今週の儲かる繁盛店の視点 第144話:「新たなコストの使い方で成長できる企業とそうでない企業の違い」
「いやー、この改革プログラムがなかったら手遅れになってたと思います。今期はこれをメインでやっていきます」
――――業務改革プログラムをスタートされたばかりの社長の一言です。
ここをしっかり掘り下げていきますと、あるべき店舗運営の形と経営に関わる様々な問題点が浮き彫りにされてきます。
例えば、売上高の違う土日と平日の人時が殆ど一緒であったり、毎日残業ゼロで帰れる売場もあれば、毎日何時間も残業ばかりの売場もあって、はじめてこれを目にする誰もが、人時はコントロールされていない状態であることが 同時に見えてきます。
数カ月経つと、これがしだいに変わってきて、何をどうすればどう結果が変わるということを店長が意識して動くようになっていきます。
ここで、プロジェクトの目指すべき方向が社内である程度しっかりと見えてくるようになります。
翻って、経営者として、部下の前に立って話す時を想像して、次のことばを ご自身に問いかけてみてください。
・昨年の3月と比べ残業は減っているだろうか?
・昨年の3月と今年の3月の週間人時実績は、どのくらい変わったのだろうか?
・昨年の3月に比べて社員の生活はよくなっただろうか?
・昨年の3月と比べ自社の店舗は買い物しやすくなっただろうか?
・昨年の3月より国内で尊敬される企業になっただろうか?
・昨年の3月よりわれわれは強いだろうか?
この質問すべてに対して、答えがオールイエスなら今の道でOKですので突き進めてください。
しかし、もしそうでないのなら、これから先、別の選択技を時間をかけてでも探さなくてはなりません。
前出の企業が取り組んでいるプロジェクトは、この問いについて結果を出していくためのものであります。
いま、少子高齢化が加速する中 上がるコストに 伸びない利益の状況下、このままでは、ほとんどのチェーンが数年後に、消えてしまうのではないかというぐらい、厳しい状況下におかれているといえます。
経常利益率1%~2%という吹けばとんでしまうような、薄利構造をどう改革していくべきか?その時代に入っていると言えます。
社長の直感として、社内に改善しなくてはならないムダはあると分かっていてもどこから手を付けなくてはいけないのか、見えにくいものです。
実は、その状況を変えるのは、それほど難しいことではありません。
社内の改善しなくてはならないムダに、どう手を付ければよいのかザックリと言いますと。
・利益を生む作業と 生まない作業に区分けする。
・利益を生まない作業で、人時がかかってるものを仕分けする
・仕分けしたら止める作業と簡素化する作業に分けて設定する
といった感じになります。
「利益にならない作業なんてあるのですか?」という声が聞こえてきそうですが、
正しくは、直接的に利益を生む作業vs直接的に利益を生まない作業ということになります。
店舗作業の流れで言えば、お客様からお金をいただく接客とレジ、ここが利益を生む作業といえます。
一方で、その他の作業では収入は発生しませんので、直接的に利益を生まない作業となります。
ちなみに、それぞれにどれぐらいの時間がかかっているかご存知でしょうか?実際に計測してみると、8対2の割合で利益に結びつかない作業が圧倒的に多いことがわかります。
意外?思われる方も多いと思いますが、お客様と関わるレジや接客は2割しかないので、サービスレベルを上げていくためには、ここの配分を引き上げていくことが重要なこととなります。
では、人件費の8割を占める売場作業はどうなっているのか?ということですが、どの企業のやり方を見ても、20年前とそう変わっていない、ひょっとしたら30年前とエンドやプロモーションコーナーの陳列などのやり方は変わっていないといっても過言ではないのです。
これが、年商1000億であるなら 店舗人件費は100億で、その8割が昔かしのままの店舗運営がなされているということになります。
仮にここで、20%の無駄が改善されたとすると、16億ものキャッシュが生まれ、成長戦略コストに回すことが出来ます。
そういう意味では、人件費は、これまでの抑制すべき「リストラコスト」という位置づけから、稼ぐ力を高める「成長コスト」に転換する仕組みづくりが重要といえるでしょう。
さて貴社ではこういった議題について、昨日は何時間考えましたでしょうか?
それとも まだ、利益を生まないことに投資しつづけますか?
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。