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今週の儲かる繁盛店の視点 第485話:「経営者が押さえておくべき にわかに売上が上がった時「膨れたコスト」の捉え方」

8月も残り10日を切り、まもなく9月ですが、秋風のような風が吹くようになり、猛暑だった今年の夏もようやく終息に向かいそうな感じです。

新聞紙上では、「上場企業、3期連続最高益小売りサービス復調」といった大見出しが出ていて、インフレによる売り上げ好調が続いています。

一方、欧米ではすでにインフレは終息に向かっていて、旅行や外食、イベントコンサートといったリベンジ消費を除き、家具、家電、高級ブランド品は前年比割れになっています。

既に、販管費率は上昇していることから、米ウォルマートなどでは、4千人規模の削減によるコスト圧縮を進めています。インフレが終息し、価格転嫁がしにくくなる前に、膨れたコストをどう抑制するかが、今後の小売りの主戦場となっていくということです。

先日も…

「先生 インフレって楽なんですね~ 」お手伝いをさせていただき、目下人時生産性に果敢に取り組んでおられる企業の社長さんの一言です。

お話をお伺いすると、これまで、何をやってもこんなに売上が上がることなどなかったのに、世の中が一斉値上げに振れた途端、売上がこんなに楽に上がることに驚いておられるとのこと。反面、インフレの終息を考えると恐ろしく夜も眠れないらしく、人時売上活用に取り組んで本当に良かったです。と、眼鏡の奥から覗くほっとされた表情がとても印象的でした。

こちらの企業のように、人時のことを口酸っぱくして指導させていただき、人時削減をしっかりやってきたような企業でも、インフレで売上好調が続くと
「こういった売場をつくったから」とか「売れ筋商品の発注を強化したから」であったり「モチベーションコーナーの演出がどうのこうの」といった、売上アップの手柄話中心の会議になります。

売上が上がることは、もちろん良いことなのですが、問題は、売上が好調になると、どうしても人時のチェックが甘くなり、人件費超過のサインを見逃してしまいがちになるということです。

言い方を変えますと、

人時売上運用がきちんと出来ている企業は、このような、にわか売上アップのときも、経営として「コスト削減の手が止まっているから注意!」警鐘を鳴らすことで、未然にコストオーバーを防ぐことが出来ているということです。

ところが、こういった経営体制がとれていない企業は、正しく人時売上を把握出来ていないだけでなく、それを引き下げる仕組みがないことから、売上上昇とともにコストが上昇し、気づけば手遅れ?といったことになります。

実際、直近の中堅大手のスーパーマーケットチェーンの決算短信を見てみても、売上以上にコストの伸びが高く、慌ててコスト削減に動く企業が殆どです。

おまけに、電気ガスの値上げに加えガソリンの値上げで、家計消費支出における食品の割合が下がっていて、食品売上の伸びにも期待できないといった状況です

本来であれば、生活者の家計を助けるような新たな施策や、来店顧客の困っていることを解決するのが小売りチェーン業界の役割使命のはずですが・・・

その懐事情は、売上で昨比を上回ることができても、給与ベースアップ、時給の値上げによる人件費増や、輸送コスト等の販管費の高騰でそれどころでは…というのが本音であったりします。

こういった中、よく対策案として出ているのが、移動スーパーの拡大やレジのセルフ化などですが、その収入増や人時削減金額は僅かで、もはや焼け石に水といった感じです。

いわずもがな、店舗収益力を変えていくためには、レジ以外の、品出しや加工、発注、清掃…といった業務に人件費がいくら投じられているのか明らかにし、その非効率業務を止めさせたり、簡素化といったことを最優先して取り組む以外に、生き残る方法はないということです。

人時売上改善の基本は、こうした、業務量が多い仕事の総量を減らすことからはじめ、それをレイバースケジュールに落とし込むことで人時売上高が変わっていきます。

このように会社側が提供した仕組みで、一定の成果が出ることが分かるようになると、他の店からも、自分の店でも取り組みたいという声が出てくるようになります。

実施店舗数を増やし、全社の結果が変わり始めると、これまで、本部やプロジェクト内で、非協力的であった抵抗勢力の壁が徐々に崩れていきます。このサインを見落とさずLSP導入店舗数が全体の半数を超えることができれば、残りの半数店舗はアッという間に進んでいくといった具合です。

今、人時売上改善の取り組みを始めたとしても、効果が見え始めるのは前年比が出る一年後となります。だからといって、行動しなければ、来期大幅減益となる未来は変えることはできません。

各社お考えがあるので、それをどうこう言うつもりはありません。インフレ頼みの売上アップでは利益を伸ばすことが不可能なのは火を見るよりも明らかです。

しかしながら、人時売上を引き上げていくための戦略を手にし、その実務経験を積むことが出来れば、何倍もの利益を手中に収めることは十分可能になるということです。

さあ、貴社では、まだ、インフレのぬるま湯に浸かって、大幅減益の道を突き進みますか?それとも、厳しい自社の人時売上の実態と対峙し、一気に成長への道を歩み始めますか?

 


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