今週の儲かる繁盛店の視点 第455話:「店舗を増やそうとする前にやっておくべきこととは?」
さて、1月も残り僅か、2月に入ろうとしていますが、2月は決算の企業も多く、経営としては来期のビジョンを打ち出す時期ということになってきます。
先がどうなるかわからない…と大手小売りチェーングループ社長さんの発言が新聞にでていましたが、売り上げが見込めない中、今のやり方を続ければ、膨らむコストに押しつぶされてしまう。ということです。
コロナによる行動規制が解除になって半年、ようやく5類へと遅い判断がでようとしていますが、コロナ禍では10年に一度起こるかおこらないかといったことが次々と起こりました。
行動制限による外食、旅行、衣料のダメージ。団塊世代の高齢化コロナ重症化リスクによる消費市場縮小化。
オンライン会議の普及、ネット通販や出前、ネットスーパーの拡大、経済停止による株価高騰、医療関係への過剰な財政出動、ロシア侵攻による物価高騰。
などなど、過去の流れでいけば、10年に一回起こるかどうか…といったことが立て続けにと起こったといえます。
企業経営についていえば、売上さえとれれば、たとえ薄利でも事業継続できたビジネスモデルでは存続が難しいことに各業界は気づき始め、チェーン業界以外の経営者の方からもご相談をいただいております。
企業成長に必要な、新しい仕組みやデータをもたない、個人に頼ったやり方ではこの先どうなるかわからない時代になったといえるでしょう。
従来のやり方で続けるのであれば、やって見せてとか、身体を使ってといった感覚的な説明でも通用するかもしれません。しかし、企業を成長発展させていくためには、だれがやってもできるようにすることが必要になってきます。
経営として、そういった企業に変革していくには結果を導きだすための論理的な説明も必須となります。長い間、国内チェーン小売業界で何となくやり過ごされてきたグレーゾーンを払しょくする、なにかしらのモノサシが必要になってきたといえます。
例えば、既存店の減収を、未進出のエリアに出店し売上成長しているように見せていくといったことです。材料費や人件費が高騰している中、薄利構造の新店を次々と増やせばどうなるか?ということです。
こういった状況下、つい先日も「先生 これから店を出してかないと、いざというとき、耐えられないので」とある企業の社長さんからのご相談をいただきました。
聞くところによると、コロナのときに、売上が3割減ってしまったことから、もっと店舗を増やしておくべきだったとの反省から、今後、店を出していくために店の業務を誰でもできるようにする、やり方を教えてほしいとのこと。
―――店の業務をどうやって調べて作ろうとされてるのでしょうか?とお聴きすると
「店の人に聞いたり、担当部署に聞いたりして作らせている」とのことですが、一方で、手探り状態で進めているため、役立つのかどうかもわからないまま、時間ばかりが過ぎてるとのこと。
これまで、多くの企業をお手伝いし作業指示書を導入してきましたが、主管部門が仕事の片手間で、できる程度の生易しいことではありませんよ。と、はっきり申し上げております。
理由は簡単で、各企業がこれまでやり続けてきた業務を洗い出し、非効率なやり方を止め業務量を減らすのは、社員さんがやってることを否定することだからです。
まずは、社長が主体となってしっかりとした体制で臨まなければ、調査ができないだけでなく、抵抗勢力にあって離反が起き、結果を出すどころではない状態になるからです。
これから出店する店は、売上ではなく、現状の店に比べて、どのくらい営業利益率がプラスできるようになっているか?いわば、人時生産性の高い店であるということが重要になります。
かつてのように、人口が増え低コストの時代であれば、全社で営業利益率1~2%程度でもなんとかなったわけです。一方で、人口減の高コスト時代では、人時生産性を上げ、営業利益率を確保する仕組みを持った店舗に切り換えていかないともたないからです。
「そんなこと言っていたら 進出エリアが無くなってしまう」という声が聞こえてきそうですが
語弊を恐れず申し上げれば、経営ができない理由を考え、利益の出ない店を沢山作ってからでは手遅れということです。
本来であれば、経営として、実態を把握し既存店で営業利益率を上げる仕組みを作ってから、新店では、そこに新しい装備を足していくしか方法がないからです。
今、問題となってる、電気料金、人件費高騰を吸収するために、利益に結び付かない業務量を減らしそれを、利益を生む作業に再配分する仕組みづくりの定着化は必須になってきます。
ところが、現状、すべての作業が個人任せになっていて、どの業務が利益に結び付き、どれが結び付いていないのかわからないため手の施しようがないのです。
単に、人件費がかかりすぎてるからといって、むやみに採用を止めたり、人を削れば、人に仕事がついた現場はたちどころに動かなくなり、売上に影響がでるという時限爆弾を抱えた状態にあるということです。
新店が時期尚早ということではありません、むしろ既存店の高収益化を早期実現させ、高収益モデル店を作り店舗数を増やすことこそが、求められているからです。
さあ、貴社では、まだ、表面的な売上重視の出店計画というハイリスクローリターンで苦戦する道を選びますか?それとも、既存店で儲かる仕組みノウハウを手にし、大きく飛躍しますか?