今週の儲かる繁盛店の視点 第143話:「見えないロスを活かすチェーンとそうでないチェーンの違い」
「イトウサン うちはだいぶ経費削ってまして、もう無駄はないと思うのですが」
とある会社経営者からのご相談です。
——–経費を削減することと、無駄をなくすことは別です とはっきり申し上げました。
ムダな経費は削減しますが、必要なところには 時間とお金をかけなくては個店の力を最高にすることはできません。
継続的に人時生産性を上げるには、何が不要で、何が必要なのかを 区分けすることが重要といえます。
これは、自己流でLSPを導入し何年もやってるけど成果が出ない、あるいはこれから人時について取り組みたいといった まだ1歩も踏み出されていない方にとっては、「いったい何のこと?」と思われますが、ここに企業の利益構造を転換する大事なポイントが隠されていると言えます。
少し触れさせていただきますと
人時については学ぶステップがありまして、その基本通りにすすめることが、無駄な時間と労力を消耗させずに成長軌道にのせることが出来ると言えます。
経営目標から設定された、人時生産性目標だけを示されても、どの道を通ってそこにたどり着けばいいのかを示す地図が無ければ労力と時間を消耗し、目的地にたどり着くことはできません。
「山で迷ったら 動くな」 と言いますが、それは方向がわからくなってパニックなって、体力消耗や 滑落する危険を回避するためです。
しかし、もっと大事なことは「山で迷わないためにどうするか」ということです。
どんな小さな山でも山道をなめてかかると、大変なことになる例えですが、店舗の業務改革もまさにこの言葉が ピタリとハマります。
伊藤自身も 前職時に業務改革に関わり、効果を出すまでに7年の歳月を要したわけですが、改革をより早く進めるために、導き出した答えは、「経営戦略で迷わないためにどうするか」ということです。
当時は、外資傘下となった直後で、サイニングや什器、作業指示書や人時管理と見える部分を形から入ってやれば、出来ると言う指示が多かったのです。が、それを実際に使った人がいなかったために、活かすことが出来ず、利益のマイナス状態が続いていました。
マイナス状態脱出のきっかけとなったのは、当時アメリカ人の社長が営業本部の私のデスクに来て 「イトウサン やめる仕事を集めてみてくれ!期限は1週間だ」と言った一言でした。
私自身 店舗実務には自信がありましたから、このくらい簡単にできると、少々なめてかかっていたようなとこがあったと思います。慌てふためいたのは、その一週間後でした。なんと、たった3つしか集めることができなかったのです。
今となっては 笑い話ですが、自分の無知に気づかずに日々の雑務仕事に追われていたのだと思います。
そこで、自らが旗振り役となり、現場に入り込み調査を開始しました。
あの手この手で2週間後に100個以上の「止めても大勢に影響のない仕事」を集め改革プロジェクトを立ち上げました。
その結果、3か月後には、数百億の無駄が 社内から消えることとなり、半年後に黒字に転換し7年後のいまも利益更新をしつづけています。
答えは 自分にあり、現場にあった、 しかし 自分をはじめ、社内の誰一人、それがそうだと誰も認めようとしなかったことにあります。
「汝自身を知れ」 という言いますが、自分の行動や姿は生涯見ることが出来ません。正しいと思っていても、第三者の目からみればだいぶ違っていたりするわけです。
自分自身を知っていれば、「自分の苦手なことはこれだ」「こういう時はこうすればいい」と解決方法を導き出すことが出来ます。
しかし、自分の苦手なことを知らなければ、指摘をする上司やメンターやの言葉は聞き入れることすらできません。
「大手企業だからできたのでは」という声が聞こえそうですが、働いている人間の能力に大差はほとんどなく、差がないからこそ、よけいな事を一切せず、エネルギーを集中し努力を続けることで結果が変わった。というのが、私は本当のことだと考えます。
実際に、すでにこの課題をクリアされた企業は、次の目標に向かい、結果を変え続けています。
「見えない無駄は 探しようがない」と言うのは 簡単です。しかし、見えないことに チャンスは隠れていて、それを見える形にして導くのが 経営の役割です。
さあ、貴社におかれましても、薄利構造を解消し 最高益を更新する戦略ついて考え始めてみませんか?
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。