今週の儲かる繁盛店の視点 第138話:「個店力の強いチェーンと弱いチェーンの違い」
「先生、うちは店舗に自由にやらせてるんですが、そこを取り上げてしまうとやる気をそぐようなことになりかねないでしょうか?」
と以前 弊社にお見えになった、あるチェーン社長からのご相談です。
——-お店がやるべき業務指示が書かれた用紙はありますか?
「うーん そこまでは・・・」、
ディズニーランドやマクドナルド、スタッフは笑顔で自由に働いているように見えますが、各自の仕事の範囲が決められてます。
やる作業・手順が決まっていて、労働時間内に終わらせる。その範囲の中で「笑顔で自由にやる」ということです。
企業として、発注売り場づくりの仕組みがあって、その範囲内で自由に力を発揮できれば、会社も儲かり、個人の充実感ともつながるわけです。
「そんなことわかってますよ」 声が聞こえてきそうですが
間違ってもやってはいけないのは、慣れてる仕事だからといって作業指示書なしに、「自由」に任せることです。
日頃から店舗に丸投げする習慣がつくと、特定の人にしかわからない暗黙知が増え、忙しい人と、暇な人に分かれ従業員相互の信頼関係を損ないます。
忙しい人に仕事が集中する残業問題は、作業指示書によって改善することが出来ます。作業指示書は、表にでてくることはありませんが、経営を支える重要な役割があります。
皆さんも ご経験があると思いますが、人は忙しい時は急ぐ、余裕のある時はゆったりやるものです。
人に作業をつけてコントロールすると、個人都合のムダ作業が増えていきます。
気づかず、コストオーバーになってから、人減らしをしようとすると、必要なことまで削ってしまうため「人がいない、人がいない」という事態がおきます。
こういった問題も「作業指示書」で共有されていれば、事前回避できます。
「店舗に自由に・・・」という一見聞こえのいい言葉も、この仕組みなしで、丸投げした時点で 高コストになるということを肝に銘じておかねばなりません。
お断りしておきますが、けして個人が自由につくる楽しい売場がダメと言ってるわけではありません。
お店の優先順位として、お客様が、欲しい時に 買いたい商品がある。これが、社内で共有されてることです。
人口減の中、貴社のお客様は、わずか1回の品切れで、Amazonに流れ二度と戻ってこなくなります。
まずは、品切れのない売場で、商品を販売して利を得る体制をつくるということです。
残業問題、ムダ作業、品切れといった、複雑に絡み合った課題も、「裏方」で作業指示書という一枚の紙をつくることで、利を生む店舗オペレーションに生まれ変わります。
一週間が終わって、一歩づつ解決していくことで、年間52個もの課題が解決していく。
気づけば、競合他社にはない、最小時間で終わらせ売りに転じるしくみが出来あがり、商品販売の体制に集中できれば、思わず笑顔が出るものです。
こうした店舗の業務改革は大手はやらないことから、中小チェーン企業が、大きく成長するための武器といえます。
さて、貴社では、作業指示書の活用、もう始めておられますでしょうか?
今日も最後までお読みいただきありがとうございました