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今週の儲かる繁盛店の視点 第340話:「たかが残業、されど残業、この捉え方の違いが大きな差を生む」

「先生、残業が減らなくて…」とあるチェーンの社長さんからのご相談です。

かつて、残業は自己申告で、ある意味自由にやっておられた企業も多くあったことと思いますが、今は企業側がちゃんと管理しなくてはならなくなり、それを変えていくのに苦労された企業も多いことと思います。

それまでは、売上も人も多く、それでもなんとか回すことが出来ました。今は、売上減少とともに、その世代の人が定年退職され、少ない売上を 少ない人数で、効率的に回していことが求められています。

特に、新型コロナによって、旅行、運輸、外食をはじめとした多くの労働集約型業界は、激減する売上の日々、人員削減の苦渋決断をされ、大きく生まれ変わろうとして日夜奮闘されています。

一方で、特需で湧いた、食品住関連の小売り業界は、長年、衰退業種と言われ続けたものの、この特需でその危機感が薄れたような感じでもあります。

何でもそうですが、お金が入ると、ホッとするもので、ホントに必要なコトは何なのか?意志が固まっていませんと、お金はとりあえず、財務基盤強化となります。

とはいっても、今の高コスト構造をどう変え、利益をどうやって増やしていくべきか?ということが急務であることに変わりはありません。

年末はお盆同様の売上低迷が想定される中、年明け2月以降は、前年比割れが確実なことから、あの時やっておけば…と、後悔先に立たずとならぬようにしたいものです。

というのは、感染予防対策にまつわる人時増に加え、採用単価の上昇もあり想定以上に人件費が膨れてきているからです。

ここで、実際に、膨れかけた人件費の中身はどうなっているのか、ご確認いただきたいのですが、お手元の数値で、貴社の、直近3カ月の毎月の「時間外人時数」を「総人時数」で割ってみていただけますでしょうか?

いかがでしたでしょうか?

どのくらいのパーセンテージトでしたでしょうか?

もし、人時が経営の指示通りの使われているとすれば、時間外人時は月を追って減り、ゼロに近づくはずですが、そうなっておられますでしょうか?

年商10億のお店の人件費を約1.3億としますと、時間外比率が2%の場合、残業代は260万円となります。それが高いか低いかはさておき、問題はその中身がどうなのか?ということです。批判を恐れず申し上げますと、その内容を掴めなていないとすれば、260万円もの使途不明なお金が一店舗で使われているという事です。

「遊ばせてるわけではない。実際に特需があって人数もかかったわけだし…」という声が聞こえてきそうですが

前出の企業にお聞きしたところ、時間外人時比率は7%といった高い水準で推移しており、1店舗あたり年間600万以上の残業代が発生する見込となっていました。

残業は、中身がわかりにくく中々減らないものですが、その要因を知るには、作業指示書の活用方法を理解することが必須となってきます。そこで日々修正していくことで、初めて結果が変わるものだからです。

こういったことは、頭でなんとなくわかっていても、実際に実務としてやってみないことには、分からないことが多く、プロ野球観戦で、観客としてああだこうだと批評するのと、実際にグランドの上で奮闘する監督・選手ようなもので、オーディエンスとプレーヤーのように全く見える世界が異なるということです。

例えば、人員采配に於いても、現状契約に合わせて作業計画を組むのでは人時売上に限界があるため、これからは、人時売上目標を設定し、効率が上がる作業計画を組んでから、契約時間を変更を要請していくことになります。

当然ですが、予め効率の高い作業手順が組まれていることが前提となります。それがありませんと、応援も人事異動もできないため、特定の人に負担がかかり残業となるのです。

ここで考えておかなくてはならないのは、今、現場の中心で働いていベテラン人材が、何らかの事情で来れなくなったり、辞められた場合どうするのか?ということです。あたりまえのことですが、その人にしか出来ない仕事を担当の枠を超えて、他の人でも 出来るようにしておくことが必要になります。

ここで問題となるのは、人は、自分の代わりはどこにでもいると言われると自尊心が傷つくため、自分でやってきた仕事を、簡単に人に教えたがらないものだということです。表向きは「簡単ですよ」さらりと伝え、本音ではその秘訣やコツを中々語ろうとしないのはそのためです。

良くあるのが、人を採用して、そういったベテランさんの下につけても、長続きしない。そりが合わずすぐやめてしまう。自分でやったほうが早いし…ということが起き、それが、応援、支援といった全体の作業に大きく影響してくるのです。

これから、少ない人数で回していくためには、部門や担当の枠を超えた応援体制は欠かせません。ところが、応援を出しても「いらない」、部下を付けると「つかえない」、時間内にというと「それは無理」といったベテラン組がいると、上手くいかないのです。

前職時代も、こういった問題を多く抱えていて、運営部長や店長もこういった人に辞められては困るコトから、仕事のすすめ方を変えてもらうことが言えず、長い間、現場の生産性があがらない大きな要因の一つとなっていました。

一方で、既に作業指示書にもとづいた 店舗運営をされているチェーンでは、そういった、ベテランの作業の流れを分析し、誰もが出来るように簡素化させることで、いついっても同じ店舗コンディションが提供できるようにしたことから、顧客満足度調査結果が安定し、客数も上昇しています。

ベテランだからといって、現状仕事のやり方変えずに、人を配置しておくのは、企業にとっても、その職場、本人にとってもいいことはなく、それをキチンと説明して、丁寧に進めることが大事なのです。

そういった、仕組みのもと、社長は肝を据え、運営部長、店長に指導していかない限り結果は変わらないのです。

来年は、これまでに経験した事の無い厳しい風が吹き荒れる時です。残り1カ月どう、過ごすか?そういった覚悟を決められた社長をお手伝いさせていただくのが私たちの役割です。 


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