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今週の儲かる繁盛店の視点 第506話:「なぜ、他の好事例やテンプレートを流用しようとすると上手くいかなくなるのか? 」

先生、予想通りになってきましたね。お手伝いさせていただている経営者の一言です。

「昨年は、値上げのおかげで売上は順調でしたが、そこに甘んじることなく、人時について取り組むことが出来て本当に良かったです。」と満面の笑みで話された表情がとても印象的でした。

と言うのは、一年のうちで最も売上の高い12月で、人件費を通常月並みに抑えれたことで、利益の5割アップが見えたからです。

お話をお伺いすると、これまで12月は人手がかかるものと思い、社員やパートさんは長時間勤務はあたりまえ、アルバイト採用も増やすものとされていました。

それを、今回は、実際に必要な人員はどれぐらい必要なのかを定め、作業計画におとしこんだところ、問題なくまわすことができ周囲から本当に驚かれたそうです。

もちろん、こうした取り組みもスタート時から全てうまくいったわけではありませんでした。

「こんな、計画など立てたところで出来るわけない!」とか「過去、何回も同じようなことをやってきて成功したためしがない!」「今度はなにをやらされるのか?」といった抵抗勢力の声は至る所から噴出していました。

その店舗の雰囲気といえば…ベテラン社員は、上司から指示をされても目を合わせなかったり、レジのスタッフも、お客さんからいつクレームがきてもおかしくないくらいの態度で作業をしている様子を見た時は、果たして大丈夫だろうか?とこちらが心配になったくらいです。

こういったちょっと異様な雰囲気の中、お店の状態調査を行っていくと、最初は怪訝そうにしていたパートの皆さんも、「自分の売場はいつやるのか?」とか「これでどういうことが分かるのか?」といったふうに興味を持ってくれるようになりました。

そして自分の担当業務に調査が入る頃になると、「何かお手伝いすることはありませんか?」とか、「いつ、そのフィードバックされるか?」といったふうに態度が変わってきたのです。

最初は、「忙しいから後にしてくれ…」と邪魔者扱いされていた調査も、こうして、現場に受け入れられるようになり、徐々に機運がもり上がっていったといえます。

そして迎えた年末商戦。この時しか見ることのできない業務が多々ある中、予め用意した基準値をもとに作業指示書を作って使ってみることになりました。

結果的にはほぼ時間通りに終わることができ、通常月と同じように年次有給をとることができたそうで、それが、店舗の人から大歓迎されたそうです。

そもそも、忙しくもないのに、年末というだけで「店舗全員出勤」がまかり通っていたり、「本部全員応援」もあたりまえというのも、本部スタッフにとっては不満の原因となっていました。

どのようにやったかというと、事前のヒアリング調査をもとに、本来、どのくらいの人員が必要なのかを割り出すことで、店の必要人時を出します。

本部の応援が、いつどのくらい必要なのかを決めれば無駄な応援要請はなくなるはず。という仮説をもとに進めていったというわけです。

こういった情報をもとに店舗運営部でも12月だから…「全員出勤」という固定観念からようやく脱出することができたということです。

もし、これが、店舗運営部だけで行われていたらどうなったでしょうか?有益な情報がないことから、いつものように作業に人が割り当てられ、何も変わることがなかったといえます。

というは、こちらの企業の場合、人に仕事を張り付ける作業割当表なるものを使っていました。

よく見ると作業有無にかかわらず、決まった人数を機械的にわりあてたものでした。余った人が出ても手が空かないように「手直し」「前出し」「クリーンタイム」といった、余った人のための作業があり、それが人件費を膨れ上がらせる最大の原因となっていたのです。

断っておきますが「手直し」「前出し」「クリーンタイム」が悪いといっているわけではありません。そういった動きをしていれば頑張ってることをアピールしたところで、それが、「利益を生んでいるかどうか誰もわからない」ことが問題なのです。

前出の企業でも、本当に暇ならいざしらず、これが、上からの指示になってしまうと、「自分が今やっている仕事を止めてこちらに参画しなくてはならないことが起こり、そのため残業になる」という笑えないことがいたるところで起こっていました。

「利益を生んでいるかどうか誰もわからない」ことに人が張り付つけた作業フローが、作業割当表にされていたため利益喪失していたわけです。

もし、これが2024年度も全店で同じことが行われていたらどうなるか? 言わずもがな、賃上げが確定している中、最悪の期末を迎えるということです。

なぜ、こういったことになっしまったのでしょうか?

どこかで上手くいったものをそのまま作業割当表として使っていたことにあります。

それが本当に自社にマッチしたものか未検証のまま話が進み、社長も店長もだれも止めることができなかったからです。

実際にご支援させていただいてる企業では、まず、こういった、根本的な部分からすべて説明させていただくことになります。これが、収益構造の要となるからです。

かつて昔の経営者の中には「そんな、細かなことまで小売りに必要ない」といった考え方の方もたくさんいらっしゃいました。

しかし、今は違います 「端から端まで細かくやるのが小売りの王道」の時代を迎えており、冒頭企業の12月の結果のように、それが何倍もの差を生み出してくれるからです。

さあ、貴社ではまだ、このくらい この程度…と考え人件費を大まかに使い続けますか?それとも、利益を増やす要として自社に合わせた作業指示書で利益倍増を実現させますか?


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