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今週の儲かる繁盛店の視点 第319話:「なぜ、薄利企画に手を出すと重要なことが出来ないのか? その理由はズバリ〇〇!!」

「先生、いくら言ってもムダな作業をやってるんです、それをどうやって止めさせればいいのか?事例があったら、教えてください」と、先日お見えになった、あるチェーンの社長からのご相談です。

――――どういう作業があるのか書きだしておられますか?

「売上が減る作業も中にあるので・・・」

――――売上が減ることを恐れているうちは、何を言っても変わりません。とキッパリ申し上げました。

「売上は全てを癒す」という言葉があるように、コロナ特需であれだけ忙しくても、人は頑張れるものです。

商売をしていて、とにかく嬉しいことは、理由が何であれ、売上が上がった時の高揚感であり、企業として「売上」にこだわるのは当然のことだと思います。

問題なのは、残念なほど、本当に何が良くて、何が悪かったのか?今後、どうしていくのか?一目でわかるよう数値があり、目指す方向が示されていないということです。

例えば、特需とは言え、平月、食品日用品であれだけ売れると、12月を超える利益がガッツリ入る。ということが分かったということです。

「どういう意味なのか?」という声が聞こえてきそうですが?

――――5月次人時売上高が12月次実績を上回った。ということです。

実際に特需の5月の売上高を、総人時数で割ってみればわかると思いますが、売上二けた伸ばすことで、今の人員でも、利益目標を達成させることができる。といえます。
言い方を変えますと、そこまで売上の伸びが期待できないのなら、人件費は二けた近く低く抑えないと、目標達成の利益を達成することは出来ない。ということです。

直近の推移を見ると、すでに平常時の人時売上水準まで戻ってきていますからなんらかの手を、打っていかなくてはならないということです。

「ふう~」とため息が聞こえてきそうですが

人時生産性について特に取り組んでおられない企業では、人件費の上昇から、ここ数年、毎年、販管費率は0.2~0.6%のペースで上がり続けています。これを平均0.4%ととした場合7年後には2.8%販管費率が上昇することになります。経常利益率3%以上確保できている企業でも厳しいことになります。

各社のお考えがあるのでそれをどうこう言うつもりはありませんが、自社内で検証してみていただきたいということです。
 
 ご指導させていただいている企業では、ムダと解ることは、当然止めるようにしていますが、問題なのは、少しばかり売れているので止めるのには惜しいといった業務です。実際に、ある数値に照らし合わせて観るとほぼ赤字で、これまでそういったものがなかったことから、止めることができなかったのです。
今は、それをどう使い、どういう行動をすればいいのか?社長、運営部長、店長が同時に知ることができるので結果が変わってきています。

これによって会議で審議しなくても、店長の行動が変わり、日々数値結果が変わっていくようになるからです。

 来年(2021年)度は特需の裏返しになることから、今から、こうした対策を立て明日から変えていかなくてはならない。とハッキリ申し上げています。なんといっても、日々、店長が取るべき行動を示せるわけで、それを365日実行することが、最大の効果をもたらすからです。

まだ、人件費が安かった時代、売上が上がってもそこまで経費が上がらなかったおかげで成長できたチェーン業界も、今後は大きく変わっていかざるを得ないことになります。

これからは、売上利益の伸びと同時に、販管費の上がるビジネスモデルは、遅かれ早かれ淘汰されていきます。

今、チェーン企業が直面している問題は、手数をかけずに、量を捌く構造をどう創るのか?そして、その利益を、どうやって、質の高いサービスや差別化商品づくりに、投資し、ビジネスの地位を確立させていくわけですが、ここに、陥りやすい2つの落とし穴があります。

ひとつめに、差別化や、新商品やサービス、販促強化といったことを先行実施しジリ貧になるということです。

新商品・新サービス開発や導入は、企業として力を入れやすいものながら、成功確率は必ずしも比例しない。ということです。

一つ大ヒットがでれば大逆転も夢ではありませんが、スーパーマーケットで1万アイテム中、新商品としてそういった商品が成功するのは、せいぜい年間30アイテムもあれば大躍進で、それは千三つといわれる確率です。

それらのヒット商品を売りこなしていくためには、それが認知されるまでの、品切れ、値下げといったコストがかかります。

つまり、どこかでそれを下支えする、安定した収益構造を作っておくことが必須であり、売上が厳しくなったことを理由に、縮小均衡するようでは話にならならないからです。売れる商品育成で収益をあげるためには、先立つものを用意しながらやる順番を間違えてはならないということです。

二つ目には、なんでもゼロから自社でやろうとすることです。今はネットで何でも調べられますから、そういったたぐいの研修に社員を参加させて、それを広げさせようとする企業が多いのも事実です。

人時生産性といったすべての業界を一緒くたにした、一般的な生産性改善の研修を受けても、労働分配率の高い小売りチェーン業界では、改善のスタートすらもできないのです。

理由は簡単で、例えば、製造業では、各生産ラインが決まっていて、その流れの詰ってる部分の改善をして、生産性を変えていくことになります。
小売りチェーンの場合、一箇所に留まって作業をするのは、せいぜいレジぐらいで、その他の業務は、店型や規模によって全て異なることから、売上を目標に人を配置し、流れは個人任せとなっています。目指すところも、やり方も全く違うことを聴いてきて、自社で流用できるほど商売は甘くはありません。

こういった課題を解決し成功させるには、経営として自社を題材に、どこから手を付け、どこに問題があるのか突き止めた上で、結果を出していくことが必須となります。

経営として、なまじ売上のある薄利業務を見抜くためには、改革手順と業界特性を把握した上で進めてくことが必須となります。そうすることで本来手掛けなければならない、ローコストオペレーションや付加価値の高い商品開発の道筋は見えてくるものです。

さあ、貴社では、まだ、儲からないことに時間をかけ続けますか?それとも、時間切れになる前に、新たな仕組みで動き始めますか?


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