今週の儲かる繁盛店の視点 第15話:「人時売上を駆使して成長する会社と衰退する会社の違い」
第15話:「人時売上を駆使して成長する会社と衰退する会社の違い」
先日 個別ご相談にお見えになったチェーン経営者の方からこんな質問をうけました。
「人時生産性(人時売上)を上げたいのですが?どうすればムダが減りますか?」というご質問です。
———ムダなど気にせず、売上を上げることです。とキッパリと申し上げました。
人時売上は財務諸表ではないし、あくまでもバランスを見る管理数値なのですから、どのくらいが一番利益がとれるかを分かっていればいいだけですよ。と・・・
人時売上は高すぎればチャンスロスや商品ロスが出ます。
難しいのは、人時を過信し「どこかにムダがあるはずだから人を減らす?」という思考でコストカットの道具として使うと売れてる店まで売れなくなってしまうということです。
スーパーマーケットの人時売上は30000円~10000円ぐらいの幅があるので、どこがいいのかというのは一概には言えませんが、共通して言えることは、人時売上が高い会社は単に人時が少ないだけでなく、明らかに販売力も高いということです。
これを予算化して設定している会社もありますが、前年実績に基づいて割り振っているだけなので、人時が予算内収束しても売上目標が届かないことが起きます。
そもそも、冷静に考えればわかるのですが、労配率の高い小売業が仕組みなしで、人時を減らせば、販売の手数が減り業績は落ちはじめます。
「そんなことは、言われなくても分かってます」 という声が聞こえてきそうですが、半期が終わると「利益だけでも・・・取りたいという」 想いが先行し人件費減らしの道を繰り返すのです。
では、この人時はどうやって決められているのかというと・・・
予算担当者は、人件費から逆算しガチガチ予算を作りますから、店舗は少しでも残業をすると人時が超過して利益が未達成になることが起きます。予算は予算ですから、社内は手間をかけて売上を上げるリスクよりも、リスクの小さいコスト削減に動き始めます。
一旦、そうなってしまうと、今までならクリアしていた売上すらもいかなくなる現象が起きます。
ここが、衰退が始まる企業の事業部長がはまるところです。
次に、何がおきるかというと
売上増に期待しないわけですから、やることは社員リストを片手に、目標達成に足りないコスト分の「残業カット」をするのです。
これが、衰退が始まったの運営部長が陥るところです。
本来ならば、売上を上げるために「人時を投入すべきであるのに 会社は何を考えているんだろう?」と会社に対する不信感が高ります。
これが、衰退傾向の店長が陥るとこです。
断っておきますが、人時を使ってコストで調整をするのが悪いといっているわけでなく、仕組みをつくらずやれば お客様をレジで待たせたり、商品の説明もできないことがおきます。ネット通販が台頭しシェアを伸ばしている中、そこにはチェーン店として衰退の道しかないということです。
大事なことは、人時は、お客様の声に応え続ける時間を確保するものであり、店舗が独自に集客、販売力を引き上げるための差別化の武器といえます。
まずは 人時を正しく理解し、個店力を最大化できる店舗がひとつでもできれば、成長の仕組みづくりの糸口がつかめたも同然です。
たったひとつの店づくりですが、代わりのきかないパイロット店舗をつくるので、ここでは最低120%の出来栄えでなければなりません。
パイロット店をつくっていく手順の詳細は セミナーや個別相談でお話ししておりますが、
社長を中心に、改革プロジェクトを設定し、本部と店長を1つのベクトルに合わせ同時に動かす周到な準備が必要となります。
さて、成長企業に向けて、やることはたくさんありますが、貴社では、直近3カ月の人時売上の結果はいかがでしたか?
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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