今週の儲かる繁盛店の視点 第150話:「人手不足を活かし成長するチェーンと活かせないチェーンの違い」
イトウさん 残業を申告通りにつけるとコストが膨れるのではと思ってましたが逆でした。
とあるチェーン経営者の一言です。
けしてサービス残業をさせていたということではなく、きちんとタイムカードを打つ習慣を現場に納得してもらうことで、現場のいろいろな問題が浮き彫りになってきたのです。
「うちはそんなことはちゃんとやってる、もっと改善となる方法を知りたい」という声が聞こえてきそうですが、
それでは、昨年度のタイムカードの未打刻率はどのくらいでしょうか?とお聞きしますと
皆さん「うーん」と言葉につまります
例えば、未打刻率が10%とあったとしたら、10%人件費がどう使われたのかわからない状態にあったということなんですが、こういったことを経営としてどう意識されてますか?ということであります。
本部からも応援をだして、一生懸命に作業をしているのに、穴の開いたバケツで水をすくっているようで、労力がかかる割に水が汲めていない。禅問答のような質問ですが、利益を生み出すためには、人員投入をする前に、そういった運用がなされているかどうか?ということが極めて重要となってくるからです。
小売は労働集約産業だから、人手は多くあったほうがいいという考え方やり方で、10%もの人件費が無駄に使われていたとしたら、人時生産性は低下し、職場が疲弊するのはむしろふつうの出来事といえす。
一方で、リーダーが無駄なく仕事を割り振り、きめ細かく人時を動かし人時生産性を生み出しているチェーンでは、毎日の正しい人時を把握することは必要条件として取り組んでおられます。このような企業の共通点は、パートナー社員の動きや行動が素早いということです。
こういった行動方針のもとに、採用の進め方を改革していくわけでありますが、店は人が足りないといってくるけど、どの時間帯のどういう作業が不足してるのか?と聞いても、とにかく何人入れてほしいという一点張りで、これでは、経費費がオーバーしてしまうので、簡単に承認することができません。
フルタイムで欲しいと言われても そういう人は限られているので、それなら長く使える新入社員ということになってしまうわけです。
冷静に考えていただければ、わかるのですが、社員一人の生涯賃金は2億円、パートナー社員は6千万円です。
経営がすべきことは、このコスト増に対して、人時生産性を上げる仕組みを用意していくことにあります。
断っておきますが、けして新規採用をストップするということを申し上げてるわけではありません。
詳細は、セミナーでお話ししておりますが、
それを知るには、店舗の作業を書き出してみるとわかるのですが、作業には曜日別に緩急があり、短時間であってもそれに合わせて働ける仕組みがあれば、潜在雇用対象枠は拡がります。
例えば、保育園に通っておられる子さんのいる方は、パートタイムで短時間労でキッチリ時間内に終わる事が重要で、時給の高低よりも、作業内容が明確で、休みがとれて 時間とおりに帰れることが外せない条件となります。
チェーン経営者として決めるべきことは 作業を指示する項目が、日別に 売場単位 ショップ単位で作られ、契約時間内に仕事が終わるようにした上で新規採用をするようにすることです。
今は、クラウドワークスのように自宅でパソコン一つで、仕事に参加できる仕組みがあるわけで、お店にパートで働きに出て、上司の指示が曖昧で、いつ休みがとれるかわかりにくかったり、時間通りに帰れないお仕事をわざわざ選ばなくてもいいわけですから人が集まらないのです。
一方で、こういったことを きちんと調べておられるチェーンでは、売場単位で人時管理に基づく仕組みをつくり、生産性を改善しています。
新入社員が配属された店で人時生産性が落ちることはありませんし、パートナー社員であっても、自宅でパソコン作業でやる仕事より高い労働対価がえられることで定着率もあがります。
その根底となるのが、作業指示書であり、最大のコストである人件費を効果的に使う最強のツールといえます。
個店で利益が増えない理由は、人が集まらないといった表層的なことではなく、生産性の低い業務が作業の中に多く含まれているからに他ありません。
作業指示書を日々活用しその業務を取り除くだけで人時生産性は変化していきます。
さあ、貴社におかれましても、
今も 繰り返し行われている 生産性の低い業務を、生産性の高い業務に置き換えていくためのアクションプラン すでにスタートされておられますでしょうか?
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。