今週の儲かる繁盛店の視点 第449話:「2023年大きく躍進できるチェーン経営実現へ向けて」
①新型コロナが時間の価値を大きく変えた
今年も余すところあところあと10日となりました。今年は3年ぶりに普通の年末年始を迎えることが出来そうです。
2022年を振り返りますと、長引く新型コロナ問題に、ロシアによるウクライナ侵攻といった世の中を震撼させることが続きました。
物流網が混乱し原材料や電気代が高騰したことで、国内小売チェーン2023年3・2月期決算企業の上期業績では営業赤字の企業もあり、年度の業績見込みは厳しいものになりました。
新型コロナによる巣ごもりは、画一化されたマスメディア離れが起こり、それによってインターネット情報活用の幅と奥行きを大きく広がりました。
ネット動画や通販はもとより、車載ドラレコが防犯カメラの役目を果たしたり、ワールドカップサッカーのように、アベマTVが地上波TVをダントツに抜き視聴率を上げるといったことが起きたりと、瞬時に情報が誰でも手にできるようになり「タイパ」という言葉が生まれました。
―――「タイパ」それ何?とおもいきや、
費用対効果を表す「コストパフォーマンス」に対し「タイムパフォーマンス」の略で、テレワークが進み、動画を早送りや、興味のあるとこだけ、別の作業をしながら…といった。Z世代を中心に流行った言葉のようですが、そういう意味でいえば、誰でも無意識にやっていたことともいえます。
かつて、マスメディアが流行を発信し、それを多くの人が真似た時代から、個人個人が興味あることだけを短時間で情報収集する多様化が一気に進んだ年といえるでしょう。
見方を変えれば、いつでも欲しいものが、必要な分だけ手に入れることに慣れた人が、買い物に行き、欲しかったデザインや・色・サイズが揃っていない実店舗には行かなくなり、確実に商品のある店かネットで購入。といった購買の変化がすでに起っているということです。
これは、なんでも同じで、食品スーパーの開店時に総菜売り場や鮮魚売り場の棚に商品がなかったり、レジで待たせたり、家電量販店の接客で長々と待たされることに対して、待ってくれない生活者が増えている、ということです。
現に、あらゆる小売チェーンでは、コロナ前に比べ売上のマイナイスが続いていますし、行動規制解除後の飲食、旅行、ファッションは回復していますが、それでもコロナ前の7掛けというのが実態です。
単にコロナ前の状態に戻すというやり方から「時間の価値」を重視したやり方に変ることがより鮮明化してきたということです。
②成長や安定はタダでは手に入らない
ロシアのウクライナ侵攻や、台湾有事といったことから、「戦争しないと唱えても戦争に巻き込まれる」ことが認知され、安全保障への関心が高まった年でした。
平和の受益者は国民であり、受益者負担の原則から平和はタダではないということが、改めて認識され、防衛費増額&増税が決定された歴史的な年といえます。
これは、企業も同じで、社内で働くものが安心して勤めることができ、豊かになるためには、収益安定・企業成長のための戦略予算設定に着手しなくてはならないことを意味しています。
少子高齢化・人口減少で来店客が減る中で、今までのように、チラシを打って、催事を増やして…といったやり方では、売上を増やせなくなりました。かといって販管費を引き下げるコストカットだけでも単年効果で終わってしまいます。
これからは、「品切れ」や「お待たせしないレジ」「店員の商品知識」といった店舗コンディションを引き上げることで、差別化を図る「新らたな仕組み」なくして利益を上げることはできないといえます。
仕事柄、多くの経営者と会う機会がありますが、「新らたな仕組み」でうまくいってる企業にはいくつか共通点があります。
基本的にはゼロから自社で作るようなことはやらないということです。
仕組みづくりのノウハウを持つ人と組み、有効なシステムを開発していくということです。
やったことがないことをうまくできるようになるには、とても時間がかるものだからです。
ノウハウにお金をかけるのは嫌だという経営者の方もいますが、そのお金をケチって、結果が出るまでに何年も時間と経費を無駄に使いつづけるほうが無駄という考え方です。
これは、新規事業を始めるときだけでなく、業務のやり方を変えるときも有効で、私自身も前職時代含め、独立後もそういった企業は使っていいます。
ただ、専門企業に依頼するといっても、どこでもいいわけではありません。ちゃんとした人を選ばなければ、思ったような成果が得られないこともあるからです。
選ぶポイントとしては、二つありその業種において本人がどれだけの経験を持っているか?という点です。
自分がやったことないことを人に教えられることはできないので、まずは、セミナーや相談会に参加しみて、どれだけの実務経験があるか確認します。
もうひとつは、どれだけの組織的に実績を上げてきたか?という点です。
本人ができていたとしても、それが体系化され人に教えられる形になっているかどうかということです。よくあるのは、作業員として企業に入り込みその人の指導が終わったら、出来なくなってしまった。というのでは話にならないからです。
消費の先細りとコストが高騰する中、仕組みづくりに投資をするとこと、しないのでは数倍から数十倍以上の差が出るということです。
③見えてるとこに捕らわれ、本質を見失っていないか?
行動規制で、出張や視察ができず、自社のことじっくり見ることができた3年間でしたが、多くのチェーン企業は様々なことに取り組んでこられました。
例えば、家賃交渉といったことに集中して、頑張って引き下げてきた企業もあります。また、商品の値上げについても、できる限り価格を据え置き客数維持してきた企業もあります。
販促強化によるチラシ強化、新規催事、演出を強化したといった企業もあります。
どれも大事なことですが、では、そういった取り組みで、どれだけ収益アップになったか検証した結果はありますか?とお聞きすると
「え?」と言葉に詰まります。
企画ごとの収支をだすためには、売上に対しどれくらい人手がかかり、その収支結果はどうであったか?ということです。
売上の伸びといった表面的ことではなく、働いている一人一人が何をやっていて、それがどれくらい利益を生み出しているのか?「見えるようにしておく」ことが必要になります。
「見えるようにしておく」とは、経営の実態を数値化・言語化し、だれが見ても判断できる情報に置き換えておくことです。
例えば、直近の自分のお店の状態をどの店長も3分で説明する。といったことができるようになっていますか?ということです。
こういったことができませんと、売上減にもかかわらず、人がいない、売れる商品がない、設備が古い、立地が悪い、新店が出てきた。等の話題で会議は空転し、現場は作業に追われ新たな取り組みに目を向けようとしなくなります。
人は誰でも判断ができる情報が揃っていれば、すぐに行動できますが、単なる実績やデータを見ても動くことはできません。
宝石と原石が違うように、企業が利益を生み出すためには、実績データを磨き生きた情報にする必要があります。
自社で何でもやろうとする企業は、膨大な店舗データを調べることから始め、途中で息切れを起こし、すべてが中途半端なまま、時間切れに終わってしまいます。
人時売上ひとつとっても、売上、人時、作業、物量といった4つの情報が一つにまとめられ見れるようにすることが求められますが、それを仕組みにしておかないと膨大な時間がかかり何もできないということです。
実際に、ご支援させていただいている企業では、人時売上、店舗データは情報化され、経営判断に時間がかからないような仕組みで、コロナ問題があっても大きく利益をのばしています。
2023年へ向け、時間の価値観、戦略投資、価値ある情報この3つがキーワードになってくるといえるでしょう。
さあ、貴社では、まだ、自社でやることにこだわり時間とお金をかけ続けますか?それとも、組織的に収益力を高めるために、勇気ある一歩を踏み出しますか?