今週の儲かる繁盛店の視点 第473話:「人時売上改善を根本的な部分に触れず、表面的なことだけやろうとする企業の行く末は?」
先週は、真夏日が続きましたが、今週はがらりと変わり一週間ずらり雨マークが並んでいます。今年は桜の開花も早かったですし、真夏日が多かったりと前倒し傾向でしたから、今日明日にでも早い梅雨入り?といったことにもなりそうな天気です。
一方で経済は、欧米景気の失速と、国内企業の値上げによる売上利益が見込み増への期待から、日本株が買われ日経平均株価は3万円を超えました。しかし各企業の収益構造は、コスト上昇をカバーする水準になっていないことから、生産性改善に着手しないと、企業資金の持ち出しは増えるばかりです。
そんな中、
「先生、いくつかの、プロジェクトを走らせてるんですが、どうも数値が変わってこなくて…とある企業の社長からの個別ご相談です。
お話をお聞きすると、作業指示書に着手している同業他社から、レクチャーを受け自己流でやってきたものの、その10分の1も進まない。とのこと。
建物や販促什器、商品陳列といったことであればある程度マネすることはできても、店舗オペレーションとなると外から見えないためマネが出来ません。また、教えてくれる側に指導ノウハウがないと、社員の勉強程度にはなってもビジネスとして活かすとなれば、別次元の話になります。
こういったことに悩んでおられる方に
――――人に仕事がついたやり方から、仕事に人をつけるようにされてますか?とお聞きすると、
「え?」といった答えがかえってきます。
特定の人しか出来ない仕事が多いと、忙しい人は常に忙しく、暇な人はいつもマイペースでやってるといった仕事の偏りがでます。また、店舗コンディションのが安定しないだけでなく、効率的に回すことができません。
例えば、スーパーのサービスカウンターなどでは、承り、ギフト包装、お問い合わせといったなんでも一通り出来る人が何人かいます。ところが中元歳暮期になると、お客様がさばききれなくて、お客様を待たせているといった光景を見受けます。
特定の人しかできない業務ばかりなので、売場やレジで手が空いてる人がいても応援に入ることが出来ないためです。
こうした問題は、サービスカウンターに限った話ではなく、仕分け、品出し、エンド、掃除、経理庶務…といった至るところにあって、これを「人に仕事がついてる」状態と申し上げています。
今まで、縦割り組織として、特定の人にしかできない店舗オペレーションの是非について一度も見直してこなかった問題を放置していませんか?ということです。
かつて、小売りチェーン企業は人口が増えていた時は、働き手も多く人件費も安かったことからそれでも利益を得ることが出来ました。しかし、少子高齢化による人件費高騰で、ムリやり人員を削り、人手不足問題になったことは、記憶に新しいことといえます。
何が問題なのかわからない、原因不明の高コスト問題を多くの企業が抱えているということです。
こういった状態の中で作られた作業指示書を無理に使おうとすれば、どこを改善すればいいのかわからないことから、コストは下がらないだけでなく、人時売上は悪化するのは火を見るよりも明らかということです。
人時売上を上げていきたいのであれば、人についた作業を明らかにし、作業に人を割り当てていくことで、どこに問題があるのかわかることから、それを修正していくことを続ければ上げることは出来ます。
しかし、ことは、簡単にはいかないことも申し上げています。
人についていた仕事を仕事に人をつけるといのは、言い方を変えると、各個人が自由でやってきたやりかたを認めない。ということです。
人は変化を好まない生き物。長年やってきた自分のやり方を変えることに対し抵抗するものだからです。そのため、社員にまかせ人時売上改善をやろうとしても数値が変わらないのです。
つまり、人時売上改善をやるときは、社長が主体となって、人時売上に貢献した人を賞賛したり、改革を進める仕組みとセットでやらないと誰も動かない。この心理が分かっているかどうかが大きく明暗が分けることになります。
実際に人時売上を伸ばしている企業は、社長自らが動き、最初に第三者機関を使い仕組みをつくってから、社員から目を離さない状態をつくって動かしていくことがもっともスンナリいっています。
自社でやることが悪いということではありません、しかし、社員にできることと、できないことは何なのかを明確にし、自社にないものは速やかに、外部の機関を活用しとりくんでいかなくては、いつまでたっても結果を得ることが出来ないということです。
社長ご自身が、自社でやるべきことと、外部に依頼した方がよいことの判断がつく企業にしか、人時売上改善が進まないのはこういった理由からです。
さあ、貴社では、まだ、自社でやることにこだわり、時間とお金をかけ迷走しますか?それとも、業革が進まない根本原因を理解し効果的な一歩を踏み出しますか?