今週の儲かる繁盛店の視点 第160話:「通路幅で大きく変わる 成長チェーンと衰退チェーンの違い」
「先生、通路の確保の意味が分かりました。通路はすっきりさせます。」
とあるチェーンの社長の一言です。
先日、社長と一緒に、店内を見てまわりました。
広いバックヤードと厨房を拝見してから、スイングドアをくぐり売場にでると、通路の中央に特売コーナーが見えます。
そこに、ティッシュペーパーが積み上げてあります。
社長は、すぐに、売場にいた担当パートナーさんに近づき質問しました。
社長:「これ一日にいくつ売れますか?」
P:「1日に10個です」
社長:「ありがとう、これが一番売れてる商品ですか?」
P:「そうです」
社長:「何か、困ったことはありますか?」
P:「次から次へと、本部からの送り込み商品が来るので、売れ残り商品の中間売価POPを 作らなくてはならないので作業が大変です。」
社長「本部には問い合わせましたか?」
P:「バイヤーに言いましたが、中々そうはならないんです」
社長:「わかりました ありがとう」
このチェーンではエンドで売れる商品数は、把握してましたが、それをどう活かしていけばいいのか?その改善方法が、明らかになっていませんでした。
かつて人口が増え続けた時代、目立つ大型POPをつけて、商品を大量に積めばもっと売れる、といったことがどこの企業でも行われていました。
小売業に長く携わっておりますと、過去の経験が大きく売場作りに影響してきます。
それも、決まって一番売れたときの売場の状態が画像となって、頭の中に鮮明によみがえってきたりします(笑)
そういう経験のある人が、バイヤーや店長になりますと、そのような売場が増えていきます。
人がいた時代であれば、人海戦術で商品移動をさせ、POPを作り替え、売場に変化をつければ良し、とされてきた時代もありました。
しかし、特売エンドと言えども、陳列量には限りがあり、それ以上に仕入れてしまえば通路にはみだし、広い通路の真ん中に特売アクションコーナーが出現し、在庫となります。
そのためか、店内通路幅を 必要最小限しかとらない企業が多いのです。
現に、通路幅の広さは、消防非難導線が確保され、お客様がカートですれ違える幅があればいい思われています。
ここで少し考えていただきたいのですが、
なぜ、広い通路を狭くしてしまうと、問題があるのでしょうか?
お客様がゆったりと買い物ができるのを妨げるという理由もひとつですが、
最も大きな問題は、商品の補充時間に、関係するという点にあります。
スーパーマーケットの場合、多くは早朝であったり、夜間という営業時間外に集中的に品出しをするところが多いのですが、その数は一日に数百~数千ケースになります。
つまり、商品満載のカート台車が短時間に40~50台が通路を行き来することになります。
そこに、ところ狭しと、あちこちに商品が積み上げてあれば、通路は狭くなり、カート台車はゆっくりいかなければなりません。
売場近くまでカートを持っていくにも、他のカートが邪魔になり、近づくことができなかったりします。
パートナー社員の声からでてくる、非効率業務の中に、「売場と倉庫が遠く時間がかかる」という声が、最も多いのですが、この時間帯に売場とバックヤードの行き来をすると、カート台車の隙間をぬって移動するために、通常よりも時間がかかることもわかっています。
人手の確保が難しい中、こういった非効率な作業の削減は、先延ばしにすればするほど、経費は増大します。
通路幅が広ければ、スムーズに移動できるうえ、売場の近くで作業ができるため、一個当たりの品出し時間が少なくて済みます。
これが年間365回となれば、大きな違いとなってきます。
詳細は、セミナーでお伝えしておりますが、
単に、「ああせえ こうしろ」と言うのは簡単ですが、店舗は指示待ち状態となり思考停止します。先の社長のように「質問」や「声かけ」で、店舗は考えるようになり、改善すべきことが浮彫りになります。
しかしながら、そのように的確に「質問」や「声かけ」が出来るようになるためには、準備を周到にやっておかなくてはなりません。
先の社長もプロジェクトで、学ばれ、仮説をたてたうえで、現場のパートナーさんに、今も丁寧に質問しています。
その中で、業績が変わってくる、たくさんヒントを見つけ出されております。
さあ、あなたの会社にも、改善の宝の山はたくさんあります。
その準備始めておられますでしょうか?
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。