今週の儲かる繁盛店の視点 今週の儲かる繁盛店の視点Vol.20「新規出店で成長する会社とできない会社の違い」
第20話:「新規出店で成長する会社とできない会社の違い」
先般 個別ご相談にお見えになったチェーン経営者の方からこんなご質問をうけました。
「かつてはチェーンにして利益は伸びたが、既存利益が増えない中で新規出店を続けるべきかどうか?」というご質問です。
—-既存店の利益が増えないのは、仕組みをもたれないからです。このまま新規出店をすると赤字になります。とはっきり申し上げてます。
日本のチェーンストアは半世紀が経過してますが、1950年代ごろからスタートした米国のスーパーマーケットを真似して導入したものです。
日本の小売業も高度成長期からバブル時期はこのモデルで高い売上を確保し、この売上をさらに伸ばそうと競って出店をしてきました。
しかし、その時出店した店舗は、今は少ない利益しかでない構造になっています。
老朽化店舗は改修するのにもコストかかり、投資をしても期待値がとれずさらに利益を圧迫する状況になっていて、このパターンで店を出すと赤字が増えるということです。
そもそも、なぜ どこのチェーンも多店舗化を目指すのか?とういうことを考えて見ますと
その背景には「規模の利益」追求があるからです。
「規模の利益」とは、店舗名や取り扱い商品を共通化し本部一括仕入れにすることにより大量購入を活かした手法です。
今では、当たり前のことと思われますが、まだコンビ二も無かったころ、日用品が普及し始めた高度成長期時代にはこの方式は対メーカーに対して大きな威力を発揮しました。
さらに、特定地域に出店するドミナント戦略や自社物流センターにより物流コストを引き下げたり、大量の商品販売データーシステム開発を進めメーカーへの商品調達力を高めてきました。
一言で言うと、大量販売するチェーン店が優位という特権を得ていたのです。
但し、これは売上が伸びていた時代の話であって長期売上低迷の時代に状況は変わってきています。
一方で、チェーン店元祖の米国はどうなのかというと、実は小売は堅調で伸び続けています。
理由は簡単で、移民政策で人口が増え続けているからです。
米国の2013年人口は3億人で30年間で1.5倍になりました。日本はというと、微増でさらに2011年から人口減に転じてます。
これから100年かけて人口は半分になると言われている時代に突入しました。
当然ですが、人口減の日本のチェーン各社は、あちこちで苦戦をしています。
このままで出店を続ければ赤字になるのは明らかなわけです。
外資の例で言うと、仏のカルフール、英国のテスコもGDPの高い肥沃な日本市場を見込んで出店してきました。
しかし、人口が増えないリスクを目の当たりにし早々に撤退しています。
ウオルマートもその昔に日本進出を手がけたのも一旦は断念してます。
どんなに市場があっても人口減の時は取るべき方法が変わるということです。
この「規模の利益」を維持しなければと思い込んでいる企業は、安売りをしてでも売上維持をしようとします。
しかしそれを「吸収するしくみ」をも持たないととんでもない事態に陥ってしまうのです。
最近のその象徴的な出来事は、イオンの総合スーパー事業の営業赤字転落です。
イオンは人口の増え続けているアジア各地域でウオルマートと競合し苦戦し、そのウオルマートのスーパーセンター店型こそが最強考え、その風貌を真似した店をつくり日本でも展開してきました。
一見するとイオンの売場は価格を打ち出し、単品をクローズアップしているような作りは外資ローコスト店風にも見えます。
しかし、その中身は似て非なるものでそれを「吸収するしくみ」をもっていなかったということです。
儲からないのに、割引デーを連発し、新店を出し続けて締めてみたら赤字。
さらに襲い掛かる設備投資と、原材料や人件費高騰・・・
これは、表面的なことを真似ても「儲かるしくみ」がないと絶対に結果はついてこないということの典型例といえるでしょう。
こういう実例からも、仕組みがないうちは、新規出店は凍結すべきと断言しています。
私が一店舗での成功モデルづくりにこだわる第一の理由は 赤字店を増やさないということです。
前職の会社は バブル崩壊後半数の店舗で利益がでず、3割の店は赤字でした。
そのために金融機関の融資が引き上げられ数年後に破綻状態に追い込まれました。
幸運にも、外資提携を契機にそのノウハウを忠実に再現したことが再生のきっかけとなりました
愚直に成功モデルを再現し、テストを繰り返しそこで不足しているものを自ら考え開発し現場に落としていく。
外資がいいとか、悪いとかいうことは関係なく、「お客様に優れたサービスを提供できる店舗状態をどう再現しつづけることが出来るか!」を追求し続けた結果だと確信しています。
「それは、以前やったけどダメだった」「資料をみながら真似てみたけどできなかった」「うちにはそんな優秀な人材はいないからできない」とおっしゃる多くの経営者の方が私のところにご相談にお見えになります。
しかしその中でも、その数ヶ月後にも結果をだされる方がいて、その共通点は常に「愚直」であったということです。
たとえそこで結果が出なくてもその鍵を手に入れられた方の経営者の笑顔はまるで別人のように変わります。
今 ダメであっても、明るい未来に向けて「やりたいこと、やるべきこと、できること」これがイコールで結ばれた企業は圧倒的な強さを発揮します。
今 そのモデルを作り上げるために、「愚直」に進みそこでの完成形をつくる手順を経営企画書に、明文化されれば会社の力は1つにまとまります。
大事なことは「お客様の要求に混乱し混乱の中から新しい体制を築く」その第一歩は、貴社の中にある優れたものに注意を向け夢中になってやりつづけることです。
「お客様に優れたサービスを提供出来るしくみ」が揃ってからでも新規出店は十分間に合います。
さて、まだ 御社では新規出店を優先して考えますか?
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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