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今週の儲かる繁盛店の視点 第414話:「コスト削減だけやろうとする企業が、なぜ 人時売上で苦戦するのか?」

「先生、少しでも早く結果を出すことは出来ますか?」少し前にセミナーにご参加いただいた企業の社長さんからのご相談です。

聞くところによると、自粛後の売上が厳しく、来期以降も連続減収減益になりかねない。とのこと。

自前で人時をやろうとするも、どうしても時間がかかることから、最近では、「人員体制は準備しています、出来るだけ早くスタートしたいのです」と言って来られる方が増えています。

当社では、定期的に人時売上の活用法のすすめ方についてセミナーを開催していますが、そこでは、社長主宰プロジェクトのメンバーの他に、実際の実務を行う事務局を設置してください。とハッキリ申し上げています。

理由は簡単で、店舗の人時実態を把握するのは、想像以上に手がかかるというのと、今、問題となっている客数減少に歯止めをかけるためには、人の手が必要だからです。

人時売上を上げていく上で、コスト削減はちょうど中間地点であたり、その最終ゴールは、対顧客店舗コンディションを上げ、顧客を増やしていくことにあります。

つまり、このプロジェクトの目的は、これまで人口増時代を背景に、売り手中心にやってきたビジネスのやり方を見直し、人口減少下で減り続ける客数を、いかにして客数増に転じさせていくか?という点にあるということです。

もし、この照準が「中間地点のコスト削減」に置かれた場合、削減するのに人をつける必要があるのか?という程度の意識にしかならず、

—--人手が必要ですよ。と申し上げても難色をしめされ、プロジェクトを組んでも役員や部長ひとりそれも兼任体制が多いのが特徴です。

たとえ優秀な人材であっても、1人でやれることは限られており、次から次へ出てくる課題に対し、雑務的にこなそうとすることから消化不良になります。

その結果「何もしない」「先送り」「審議だけ」の状況になり、見込める効果は少なくなります。

また、プロジェクトが一段落すると、すぐに人件費は増え始め、再び人時を上から抑え込もうとすることで現場が疲弊し、良からぬ方向に向かってしまうのはよくあることです。

一方、事務局を設置した業務改革チームは、実際、現場に入って「現場で必要なもの」と「止めてもいいもの」を見分けるための調査から着手していくことになります。

店舗に行って、業務項目について、各売場から2~3人くらい集まってもらった方に対して、業務項目の定義つけという視点で、聞き取り調査をします。

食品スーパーであれば、青果、精肉、鮮魚、惣菜、グロッサリー、レジ、事務といった具合に、ざっと7部門とすれば、一部門1時間としても、丸一日かかることになります。

GMSとなれば、これの3倍の部門がありますから、最低でも2日~3日はかかってきます。

それを、文章化して整理し、何の目的で行われていて、いくらにコストがかるのか?といったことを纏めプロジェクト会議で報告をして進めていく事になります。

店内で使われいる業務用語を整理することで、言葉の行き違いを減らしていく訳ですが、業務用語の整備が進むと、本部から出される指示文章もわかりやすくなり、指示を受ける側の悩む時間が減り、人時が自然に減る。という声をお聞きします。

こうして仕組みがで出来上がっていき、はじめて次の非効率業務の改善に駒をすすめていくことが出来るわけですが、この他にも、LSPの導入や運用サポートを含め、順次導入店を増やしていくことを考慮すれば、事務局として最低3名は専属で必要です。と申し上げています。

現実問題として、本社員1人年収400万とすると、年間1200万は予算設定していくことになります。
こう申し上げると「何をいってる 非常識な!けしからん」と怒りをあらわにされる方もおられます。

今まで、店舗に重点的に配分してきた企業にとってみれば、プロジェクト人員に一千万以上の人件費?ふつうに考えれば、心中穏やかなことではないからです。

しかし、冒頭の社長の決意は揺るぎないものでした。

「地域一の人時生産性を目指すと誓ったのですから、ここは、腹をくくる時ということでしょう」と言って、その一週間後に、候補者のフルネームとキャリアが書かれた一通のメールが届いたのです。

同時に、業務改革部を新設し、業務改革部長の下に副店長クラス3名を専任に人事発令されプロジェクトはスタートしたのです。

プロジェクトの人件費に1200万の予算設定?と思う人が多いかもしれません。

しかし、弊社では、非効率業務の改善に関しては「目標を1店あたり年間最低1000万円の削減になるように設定してください」と申し上げています。

こうした高い目標設定にすることでプロジェクトに対する取組み意識が変わり、進捗率が多少遅れても利益獲得を十分可能となります。

ROI(投資回収率)に置きかえて考えてみれば、プロジェクトの人件費は、1200万÷1000万=12カ月、投資回収1年という投資効果の高い取り組みであるといえます。

さらに、導入店舗数が増えるたびに、回収金額が積算され資金繰りが改善されていくわけで、10店舗で1億円、20店舗完了時には2億のお金が積みあがっているということです。

チェーン経営における人時生産性改善の場合、この目標設定が重要な意味を持ってくる上、通常では経験することのない、「結果を出す」という貴重な体験が自信に繋がることから、自ずと再現性が高まるのは言うまでもありません。

さあ、貴社では、まだ、コスト削減だけを掲げた実入りの少ない生産性改善の目的としますか?

それとも地域ナンバーワンの人時生産性実現に向け、顧客を増やす取り組みで大きく成長しますか?


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