その道筋が描けないまま、コロナとなり、高コスト構造を変えることが出来ないままとなっています。
来期は、社内でこれまで是としてきた規制を見直すとともに、会議のオンライン化であるとか、作業指示書、発注、帳票管理といった、仕組み作りとそのデジタル変換が必須の年になっていきますのでその準備に動くことが重要です。
●先を見据えた投資活動とは
この年末年始に一時停止となってしまったGoToキャンペーンですが、ご存知の通りその経済効果は大きく、国交省の発表によると7月~10月の3カ月間で宿泊割引額は約1886億です。
これが旅行代金の35%にあたることから逆算すると5389億円の売上を押し上げたことになります。年間でベース考えると4700億円の投資で、2兆円の経済効果が得られるという利回りの高い経済政策です。
批判を恐れず申し上げれば、ひとり10万円の給付金で12兆円を投資し、それが貯蓄に回ってしまったことと比べれば、その効果が高いことは経営者の立場の方であればご理解いただけることと思います。
そうはいっても、感染拡大が拡がれば今回のように、動いては、止まって、再び動き出すといったことは、繰り返され、企業には大きな負荷となることから、企業として独自な取り組みは欠かせません。
例えば ユニクロはマスクや生花事業の参入、ニトリは在宅ワーク家具の展開、星野リゾートは、1~2時間で提供するマイクロツーリズムの投入。といった企業は、企画を生み出し苦しいながらも利益確保をしています。
これからは、在宅インフラを核としたビジネスへの投資や、参画企業は一層増えるでしょうし、優れた企業の参入により生産性の高い店舗が増え、生活しやすい環境が整っていく事となります。既存企業はうかうかしてると、新規参入企業にシェアを奪われなねないことから、その波に乗り遅れないための先行投資は必須と言えるでしょう。
●顧客満足度の情報インプットが企業生命線になる
アマゾンに代表されるネット通販やスーパー各社の行なっているネットスーパーは、コロナ下で大きく売上を伸ばしました。
今でこそ、成長事業として脚光をあびているものの、Amazonは創業から20年間赤字でしたし、あのウォルマートもネット事業に多大な投資をしつづけ、今回ようやく結果を出すことができました。
今回GoToトラベルやイートの窓口になったオンライン旅行代理店やグルメサイトもなども同じですが、その共通点は、顧客満足度を数値としてとらえ、それを成長戦略に活してきたということです。
商品評価、出品者に対する評価から、得られる情報をもとに、修正を重ね今に至っているわけですが、こういったことはリアル店舗でも成長にために、必要な取り組みであるということです。
今年もっとも違和感を感じたのは、年末年始の営業時間短縮が当たり前のように行われていますが、そもそも顧客視点を踏まえたものなのかどうか?ということです。顧客に一番近いとこにいながら、顧客の声と向き合うことなし、成長はありえず、顧客満足度も今年の重要なポイントの一つとなってくるでしょう。
●多様性への積極的な取り組み
ジェンダーギャップと聞くと、小売業は女性比率が高いから関係ないと思われがちですが、女性経営者や幹部がどのくらいいて、その多様性が経営に活かされているかという問題です。
少し前に国内スーパーマーケットチェーンの社長200名を前に講演をさせていただいたとき、女性の社長さんは200人中1人だけでした。そして同席された経営幹部もほとんどが男性でした。
男性社長と経営幹部で運営しようとする国内スーパーマーケット業界のあり方は、30年前から変わっていません。
変化に強い企業というのは、男性社員と生え抜きで担う企業ではなく、女性や他企業のからの幹部登用を積極的に行っている企業です。
その理由はシンプルで、違ったものの見方ができる人が集まる組織は健全であり、より正確にものごとを理解し、成長する力を発揮することができるからです。
そういう意味では、多様性も来年以降大きな成長のカギを握る一つのテーマと言えます。
コロナと共存していくためには、インフォデミックといったデマや風評被害についても適応力が必要になります。
見方を変えれば、従業員に対する貢献意欲といったことについても、企業はしっかり寄り添って企業統治を進めていくということです。
そういう意味では、従業員貢献意欲調査は、大手企業だけがやる特別なものではなく、全ての企業が取り組み改善していくことが、その企業の力となってきます。これまで、何でも売上さえ上げればよかった時代から、コロナをきっかけに、少ない人員で、質の高いサービスを提供し利益をとっていく企業へとその役割は大きく変わりました。
生産性を上げるためのデジタル化、インフラ性の高い市場への対応力、顧客満足度評価への取り組み、多様性を取り入れ企業に活かすことが、2021年を切り開くキーとなってきます。
さあ、貴社では まだ売上というアウトプットだけにこだわりますか?それともインプット内容を見直し、新たな道を切り開いていきますか?