今週の儲かる繁盛店の視点 第161話:「一店舗で終わるチェーンと多店化で成長するチェーンの違い」
「先生、うちは変わらないんですよ、やっていい!って言ってるんですけどね」
とある企業の社長の一言です。
その言葉を聞き、店舗でのヒアリングを進めていくうちに、その理由がわかりました。
店舗のヒアリングミーティングでは、改善要望が100個以上も出てきたにも関わらず、改革プロジェクトではそれが、4分の1に割愛され提出されてきたのです。
この瞬間、この企業は、各部の意向をおもんばかり、社長や社員が知っておくべきことが伝わらず、変われないことが分かりました。
店舗のヒアリングミーティングでは、パートナー社員からの厳しい意見も出ます。
例えば、
店舗への商品送り込みが、店舗コストをアップさせている、商品本部は、見直しを検討し欲しい。とか
生鮮トレーも、使われないものが店に残ってるので、その用途にあった発注ロットにして欲しい。とか、
店舗でも、倉庫整理のやり方の手順を決め、より効率的にでできるようにして欲しい。
といった数百におよぶ改善要望があがってきたりします。
こうして出てきた 非効率業務を見直し、それを 接客や売場づくりといった、人にしかできないことへ時間の再配分していくことで、店舗では余裕と笑顔があふれ販売力は上がっていきます。
変革しつづける企業は、こういったことについて学び「会社が動いてくれた感動を話したくなる」社員の心理を認識しています。
トヨタやディズニーランドそしてウォルマートも、この社員による伝説づくりに時間をかけて作っていったからこそ、巨大な企業となった今も成長しつづけています。
よくあるのが、「そこからは、自分でやります」といって、その1店舗だけで終わり、それ以後、尻つぼみとなって、再び弊社の門をたたかれる社長もいらっしゃいます。
理由は簡単で、一店舗目の手本の店をつくることと、それを多店舗へ広めていくというのは、違う技術が必要となるからです。
「自分でやります」これ、実に聞こえはいいのですが、意味は「店長に、自分でやるように指示してやります」ということの略意です。
一方で、「自力で出来ます」と言われる企業は、「企業として自力で やることが出来ます」という意味合いとなります。
似てるようで全く違うこの二つですが、前者は店舗に丸投げしてやらせる。のに対し、後者は誰でも出来るようにして進める。
という大きな違いがあり、店舗間格差の原因がここにあるといっても過言ではありません。
組織を動かしていくには何十人もの関係者の同意を とりつけていかなくてはなりません。人に行動してもらうには、時間がかかるのため、組織建てをして進めていくことが必要となってきます。
「それが出来ないから困ってるです」という声が聞こえてきそうですが、
企業がお客様のことを考え、自社の役割を認識し行動すれば、そこに必ず、気づきがあり、企業哲学が生まれてきます。
企業哲学があるからこそ、業務が洗練され、独自の販売方法が生まれ、それを波及させる方法が生まれる。
ここで重要なのは「社員によって語り継がれる」ことを組織的に進めていくということです。
人は自分のためでなく、人のために働きそこに喜びを見出すことで、人生の価値に気づきます。
人のためになにができるか。大切なお客様のために今何をすべきか。この答をもとめて行動する経営者の方なら、伝説は生み出すことが出来ます。
そして、それが、お客様から経営者の耳に届いたとき、この事業をやっていて本当に良かったと思える瞬間があります。
しかし、それを拡げていくには、企業が変革するプロセスをいかに社員の言葉によって広められるか?ということにかかってきます。
さあ、あなたの会社では1店舗の成功事例を拡げる手法、もっておられますでしょうか?
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。