今週の儲かる繁盛店の視点 第495話:「なぜ、時間がないのにムダなことをやり続けることに執着するのか?何が無駄なのか見抜けない企業が陥る落とし穴とは?」
今日で10月も終わり、昼間の時間が短くなって、朝晩、冷え込むようになりました。
土日はハロウィンの恰好をした、親子の姿が街のあちこちで見受けられ、スーパーなどでも、秋の風物詩ハロウィン関連商品があちこちに出ていて、年々盛り上がりつつあります。
本来であれば、気温が下がり、防寒衣料や、鍋商材が売れる時期で売上はあがってくるはずですが、昨今の値上げで生活者の財布のひもは厳しいのが実情です。
先日も
「先生、競合と同じことをやっても駄目だと思ってまして…」少し前にセミナーに参加されたある企業の社長さんからのご相談です
お話をお聞きすると、先代から引き継いで10年。これまで、ハイ&ローいわゆるチラシや販促強化をやってきたんですが、どこもやっているので、それ以外の収益改善策をとっていかないとだめだと思っておられるとのこと。
――――これまで、やってこられたことについて教えていただけますか?
売上は週二回のチラシや朝市などのプロモーション、それにポイント○○倍で引っ張ってきました。人件費では、部門を超えた応援体制を組んできたものの、実質的なコスト改善になっていたかどうか疑問。
今は、値上げで売上高は上がっていても、人件費、電気代はそれ以上に上がってきているため、売上が落ちたら、大変になるのは明らかです。
不安なのは、もともと、ウチはそんなに人がいないので、いきなり人を削減して…というやり方だと、社内反発が起こりそうな感じがするのため、そこを、どうまとめていけばいいのかということなんです。
――――そんなに人がいないということですが、具体的にどれぐらい不足しているのか教えていただけますか?
「そう言われてみると…」と言葉に詰まります。
例えば、店別に何人不足していて、それは人時(にんじ)に置き換えるとどれくらいなのか?ということです。
人時(にんじ)とは、一人当たり時間作業量のことですが、作業ごとにどれぐらい時間が必要なのかを表す単位です。
売上高を人時数で割ると、ひとりの人が一時間当たりどれぐらい売上上げているかがわかってきます。
これによって、一時間当たりの品出し数や、レジの客数、商品加工等にかかる時間が見えてくるため、これを用いることではじめて、人が多いとか少ないといった議論になるわけです。
但し、前提条件として、店舗ごとに日々の人時数(勤務時間数)を正しく把握できることが必須となります。
例えば、出勤・退勤の時間はもちろん、休憩時間の時のタイムカードを打刻まで忘れずしなくてはなりません。こう申し上げますと
「本社員は休憩時間のタイムカード打刻はしていない」とか「朝は、道路が混んで遅れるので、早めの出勤をみとめており10分程度の早くタイムカードを打刻したものは残業にカウントしない」といった、「まるめ」とか「みなし」といったことから是正していくことになります。
簡単な話、だれしも休憩時間は無作業になっているため、この休憩記録の打刻がされていないと、作業をする人がいないにもかかわらず人がいるという状態になってしまうからです。
「ウチの勤怠システムは、社員の休憩時間控除できるようになっている」という声が聞こえてきそうですが、
ここで申し上げているのは、人についた仕事を、仕事に人を割当てすすめていくために、決められた作業指示書どおりに、人に動いてもらうようにしていくということです。
「どういうこと?」という声が聞こえてきそうですが?
作業指示書とは、会社側が決めた作業指示内容が書かれたもので、今後はそれに従って誰もが仕事をしていくということになります。 大事なのは、決まった作業を時間内に完成することであって、そのため休憩時のタイムカード打刻も重要になってくるということです。
かつて、人がたくさんいて人件費も安かった時代は、人に仕事をおおまかに割り振りまわすことができましたので、いちいち休憩時など記録しなくても良かったわけです。
しかし、そういった時代はすでに終わり、今は、少ない人員で、効率的に仕事をこなしていなかければなりません。
そうは言っても、仕事内容や作業の流れを知るものがないため、そうった事実を明らかにすることからはじめていくことになります。
そう言った準備を進めることで、店舗作業指示書が出来、それにあわせ、人を張り付けていくことになります。この仕組みを活用することで、仕事が無いとこには、人をつけない。ということが徹底され、一事業所あたり平均25%程度の人時数は楽に減るものだからです。
人を削減するのは人ではなく、無作業状態の余計な人時は要らないので無くしていきましょうということです。
そこで余った人時を、売上をとるための作業がある時間に再配布することで、売上が上がるからです。
こういったことは、専門チームをつくり試行錯誤して10年ぐらいの歳月をかければ、自社でも少しずつは進めることはできます。
すでに、結果の出ているノウハウや実施してきたリソースを活用することによって、それが、4分の1以下の時間で実現させることができたらどうでしょうか?見える世界がかわってくるはずです。
詳しくはセミナーでお伝えしておりますが、売上の伸びが止まり慌てる前に、動くことが大切になるということです。
さあ、貴社では、まだ、人がいないと曖昧なことばを使い続け、チャンスを見逃しますか?それとも、人時売上を使い、無駄な作業を無くし、確実にもうかる仕組みで大きく飛躍しますか?