今週の儲かる繁盛店の視点 第145話:「新たな戦略の前に備えるべきこととは?」
イトウさん 、最近はAIがやたらと先走りしていて「スイッチいれたらスケジュールが一発ででてくる 作業指示書がほしいんだけど」というチェーンの問い合わせがあとをたたないんです。
どこかで、そんな 都合のいいもの作って売ってるのでしょうか? とあるシステム会社の経営者との会話です。
———そういうのがあったら、チェーンストアの生産性は2倍になってます。(笑)
働き方改革ブームにのり、現場の作業指示が明確であるかどうか?ということに注目が集まっています。
指示の出し方一つとっても ムダを無くしわかりやすく指示をしなくてはその作業は時間内に終わらず、人時生産性が上がらない要因となるからです。
これまで小売業がやってきた「口頭指示」の仕事のやりかたは、時間外労働を増やすだけでなく、労基署からの改善指摘リスクを高めるといえます。
AIなるもの、過去の「作業指示書」行動データーを蓄積し、そのなかで一番正解に近しい答えを推奨してくれるものですが、そこに稼げる判断軸があれば、利益増大も夢ではありません。
一方で、「作業指示書」を使うことができていない企業が、いきなり、いまの状態から、AIに丸投げすれば、無駄が増幅され赤字となるのは時間の問題と言えます。
現実には一般的な「作業指示書」を作ることができない企業も多く、それが、人手不足や長時間作業を引き起す主要因となっています。
「うちは作業指示書作ってるけど 人手不足です」という声が聞こえてきそうですが
——–ではムダ作業の棚卸はどうやってますか? とお聞きすると
みなさん 「うっ!」と言葉に詰まります。
よくあるのが、出勤表に作業を書きこんだものを指示書と称している企業です。それは「作業指示書」とならないので、すぐに止めてください。とキッパリと申し上げています。
「作業指示書」は、ムダを洗い出し人時を戦略的に使うことが目的ですから、このプロセスを飛ばして、時間をかけ作っても役に立たないからです。
こうしたフィルターを通して作られた「作業指示書」であれば、どの時間帯に人がいないのか?明らかになり採用時に威力を発揮します。
よくあるのは、不要なところに人が張り付いていて、必要なところが不足していてトータルでは人時予算がオーバーしてる、というケースです。
例えば 夕刻や夜間などの一部の時間帯に人手が不足しているピンポイントの事実だけが、マスコミ紙上で「人が足りない」と大きく取り上げられてることを鵜呑みにし、思考停止になることに問題があると言えます。
伊藤が提唱し各社が作成する作業指示書は こういった店舗の不都合な真実のあぶり出し、改革を進めるツールとして、その一助を担っております。
現状把握から始めるわけですが、経営として、やってはいけないことを知っておく必要があります。
例えば「本業以外に改善を求める」ことでして、水道光熱費、商品原価、販促コスト等、相手がいて、自社で解決できない課題についてはなにもしない。ということです。人は他者の部分のミスは厳しく指摘しても、自分への評価は甘くなります。だれも責任を負わない「本業外の改善を求める議論」をやってる余計な時間はない。ことを共通認識させることといえます。
一方で、自社で取り組む部分の課題は 徹底的に全社で解決に当たり、店舗の自律化を促進していかなければなりません。
「作業指示書」をつうじて個店を強くするため、結果に対する責任制という習慣を身につけさせていくのです。
しかし こうした新たな取り組みには時間もかかります。だからこそ、全社で無駄な時間を無くし成長戦略に掛けていくことが重要となってくるのです。
今まで、売上を上げるために、やってきたものであっても、利益に結びつかないものはやめていく判断軸を設定することからまずはじめなくてはなりません。
人が大勢いた時代は、いろんな新しいことをやって多少利益率が下がっても、なんとか出来てしまった。
しかし、人が減り始めた時代、店舗の最前線のリーダーの采配一つで、利益がでるかどうか決まってしまいます。
長期にわたり人口が増え続けた背景のもと、小売業は 長い時間をかけて人を育成する 年功序列に頼って成長してきまました。
少子高齢化の時代に突入し、景気成長が望めない今、少ない人員で回す仕組みを即戦力育成方式で確立することが これから本業で稼でいく強固な石垣となります。
さあ、貴社におかれましても、自分で作る作業指示書 もう始めておられますでしょうか?
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。