今週の儲かる繁盛店の視点 第537話:「なぜ、店長が人時売上を使えるようになると利益が増えていくのか?」
先生、「夕方の売場状態を良くしなさい」といってもなかなか出来なかったんです。でも、ここにきて、ようやく出来るようになってきたんです。
ご支援させていただいている企業の社長さんからのご報告です。
お話をお聞きすると、
うちの場合、夕方からの商品補充ができてなかったため、17時頃になると売場はガタガタになってしまうんです。
どの店の店長に言っても、「募集をかけても夕方は人が集まらない」とか「夕方に人を入れると人件費オーバーになる」といった、言い訳ばかりでなにも進まない。
実際、夕方、周囲のコンビニ店を見にいくと、お弁当や飲料・ビールなどはしっかり棚に商品が並び、売る体制ができています。
うちの店舗規模の方が大きいのに、なぜ、できないのだろうか?
これが出来ていないばかりに、仕事帰りのお客様のニーズにこたえることが出来ず、売り上げを逃していたんです。
それが、最近、少しずつ変わってきました。
ーーーー何が変わったのでしょうか?
店長が中心となって、品切れや、レジ待ちについて店内話し合いをするようになったことが、大きく影響していると思います。
競合が増収減益苦しむ中、ここ数年で新たにやったものを展開できたこともラッキーだったと思います。
今年は賃上げも実施してますが、今のところ、人件費は下がっているので増収増益は確保できています。
――――何が問題だったのでしょうか?
今までは、売出し当日は人員を厚くする、という体制をずっととっていたんです。
また、台風や雪予報、今は 猛暑という情報がでるとそれに合わせて出勤要請をしてきたもんですから、人件費は増える一方でした。
このままいけば、人件費に押し潰されてしまうと危機感を募らせ、必要のない時をみつけれれば、人件費は減らせるのではないか?と思ったのがきっかけでした。
しかし、そのためには 時間帯ごとにどんな作業があるのか?といったことをつぶさに調べていかなくてはなりません。応援はどこからだすのか?いったい何処から手をつければいいのか?そういった不安だらけの状況からの出発でした。
すぐに、実験店を設定し、売上・コストについて調べていくと、徐々にいろいろなことが見えてきたのです。
例えば、これまでは、売上の高い日にあわせ人を採用してきたのですが、そこでは実際に週8時間くらいがあれば十分なのに、週30時間という4倍以上の勤務契約をしていたのです。
店の仕事に終わりはないので、多めに人を採用し、空いた時間は売場手直しやPOPといった日頃できない作業をやらせればいいという想いもあったのだと思います。しかし、これが、人件費増の原因になっていたのです。
背景には、人口増で売上が伸びていた時も時給を上げてこなかったために、こういった契約をしてもそれほど目立つことがなかったということがありました。
しかし、ここ数年人口減で売上は低下し、今年は歴史的賃上げが行われたことから、こうした水増し契約はもはや出来なくなりました。
欠員補充しようにも必要最低限どの時間に人をいれればいいのか?わからなかったため、集められらない事態が起こったのです。
これを、解決するためには、今、どのように、店全体の業務が行われ、売上にどうつながっているのか?誰にでもわかるようにしていくことが必須となります。
当然こういったことを調査し作っていくのにも、時間もかかります。
いろいろと悩んだ結果…
これも、将来の成長への一歩と覚悟を決め、結果が出るまでとにかく徹底してやり続けることにしたのです。
そして、スタートして1年が経ったころから、店長は自らやっている業務が、どう売上につながっているのか?自力で掴めるようになり、それが、結果につながったといえます。
ーーーー特に効果があったものは何でしょうか?
今まで、売り上げの高い日に人を増やすというやり方から、売上の低い日でも利益がだせるように人を平準化させたほうが、無理なく利益が出ることがわかったということです。
これによって、店長は、今ある人材の契約変更面談を積極的に行うようになり、夕方の時間帯の売上があるようになったのです。
そういった体制構築できたことから、やれ、台風だ、大雨、猛暑といったことに、振り回されずに収益を確保する体制を敷くことができるようになったのです。
さあ、貴社では、まだ、売上の高いの日に人員を増やせといって、人件費をかけ続けますか?それとも、人時売上を使いこなせる店長を育成し、無理なく増収増益できる経営を実現しますか?
著:伊藤稔