今週の儲かる繁盛店の視点 第351話:「儲かる企業はどこかスレスレのとこで勝負してきている。経営トップがそこに踏み込まなければ 社員はだれも学ぶことは出来ない」
「先生、無駄なことはやめてもいい!って言ってるんですけど、どうも店長の反応が悪くて…」とある企業の社長からのご相談です。
聞くところによると、「先日も、店を回った時、日々の人時実績を、どうやって出してるのか尋ねると、出てきたデータを手計算してるようで、
そんなの 売上と一緒にシステム的に出してもらえるように言えばいいじゃないか?」と怒ったんです。とのこと。
まあ、始めたばかりの時は、そういうことはよくあるもので、一歩引いて、どこか伝える経営側に問題はなかったか?と思えば、イライラも少しは治まるものです。
問題なのは、言われたことを何とかやりくりして、非効率なやり方を定着化させてしまうことです。
そもそも、売上と人時を一つにまとめた、人時売上を活用していくためには、それが正しい数値が出ることが大前提となります。
人手による作業には何かしらのミスがつきもの、手作業計算が続けば、その信憑性が問われ、業績改善が進展しないのは言うまでもないからです。
業革をどういう風に進めいくのか?予め経営によってその全容が明らかにされていれば、社長が店を回って イライラすることも無くなるわけです。
多くの人が働く小売り企業では、こうした、人時情報を共有が業績向上のファクターになります。
コストというシビアな問題も、こうして人時実績を共有することで、ひとりひとりの行動が数値に反映され、ムダへの抑止力が働くからです。
実際に、このプログラムに取り組まれる店長からは、「業務の中身が分かるようになった」とか「売上以外の指標を使うことで想像以上にコストが下がった」
「レジの人員コントロールが上手く指導できるようになった」という声をききます。
そういった即効性もあることから、より興味を持って活き活きと、取り組むようになります。
「人時を出すのに1日に15分程度の手計算であればそんな負担じゃありません」という前向きな意見が多いことから、この取り組みがどれくらい小売業にマッチしているか、ご想像がつくかと思います。
もちろん前出の企業のように、最初うちは手計算はやむおえません。15分といえど、年間となれば約90人時になることから、全店舗分の人件費を考えた場合、すぐに切り替えるべきと、経営判断できるものだからです。
先の企業は、店長研修からのボトムアップではじめ、このように、社長ご自身が気づかれ業革プロジェクトに昇格させを再スタートされ着実に結果を作られています。
一方で、自ら利益構造を組みたてたいという社長におかれましては、業革プロジェクトを活用し指揮をとられ、高い生産性を実現されております。
これまで、人口が増え何をやっても売れた時代は、やれ接客だ、やれ販促だ、やれプロモーションだといった表面的なやり方で切り抜けることが出来ました。
ここで問題となるのは、長年表面的な施策をメインにやってこられた企業が、業務内容の本質的な課題について取り組もうした時、どこから手を付ければいいのか分からず、手も足もでないため、業績低迷が続くということです。
理由は簡単で、売れてた時代にやっていた企画を評価する仕組みがなく、そのやり方で効果がとれているのかどうか、わからないまま放置されてたからです。
気を付けなくてはならないのは、業務改革というと、TVドキュメント番組でやってるように、表向きに社長が熱く語るの光景を見て、うちもマネすればできるのではとなんとなく思ったりすることです。
正直に申し上げますと、構造改革に取り組まれている企業では、決して表からはみえることのない、悩ましい問題が次々起ります。
状況次第では、突然リストラもやりますし、プロジェクトのメンバーは日夜フル回転で猛勉強するようになります。社内のノウハウや仕組み作りに奔走し、社内に無ければ、外に目を向け間髪入れずに導入に踏み切ります。
「ええっ そんなに大変?」という声が聞こえてきそうですが
業務改革に関わられたことのある方であれば、お分かりになると思いますが、まず、きれいに上手くことはひとつもないということです。
成功を勝取る企業の社長はいつも、スレスレのところで、決断し勝負をかけていかれます。そして、他社が業革に失敗し離脱していくのを横目に、体系的な戦略をもった企業だけが、それに見合ったものを手に入れることができる。ということ理解しているということです。
大事なことは、改革プロジェクトを通じ、悩みながら一つの結果を出すプロセスを社員に決断させていくことであり、その経験がノウハウとなって社内に残ることから、何度でも、同じ結果を再現することができる、ということです。
こうした、ステップを通過することで、はじめてチェーン企業の構造改革は実を結ぶことができるようになるのです。
さあ 貴社では、まだ 綺麗ごとですすめる企業風土に甘んじますか?それとも、社長自らが生産性を上げる決断することで、従業員と共に成長出来る企業文化をつくりあげますか?