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今週の儲かる繁盛店の視点 第479話:「将来予測がつきにくい中、指示待ちが繰り返される企業の行きつく先は」

今週は、猛暑マークがずらり並んでいて、東京も間もなく梅雨明けになるのではないかといった感じの天気が続いています。同じ暑さでも、からっとした天気が多いと、気分も晴れやかになるものです。

店舗にはお客さんが安定してきてくれますし、行動規制のない夏休みは、国内レジャー海外旅行は、コロナ前を上回る勢いで、衣料や化粧品が復活し、食品の値上げで売上は、いまのところはもちこたえているといった状況です。

一方、電気料金やガソリン代が再び上がってきていて、節約への意識は高まってきています。
7月に入り、半年が過ぎたところですので、そろそろ来期の計画をまとめ上げるタイミングです。
とはいっても、売上もコストが昨年並み?という訳にはいかないため、経営にとって頭が痛いところです。

先日も、

「先生、うちは、私がなんでも言ってしまうもので、その指示を待ってしまうんです。」
と少し前にセミナーに参加された企業の社長さんからのご相談です。

聞くところによると、社長になって十数年、これまですべての部門に入り込み、幾多の危機を乗り越えてこられたとのこと。

そのため、運営部にしても商品部にしても、社長が言い出すまで動こうとしない…といった癖がついてしまい、この状態を変えていきたいとのこと。

おっしゃる通り、社長といえども、毎年、新しいアイデアが湧いてくるわけではありませんし、気力、体力もそのままのペースで…というわけにはいかなくなります。

当然、次世代に引き継ぐ準備をして企業成長のための、仕組みづくりもしていかなくてはならないわけです。

上場企業であれば、社長は5年から7年くらいで世代交代が進み体制が変わっていきます。そこで新陳代謝が進み、新しいアイデアや考え方が生まれ、切磋琢磨して企業成長していくものですが、ファミリー企業の場合どうしてもそこが弱くなりがちです。

人口増から人口減、デフレ経済がインフレへと時代は変化していることから、ビジネスのありかたも大きく変わってきます。

売上に対する考え方も「売上を上げる」という言葉一つとっても使い方に注意が必要になってきます。

小売りチェーン業界では、この「売上を上げる」という誘惑の言葉が常套句のように使われてきました。

しかし「売上」は売り手側でコントロールすることができないため、単なる概況結果としてとらえることしかできません。

にもかかわらず、人は、本人が思っている以上に、「売上」ということに対して、強い願望があるものです。

なぜなら、自分の行っている成果のであったり、ビジネスの展開上、売上が上がることが、モチベーションに与える影響も大きいからです。

また、一般的なチェーン企業では、その売り上げを維持するため、仕事が分業化されていてるため、何処かで問題があっても、なかなか是正していくことが出来ません。

例えば、バイヤーがじっくり企画して商品開発しチラシ訴求しても、店舗の棚に陳列する人は別のため、展開場所やスケジュールなどが、現場で変更され売上がとれなかったりすることもあります。

一方、店舗サイドでは「売れない商品の送り込み量が多い」とか「売り出しテーマが変わるだけで価格が変わらないPOPの切り替え作業がムダ」…といった言葉は残念ながらバイヤーに届くことはありません。

売上目的の分業化組織では、企画から販売まで一貫することは困難で、どうしても途中でブレやすいのです。

なぜそんなに「売上」について断定的にお伝えしているのかと言えば、前職で20年以上この売上至上経営の問題解決に関わってきたからです。

外資の傘下になったことを機に会社の運営方法も大きく変わり、かつて商品部や店舗運営部をはじめとした売上対策会議はなくなり、CEO主催の幹部会議で問題点を明らかにしていく方式に変わりました。具体的には、会議の9割は、お金の使い方や店舗コンディション改善に多する活動報告とその問題解決策の決定です。売上については数値確認程度でほとんど話に出てきません。

このようなちょっと珍しい仕事のやり方のお陰で、店舗や、自部門のことだけでなく、他部門の取り組みや困りごとに関することについても、お互い真剣に考えるようになったのです。

そういった会議運営の流れは、店舗にも波及し、店長がどこかほかの店の好事例の情報を聞いて、そのやり方の取り組み状況を教えてと言えば、すぐにその情報が入手でき自分の店や部署でもトライできる。といったクイックりーな体制に変わりました。

これによって、お客様からお店は支持され、店の利益が上がることで、従業員の貢献意欲も向上する、「三方良し」といったマネジメント体制が確立していったのです。

これまで、縦割り組織としてしか動かなかった各主管部門が、これを機に、全体収益力アップに精力的に取り組むようになった…ということです。

店舗運営として、このCEO主催の会議に定例メンバーとして出席し、企画の立案時から、「お客さんや従業員が抱える問題を明確化」させ、それに関わるメンバーが部門を乗り越え集まり「どういうビジネスモデルにしていくか」…といったことすり合わせ解決するということがあちこちで行われるようになったのです。

まさに本部と店舗を掌握して収益力を上げていく原点と言えるもので、経営の仕事とは、こういった動きを作っていくことであり、これが出来なければ、顧客、従業員、会社の「三方良し」はできないといえます。

独立後、多くの企業経営者と手を組ませていただきましたが、売上だけに偏ったやり方から、問題解決型PJの実施で、収益改善の選択肢が増えることで、「時間が余るようになった…」と言われます。

実は、この「時間が余る」状態をつくることこそが、社長が願う「店舗運営成功の方程式」とも言える、最重要の実務です。

詳しくは、セミナーでお伝えしますが、このことをしっかり満たして、人時生産性を上げることが出来ればどうなるか?そう、まさに夢のような状態が本当にやってくるということです。

さあ、貴社ではまだ、社長の指示待ち体制を容認しつづけますか?それとも三方良しの体制を構築し、大きく飛躍しますか?


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