今週の儲かる繁盛店の視点 第154話:「売上・コストの両面で成功する企業と出来ない企業の違い」
「先生 会社を変えていくのは組織ですか?それともシステムが先でしょうか?」
とあるチェーンの経営者からのご相談です
——会社を変えることのできる人材育成が先です。ときっぱり申し上げました。
組織やシステムや仕組みを使って、ローコストオペレーションを実現するのはすべて人です。
「その人材を育成するのは誰?」という声が聞こえてきそうですが、
一人ひとりにその力を発揮してもらうには、経営幹部が一人ひとりを尊重する仕組みづくりに関わっていくことです。
伊藤は仕事柄チェーン店のバックヤードを 経営者と一緒に拝見することがよくあります。
先日も夕刻の時間帯に、店のバックヤードを見せていただきました。
商品カートラックがところ狭しと置かれた中で、小柄なパートナーさんが、頭の高さぐらいのとこから、コカコーラの箱を手押し台車に積み替えをしていました。
運営部長曰く「今日はチラシ初日ですから在庫が少し多い感じです」と少々渋い顔つきです。
——-1ケース品出しするのにどれぐらい時間をかけてますか?
「う~ん、特に決めてはいませんが・・・」
たかが品出し作業ですが、これを1ケースあたり1分で設定するのと、2分にするのとでは、大きく変わってきます。
たとえば、1日に600ケース入荷する店であれば、時給1000円だと品出しの一日あたり人件費は1万円ですが、年間だと365万円です。
2分ですと730万円かかることになります。
なんと、今年採用した、新入社員一人分もの差がでてくるのです。
今、人が集まらないチェーンでは、こうした実態を把握されてない企業が多く「(人が)いない、いない詐欺」に騙され、高値で人を採用したり、派遣会社の依存から脱却できないまま、高い販管費をかけ続けています。
また、いい立地やいい条件での、優良物件出店であったとしても、売上に頼った試算が、長く続くほど店舗経営は甘くありません。
一方で、こうした作業量を日々算出する仕組みで、経営をされているチェーンでは、新入社員が増員された5月でも、販管費を計画内に収束させ、利益もしっかり確保しています。
これらのチェーンの共通していることは、ローコストオペレーションを基本に作業の仕組みを考え、変化させていく手順通りにやっているという点です。
インターネット通販は立地や商圏に関係なく貴社の顧客を奪っていきます。
いつの間にか、貴店の周辺にはびこっていたコンビニも売上シェアを奪っていきます。
冷静に考えてみればわかることなのですが、アマゾンやコンビニは貴社チェーンの品切れや、取り扱いのない隙間商品や営業していない時間帯などを狙っています。
言い換えればコチラのミスやわきの甘さを狙ってきてる相手に対して、日替わりチラシで売上を上げようとすれば、コストの無駄遣いだけでなく、売場コンディションと粗利を下げ、苦戦するのは明白です。
断っておきますが、けしてチラシ訴求がダメと言ってるわけではありません。
これまでの勘違いなハイコストチラシ依存営業から、的を得たローコストオペレーションに変えることで、このラットレースから抜け出すことが出来るのです。
この時期に新店や店舗改装を進めておられるなら尚のこと、ローコストオペレーションをもたない、大型投資は、ランニングコスト高止まりをまねき、赤字基調となるのは火を見るより明らかでしょう。
チェーン経営において、毎年営業利益を更新し続けることは命題です。
そのためには、一人ひとりを尊重し、最高を目指せる仕組みを経営陣は毎年磨き上げておかねばなりません。
詳しくは、セミナーでお伝えしておりますが、業務改革で利益が残る仕組みづくりが、会社を変える人材育成の一番の近道なのです。
さあ、貴社におかれましても、コンビニやアマゾンから顧客を取り戻す施策、すでにスタートされておられますでしょうか?
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。