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今週の儲かる繁盛店の視点 第438話:「なぜ、部門効率改善が企業の人時生産性を低下させてしまうのか?それを見落とした企業の行く末は?」

先生 毎月人時生産性について、定例会議をやってるんですが、結果が伴ってこなくて…と少し前にセミナーに参加された社長からのご相談です。

お話しをお伺いすると、人時生産性といえども2~3年もやれば、なんとかなるとおもいきや、結果を変える方法がわからず、下方修正しなくてはならない状況になってしまった。とのこと。

――――それは大変なご苦労をされたこととお察します。今後はどのようにしていくお考えでしょうか?とお伺いすると

「人だけは用意したので、走りながらやっていこうと思うのですが・・・」と少々バツの悪そうなお答え。

多くの人員を抱え、何をやっても売れた時代であればまだしも、今は、主管部も店舗もギリギリの人員状況でやっています。

語弊を恐れず申し上げれば、走りながら…、出来るところから…、定例で集まり…と称して、問題の本質を先送りにすれば、傷は深くなるばかりです。

これはなにも大袈裟なことでなく、売上が維持できた時は、生産性のことなど考えなくてもなんとかなったわけですが、コロナ禍以降これまで経験したことのない勢いで売上が下がり続けていることからこのままいくと負け犬意識が社内に蔓延しかねないからです。

従来型の集まって意見を出し合うというやり方から、経営として収益拡大策の骨格をしっかりと固め、それを元に何をどのタイミングでやっていくか?というやり方に変えるということです。

一見して、どちらも同じように見えますが、やることは全く違ってきます「社員に対し何か良い改善案があったら出してくれ」というのが前者であり、改善案やアイデアはどこからか降ってくるのを、口を開けて待っている状態です。

一方、後者は「経営としてこういうふうにやっていこうと考えているがどう思うか?」といった経営が主体性をもって人時生産性を上げていくやり方を提供しているという点です。

経営として、どこを起点に課題設定し、いつまでに結果を導き出していくのか?と言ったレベルで進捗確認が出来る状態になっていなければ、毎月の結果が伴わないだけでなく、企画がとん挫するのは火を見るよりも明らかだからです。

主管部門が提案する企画は、特定分野であったり、一部の店舗のことであったりという自部門の効率改善が優先されます。そのため部門効率改善が人時売上向上にならない事も多く、主管部門提案だけでは、全体の収益改善を期待するのに限界があることがお分かりになることと思います。

主管部主体の縦割りから、経営としての横断型プロジェクトを立ち上げ、そこでは、店舗を起点に効果が得られるものだけに絞り業務量を減らしていくことになります。

と申しますのは、このコロナ禍では、多くの企業が採用をとりやめたため、チェーン業界はその分優秀な人材を確保することが出来ました。それも束の間、生産人口が減り続ける人材採用難から、ふたたび待ったなしの状況になっているからです。

チェーン小売業界は労働集約型産業であることから、人が辞めていくと総合力が落ちてしまう、辞めて落ちて、増やして上げて、といったことをこの30年間繰り返し、何も変えてこなかったという苦い経験があります。

その結果、建物や内装、レジやPOSといったものは新しくなっても、中身の収益構造や人時生産性に重点をおいたノウハウを進化させてこなかったことから、人時生産性で国内他業界から大きく遅れをとっています。

当社では、これまで、自社の生産性の高いレベルで継承できるようなになりたいと考える企業経営者の方々のご支援をしてきました。中でも伸びてる企業の共通点は、人時売上に取り組むことで、社内の枠を超え人材を登用したり、異業種からの転職を受け入れを積極的に行い、その多様性が企業の強み作りに繋がっているということです。

企業として他にない強みがあることは大事なことであることは言うまでもありませんが、それらをつくる為には、既存店を「儲かるカタチ」にしていく必要があります。ところがいざやるとなると、その手法がわからないため見よう見まねでやろうとして、多くの企業が失敗をされています。

こういった問題をクリアにする為に「何を使って業績を上げるか」といった手法を打ち出し、期限を決めステップアップを図っていくことが必要で、それは、社員に対して「何をいつまでにやってもらいたいのか」を提示することになります。

人時生産性をステップアップさせていく事で、収益安定基盤づくりについて前職時代から20年以上関わってきましたが、そこでわかったことは、それを元手に特徴を打ち出すための商品力や専門性を磨き上げることで、二段階構造で威力を発揮することが出来るということです。

一般的に、売上を上げるためには、商品改廃、改装、決済手法見直しといった事が行われ一定の投資回収を見込み成長をしていきます。
ところがこういった手法は、外から見えてしまうことから、資金力のあるところに簡単にマネされてしまうデメリットがあり、脆弱な収益構造に問題を及ぼすことがわかっています。

つまり、マネされにくい「独自のやり方」をメインに収益基盤をかためていくという発想をもとに、品切れ改善、営業機会拡大、ロス率改善…といった類のものに着手していかなくてはならないということです。

「そんなことが強みになるとは…」という声が聞こえてきそうですが

この方式の最大の利点は、他社に気づかれることなく、お金もかからず、着実に成果をあげることができるという点です。

文字通り「独自のやり方」のため、やり方手順を標準化さえできれば、社内のさまざまな店舗や部門で活用できるため、汎用性が高いといえます。

チェーン企業に於いて、強み作りと言えば、商品力や専門性を高めることばかりが注目されたり、ややも、すると見映え、流行、話題性ばかりがとりあげられますが、むしろ本当に必要なことは、地味で外から見えないいくつもの業務改善の積み重ねなくしては何一つ生み出すことは出来ないからです。

さあ、貴社ではまだ、出来るとこから、走りながらといった「効果の見込めない」方法をやり続けますか?それとも、ピンポイントで必要な部位に効く「ステップアップ+独自性」で大きく躍進しますか?


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