今週の儲かる繁盛店の視点 第156話:「多店舗波及で成功するチェーンと失敗するチェーンの違い」
「先生、売れる競合店の事例を マネしてやればいいんだ,と指示してるんですけど、なかなかやろうとしないのです」
先日セミナーに参加された、経営者からのご相談です。
―――目立つ店を作りたいのですか? それとも 儲かる店を作りたいのでしょうか?
「いい売場を作れば、売れる店になると思うのですが・・・」
売れるチェーンには、そういった類の店舗が多いといえます。しかし、儲かるチェーンとなるには、儲かる仕組みをつくり、無理なくひろげることが大事となります。
よく勘違いされるのが、伊藤の提唱する個店力最大化というのは「見た目がすごい」とか「特別な売り方」とか「提案型の売場」・・・といった、単なる外見的なものと思われる方がいるのですが、それは全く違います。
見た目のいい売場は、特定の人にしかできないものが多く、人が変わるとその売場は、再現できなくなります。
そのような「人についた仕事」を表面だけ、断片的にまねてやってたところで、その都度、悩み立ち止まることになるので、それ以上の生産性は期待はできません。
むしろ、儲かっているチェーンは、そのような表面的なとこでは、なにもしていません。大変失礼ながら、「え、この店舗本当に儲かっているの?」と思われるくらいです。 また、商品提案も店によってそれぞれで、やってる店もあれば、ほとんどやらない店もあります。
いうなれば、誰でも出来る方法で、儲けを増やし、個店の生産性を最大にしていくことが、個店力最大化と呼べるものです。
表面的に見えないもののひとつに、店舗の運営管理の要となる、作業指示書があります。
作業指示書とっても、これをはじめてやる実験店では、あらゆる質問に答えることが出来るように、時間をかけていきます。ここで運用できるようになったら、同じ手順で、2つ目の店もつくっていきます。
しかし2店舗目は、最初の店とは異なり、3店、4店と次々と短期間で作っていくためのロールモデル(お手本)となります。言い換えますと、一店舗目は「取扱説明書」とすれば、二店舗目は「簡単マニュアル」となります。
この違いを理解していないと、1店できたんだから、それを波及させればいいとか、それを基準として、他で使い回ししてやれば・・・、といった発想でやってしまうと、大抵は暗礁にのりあげ、多店に、浸透させていくことは難しくなります。
同じチェーンであっても、店舗規模はもちろん、通路の長さ、使用している機器や備品が統一されているわけではありません。ある程度は「簡単マニュアル」を見て進め、特殊与件に遭遇したら、「取扱説明書」を読んで調べる。というイメージになります。
こうしたことを考えるとき、どうやるかというと、最初の一店舗目は「高いビルを全方位で囲む足場を組んで、全てを知ることからやっていく」ということです。
大事なことは「社員の手で、その企業にしかない作業指示書の取扱説明書を作る」という点です。一種ものづくりのような、地味なやり方ですが、実際にやってみますと、再現性が高いものとなります。
また、企業の店舗の実情を踏まえた、特徴が多く反映されるため、他社にマネされにくいという利点も兼ね揃えています。
これまで各チェーン店の中で、使われてきた言葉は、企業によって、かなり違うもので、それぞれの仕事に対する想いや考えが詰っています。
これを個店の力に変換することが、個人を尊重し、企業が儲かる近道となるからです。
実際、私が関わった多くの経営者の方も、最初はゼロからの出発でしたが、今はそういった手法で次々と結果を出されています。
さあ、貴社にも実践することは十分可能です、次に飛躍をするのはあなたの番です!
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。