今週の儲かる繁盛店の視点 第470話:「なぜ、売上が前年比並みでも人時売上は下がるのか? それが何の予兆なのかわからない企業が陥る落とし穴とは?」
行動制限なしのGWは天候に恵まれ、各地の観光地やイベントはどこも大混雑でした。
そんなGWもあっという間に終わり、今週は、慌ただしい日々が戻ってきています。
帝国データバンクによると、食品は2年連続値上げで、その数は5月で800品目、6月は3000品目となっています。
値上が浸透してきた、というよりも麻痺してきた?というレベルの方が近しいといえます。
全体的に商品単価が1.5倍近く値上がってるにもかかわらず、食品スーパーの売上が前年並みの水準?ということは、裏を返せば客数や一客単価がそれだけ落ちていることになります。
また、大手食品メーカーによる値上げ予告がTV報道されるたび、駆け込み需要で上がる月があったり、落ち込む月があると、均せば売上回復?とさえ思えてきます。
注意しけなければならないのは、売上が前年並みでも、人時売上が上がってこないと、人件費単価や電気代の上昇分を吸収できず、気づけば減益?という厳しい現実が待っているということです。
先日も
「売上が前年比並みでも、人時売上が下がってしまって…」 セミナーにご参加いただいた、企業の社長さんからのご相談をいただきました。
お話をお伺いすると、少し前から月次で人時売上実績を出すようになって、売上はそこそこなのに、人時売上高が前年比割れになってしまっているとのこと。
もしかすると、人時売上の捉え方が違っているのでは?…という思いから社長ご自身がセミナーに参加されたのです。
おっしゃる通り、人時売上は誰でも簡単に口にすることはできても、いざ活用するとなると、想像以上にいろいろなデータや仕組みが必要になります。
また、原因⇒結果といった単純な直線の因果律でなく、店舗を取り巻く周囲との様々な関係性によって大きく変わってきます。
そのため、売上を上げれば人時売上は単純に上がるものと信じ、これまで販促強化をやり続けてきた企業にとっては、なんとも理解しがたいものといえます。
例えば、「売上が増えるのだから、人を増やす」というのは一見普通のことのように聞こえます。
ところが、今の状況を考慮し「売上が減るのだから、人を減らす」ということを通常業務として店長は実行することはできますか?とお聞きすると、
「えっ?」と言葉に詰まります。
理由は簡単で、売上が増えた時の対応方法は決まっていても、売上が減った時どうすればいいのかやり方手順が決まっいてないからです。
そのため、一度、増えてしまった人時は、定年や自己都合退職などの自然減に頼るしかないく、簡単に減らすことが出来ないのです。
特に、6月は、こういった状況に加えて、賃上げや水光熱費の上昇が一気に営業成績上に載ってくるため、ふたを開けたらまさかの想定外?ということが起きやすい時期といえます。
このように、前提条件が変われば、やるべきことも大きく変わることを理解できていないと、至る所からお金が流失し締めたら減益?…というのはよくある話です。
そもそも、年間の経費予算は、こうした悪化要素を踏まえ組まなくてならないわけですが、多くは前年比ベースで経費予算が決められます。
前提条件が大きく変わった今、問題解決の糸口となるのは、売上が減ることに対応するための執行計画を立案し、予め店舗で人時売上のコントロールを出来るようにする。ということになります。
ところが、こうした話になると決まって、「うちは○○だから、△△できない」考えが出てきて抵抗勢力が頭をもたげます。
人は変わることを嫌う生き物です。こうした理屈を頭で理解することはできても、実行レベルに落とし込むには時間を要するものだからです。
そこで、社内の抵抗勢力との関係性を改善するためのきっかけとして、次の言葉を口に出して自らに問いかけてみていただきたいのです。
それは、
「もし、自社で人時売上を上げることが出来るとしたらどんな解決策があるか?」
社長として、一見解決不可能な人時に関する問題に出くわしたら、ぜひこの言葉を自分に問いかけてみてください。
そして、人時売上を上げ、収益を増やし企業再生を果たすために、次に取り組むべきことは・・・
店舗、本部、取引先、協力企業の中から、人時売上を引き上げ利益改善に大きく貢献してくれるキーとなる人の名前を具体的にリストアップすることです。
人時売上を上げるには、彼らにどんな質問をすれば、夢中になって協力してもらうことができるか?考えてみていただきたいのです。
例えば、人時売上を上げていくのに、全社で統一されたレイバースケジュールがあったらどうかるか?とか、店舗で形骸化した非効率な業務を改善していくには何が必要か?等、会社として新たにこういうことをやっていくつもりだがどう思うか?といった問いかけにより、
これまで、「解決できるわけがない」と思い込んでいた問題解決のヒントが浮かんでくるはずだからです。
もちろん、そのヒントだけで、すぐに問題解決を図るには、まだ情報が不足していて時間がかかるかもしれません。
しかしながら、これまでのように、社長ひとりが頭を抱え、何も手つかずの状態でコストだけがかかる状況は解決されるはずです。
そしてキーとなるメンバー数人で業務改革プロジェクトチームを発足させ、人時売上改善が出来る専門チーム作りを目指し、踏み出すことが大事一歩になります。
そういった場を設定することにより、収益をもたらす人たちと一緒になって、出てきたアイディアを具体的かつ画期的なものに孵化させることが出来るからです。
実際に、弊社の門をたたかれる方は、こうして、自社と一緒になって考えて欲しい、といったことでお見えになる方が多いのが特徴です。
さあ、貴社では、まだ、社長一人で考え会社動きを止めますか?それとも、従業員、関係企業といったあらゆる協力者と力を合わせ再生・飛躍を実現していきますか?