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今週の儲かる繁盛店の視点 第533話:「人時生産性改善で成功する企業と失敗する企業の違い」

「先生、人時生産性ってよくわからないんですよ」 

少し前にセミナーに参加された、ある企業の社長さんからのご相談です。

「お恥ずかしい話なんですが、かつて生産性改善の先生からの指導を受けていたことがあり、作業割当を作ってたんですが、成果が出せず途中で止めてしまったんです」

と、ポツリ一言。

聞くところによると、そのやり方というのは、なにやら厳しい基準があり、手順どおりに、出来ないと、「だからダメなんだ!」と担当社員は、怒鳴られたそうです。

社長さん曰く、「確かに、理論的には間違っていないし、出来ていないのはうちに問題があったんです。

だから、数値が少しでも良くなるように、本部も総出で支援し、私も、一緒になって檄を飛ばしていたんです。

でも、いくら頑張っても、売上が上がらないだけでなく、人件費も全く改善しなかったもので、時期尚早と思い、半ば途中で諦めたのです。

なんだか、モヤモヤしたまま、この取り組みは終了したのですが、その際に教わった、作業割当表だけは、とにかくカタチだけでいいので、やるようにと指導してきました。

ところが、やっていくうちにやらせることだけが目的となってしまい、幹部は、やってない店長を叱責するコトが散見し始めたのです。

言わずもがな、店長やマネジャーは本音で話しをしなくなり、何が本当の問題なのかわからなくなってしまった。この問題を一刻も早く何とかして、社員の笑顔をとり戻したいんです。」

―――――なぜ、人時生産性改善を始めようと思ったのですか?

そういった、ことを、一度はしっかり学んでおこうとおもったのがきっかけです。私含め、社員の理解不足というか?力不足だったのかなあと…

―――――何があればその問題は解決できますか?

「うーん」と口こもられます。

―――――少し、アドバイスさせていただいてもよろしいですか?

「宜しくお願い致します。」

―――――釈迦に説法かもしれませんが、たとえば、学校の勉強なら正解はひとつですが、ビジネスの正解は一つではありません。

作業割当表、基準値 ・・・その通りにやりなさい!というのは、誰でも言えます。

しかし、昨日今日スタートしたSMチェーンならいざしらず、御社のような100年近い歴史がある企業が、一つのやり方を提示されそのとおり回せるようになるには、それなりに時間もかかりますし、従業員への繰り返し丁寧な説明も必要となります。

大切なことは、その通りにやろうとして頑張っても上手くいかない時。それは何で、何に困ってるのか? そこで働く社員さんが個別に抱える問題を共有しながら支援していく、ということです。

これを、経営として見つけ出し、解決していかないことには、「やれ、作業割当表だ」「やれ、基準値だ!」といくら唱えたところで、一歩も前に進んでいかないということです。

そういった問題を放置し、「どこかの成功事例だから」とか「他社ではやってること」と無理にやろうとすれば、従業員の就業規則が害されパワハラの温床となります。

「そうは言っても、やらないより、やった方がまし、なのでは?」という 声も聞こえてきそうですが。

それは、成果がでている場合に限って。言えることです。

たとえ、初対面の人であっても、その言動や態度から、その先生のやり方が、どことなく馴染まないとか、心に引っかかっていることがあると、店舗の社員やパートさんはすぐに見抜くものです。

まして、指示内容を実現するための「手段」や「態度」に 叱責、怒鳴るといった行為が繰り返されれば、パワハラとなります。SNSが普及した今、こうしたことは、瞬く間に伝播していきます

折しも、トランプ氏襲撃というショッキングな事件がありました。そこから、氏の言動が大きく変わりました。

「半数のアメリカ国民のため」から、「全てのアメリカ国民のため」というメッセージは米国だけでなく、世界中の人々が心を震わせた瞬間だったと思います。

私はトランプ支持者ではありませんが、トップの言動にと行動が伴わなければ、心が離れていくのは企業も同じです。

企業として、強引に進めるやりかたから、全ての意見を聞き一歩前に進む道筋を描くのが、社長の使命といえます。そういう経営者を私たちは支援させていただきます。

さあ、貴社では、まだ、無理なやり方に時間とお金をつぎ込みますか?

それとも、目の前の問題を解決して、確実な一歩を進むことに力を注ぎますか?

著:伊藤稔


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