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今週の儲かる繁盛店の視点 第349話:「チャンスを活かさない言い訳は誰でも出来る。チャンスに結果が出せないことは誰も待っちゃくれない。」

「先生、売上の高い店はいいんですが、儲かってない店が問題でして…」と、オンラインでの、とある社長さんからのご相談です。

話をお聞きすると、なにやら売れてるドル箱店が数店舗あって、それ以外の店は、赤字ギリギリで、その格差をなんとかされたい、とのこと。

儲かる店も儲からない店もひとまとめに、全体として、表面的な売上さえ伸びていれば、世間体は保つことが出来ました。

これが良いか悪いかは、さておき、全体売上しか見ませんと、店の格差があってもいつしか慣れ、個別不振事業の収益構造に目が向かなくなります。

例えば、ローコスト運営の仕組みが無いのに始めたディスカウント業態はどうなのか?

厨房のある店で他店の分を製造し届ける生鮮の母子店展開の人時売上はどうなっているのか?

売上底上げ目的のため移動スーパーを 増やしてみたものの収支はどうであったか?といったことです。

断っておきますが、決して「売上を良く見せる」ことが悪いという事ではありません。経営ですからそういう一時的な措置が必要な時もあるわけです。

ただし、こういったことは一時的なやり方であって、長期的に利益が増えていく計画無しにビジネスとして成り立たないということです。

こう言いますと「価格競争の厳しいエリアへの出店」とか「限られた店舗スペースや人材の有効活用」であったり「買い物難民の高齢者対応」といった声が聞こえてきそうですが、

 

――――で、それぞれの事業はどのくらい人時生産性があがりましたか?と聞くと

みなさん「え?」と言葉に詰まります。

 

と申しますのは、今は、人時生産性が高いことがお客様が店を選ぶ一つの重要な要素となってきているからです。言い換えますと、生産性指標が曖昧で、店舗状態も良くない店でわざわざ買い物しなくても、ネット通販はじめ、便利で使いやすいところはいくらでもあるからです。

また、売れてるドル箱店があるのに儲からないのは、売上が悪いとか、価格がとか、サービスがということではありません。売れてるドル箱店に依存した企業収益構造であり、ドル箱店の改装投資に回さないことから収益力が低下し、他店をカバーできなくなり全てダメになっていく事が少なくないのです。

そういった中、注目すべきは、大手各社の動きです。一時的に収益が上がったこの時に、赤字事業や業務の中止や、赤字店の撤退決定し新たな投資をしてきている。ということです。

例えば、IYでは群馬県からの撤退を決めたり、イオンではレジレス取り組み、ダイエーではネットスーパーの拡大。西友ではネット配送センター拠点の拡大といった成長戦略に投資をしています。

コロナ問題が起きる前までは、成長戦略といえば、出店・新規事業といった売上増目的が主流で、一旦始めてしまうと中々止めることが出来ないものばかりでした。

この環境の激変から、売上が増えれば人も増やすといった旧態依然の体制から脱却することの重要性に気づいたといえます。

資金力のある大手ならでは、投資と組織力で一気に巻き返しを狙っていて、売上が減っても、コストを下げる仕組み作りに積極的に投資をした方がコントロールしやすいといった方向に、流れが変わってきているといえます。

一方で、地方のチェーン企業はというと、プロジェクトを組んで、生産性ノウハウを体系化に取り込む企業が増えています。

そこでは、ドル箱店依存や、儲からない業務の見直しから、生みだした資金を基に、商品開発に投資をし、自律的に成長できる組織改革が進められています。

こうして着実に人時生産性を進める企業があるかと思えば、社内の人間だけでやろうとして、失敗する企業が後を絶たないのも、これまた厳しい事実だという事です。

理由は簡単で、何か、新しい販促強化・売上策に飛びつくのは担当社員でもできるものの、それが、赤字事業となりそうな時、誰も社長に対し事業撤退であったり、新しい仕組みの必要性をハッキリ進言できないことから、生産性が上がらないのです。

社内にない、ノウハウを体系化して組織を動かしていくためには、第三者機関との共同作業になります。そこでは社長を中心に討議する場があり、経営の意志決定していくファシリテーター役も重要になってきます。

実際に、取り組まれておられる企業では、さまざまな葛藤が起ります。例えば、抵抗勢力になりそうな感じの方が必ず何人か出てきます。徐々に改革が波に乗り始めますと、それは薄れていてきますが、暫くすると別の抵抗勢力が現れてきたりします。

業務改革とは、こうした、「社内抵抗勢力」との対峙の連続であり、これをいくつも乗り越えていくことから上がったり下がったり弧を描きながら上昇していくものだからです。

「企業は人なり」という言葉があるように、人それぞれは全て顔も考え方も違うことから「抵抗勢力」が出てくるのはある意味健全なことといえます。

むしろ、人は違うという特性を活かそうと思えば打つ手は無数にあるといえます。それを一つにまとめ、社長が目指すべき、目標を指し示し、そこに向け様々な手を打っていくことで組織成長させていくことこそが経営のだいご味と言えます。

改革プロジェクトとは…出来ない理由を探す「抵抗勢力」を儲かるための伝道師に変換し、企業自らが発展成長に動き出す土台を作りを担うことになります。

何が起こるかは予想するのは難しい時代だからこそ、起ることに対してどれだけ施策を用意できるかであり、
打ち手が示せないと、出来なかった理由探しに多くの時間をかけるといった、生産性の悪化を招くことになるからです。

さあ、貴社では、まだドル箱店依存を続けますか?それとも、儲かっていない店を黒字店に転換するノウハウを手に入れ、儲かる組織を構築していきますか?


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