今週の儲かる繁盛店の視点 第129話:「毎月稼ぐチェーンと年末で稼ぐチェーンの違い」
第129話:「毎月稼ぐチェーンと年末で稼ぐチェーンの違い」
「12月は売上が高いので人時も高く設定していいんでしょうか?」あるチェーンの経営者からの質問です。
——–売上ではありません、作業量に合わせて設定をしてください。12月だから必ずしも人時が高くなるとは限りません。ときっぱりと申し上げています。
「年末はそれ以外にもやることがある いくら人がいても多すぎることはない!」という声が聞こえてきそうですが、
——–では「それ以外のやることが書かれた作業指示書」はありますか?とお聞きすると 「うっ!」と皆さん言葉に詰まります。
例えば、かまぼこひとつとっても通常価格は200円ぐらいですが、年末おせちのかまぼことなると5倍~10倍の価格になります。
品出し作業は1ケース単位で時間は差がないのにこれを売上に合わせてしまうと、過剰な人時をつけてしまうことになります。
年末だからこそ試食を出したり、いい商品をお薦めしたいこともたくさんあり、余分に人員を持ちたい気持ちは分からなくもないですが、作業指示書がなければ、人件費は無駄につかわれるだけです。年末だからしかたないと昨年とおなじことを繰り返すようでは、いつまでたっても、利益があがらない年末商戦から脱却できません。
売場に並べきれないほどの商品を仕入れ、商品ロスを発生させ、定番商品の品切れロスを繰り返す企業は、粗利が低く、販売管理コストが高いのが特徴です。
まして、今はネット通販で当日配送もあります。通路まではみ出たエンド商品と品切れといった、買いにくい状態が改善されなければ、お客様は離れていってしまいます。
一方で、そんなに商品ボリュームはなくても、お客様が商品を買いたいときに商品がきちんと取り揃えられている店は、使える店として評価されます。粗利は確保され、販売管理コストは圧倒的に低く抑えています。
確かに想いとしては、12月商戦は予算を達成できますと嬉しいですし、達成感は格別なものはあります。
しかし、前職時代でも12月商戦で予算達成できた経験は数えるほどしかありません。
決して手を抜いていたわけではありませんが、企業がマンパワーに依存している限り、全ての店で同じようなことが起きます。
12月だからといって容認してきたことも、12月だからこそムダをなくし利益を増やすという戦略が 今こそ必要と言えます。
人時を使い始めると、この状況を変えるのはそんなに難しくないことに気づきます。
こういった課題を一度に解決しようと考えた場合、一日の作業量と作業指示結果記録があれば、そんなにブレないことが判っています。
それを誰でもできるような仕組みにすれば、店舗間格差だけでなく、月間格差も是正できることになります。
年間12カ月間の勝率でいえば5勝7敗よりも引き分けがいいわけですし、7勝5敗の勝越しであれば年間利益も手が届くようになってくるわけです。
「そんな 多大なシステム投資なんかできませんよ」という声がシステム部長から聞こえてきそうですが、店舗の利益に結びつかない作業のムダコストは、その何百倍もあるもので、経営視点で見れば、単年投資回収率100%以上という今どき信じがたい効果の見込める投資のひとつと言えます。
しかし、最初は一気にやらずに、1店ずつ丁寧に進めていきますので、仕組みづくりとして業務改革プロジェクト人材を設定します。
まずは、現状のムダを利益に転換する一歩目を踏み出していくわけです。
大事なことは、 もちろんお店の店長やパートアルバイト社員の方の誰でも使えるようにしていくわけですが、その前に、幹部にもしっかり使いこなせるようにしておかなければならないということです。
プロジェクトや経営幹部が使えなかったら実際に現場で指導することはできません。
運営部門と主管部門が100%の力で支援できる仕組みが揃って利益の更新は実現できます。
まずは、年度売上と利益をしっかり押さえられる 月次週次の人時売上の把握から始めてみてください。
その考えを体系化することが、12月に偏重した利益構造を見直し、月次の安定基盤づくりの第一歩となります。
12月の達成執行を考えるということは、来年度の執行計画をしっかり構築することを意味します。
歳暮商戦がスタートした今週、チラシ本数 競合価格 競合出店に翻弄される店舗運営から、自社の執行プランに基づきお客様の求める店舗運営に改革していく、最大のチャンスと言えます。
さあ、貴社でも、強く、長く、成長するチェーン実現のための店舗業務改革の打ち合わせを はじめてみてください!
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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