今週の儲かる繁盛店の視点 第164話:「成長チェーンとして変われる企業と変われない企業の違い」
「先生、地方は人口減で売上が少しずつ落ちてるのです。販促強化で何とか維持してるのですが、経費は上がってますし先が見えないのです」
先日、セミナーにご参加された、スーパーマーケットの社長からのご相談です。
—-すべての競合が販促強化してますか?
「同質競合だけですが・・・」
そもそも、今は昔と違って、同業種店だけが競合店ではありません。少子高齢化が進む中、インターネット通販の台頭と、コンビニやドラッグの大量出店が重なり、これまで通りのやり方をしていたスーパーマーケットチェーンにとっては、大きな脅威となっています。
よくあるのが、社内研修などで、自社の強みを強化し、弱みを見直す。といった教科書通り競合分析をやって、店ごとにどうやって戦うのか考えさせている。という話をお聞きします。
しかし、これだけでは企業として、どこから攻めていくのかを伝えず、店にとにかく戦って来い!といってるようなものです。これでは士気低下と経営への不満が募ってしまいます。
企業がとるべき戦略とは、全体を俯瞰しどこからやるのかを決め、店ではどうやるかを設定していくことで、優位に戦えるといえます。
一方で、数年前より、この激変に気づき、こうした取り組みをやってこられた企業では、着実に数値が変化してきています。
単純に、近くて、安いからその店に行くのではなく、わざわざ行きたいと思ってくれるお店づくりを掲げ、優良顧客を増やしていくために、どこから手をつけていくべきか?を企業として既にとりくんでいます。
お客様は、品切れであったり、商品鮮度、商品価格、レジのスピードや店員の接客態度。こういったことを改善しているかどうか?という点を無意識のうちに、判断しお店を選んでこられます。
苦戦しているチェーンに共通していることは、こうしたどこから変えていくか?という戦略をもっていないということです。
そして、チラシであったりや日替わり価格といった、どうやるかという目先のことばかりに翻弄され、そこに多くの時間をかけています。
チラシを連発すればするほど、店舗のコストは増え、手間がかかります。店舗コンディションは低下し、これがハイコスト構造を生み、店の客離れを招くことになります。
一方、店舗オペレーションのどこから改革していくのかを明確にしてる企業は、具体的なことは店舗に委任することで、店の余力とお客様は増えつづけています。
「それが出来ないから困ってるんです」という声が聞こえてきそうですが、
店舗ビジネスは、その企業のオペレーション力が決め手となります。
例えば、老舗のおいしいラーメン店であっても、店員が不愛想で商品を切らしてばかりであれば、やがてお客は来なくなります。小売りチェーンであっても同じで、そこの店にしか置いていない商品があっても、品切れや接客が悪ければ、すぐに飽きられてしまいます。
それは、いつでもお客様のほしい時に、商品サービス提供できる仕組みづくりをしつづけているかどうか?ということにかかってきます。
そういったことの仕組みづくりやトレーニングには、時間が必要となります。そのため、その資金を捻出していくのにローコストオペレーションが前提として必要となってくるのです。
よく言われるのが、ローコストオペレーションは「熾烈なコストカット」とか「リストラの一辺通りのコスト削減」とか「安売りをする企業がやること」といったイメージが大きいのですが、はたしてそうでしょうか?
残念ながら、全て関係ないと断言します。
むしろそういうことで一度や二度苦い思いで失敗をされた方、あるいはまだ取り組んだことがない方こそ、ぜひチャレンジしていただきたいことといえます。
オリンピックの水泳メダリスト選手は、体幹を強化するためにウエイトトレーニングをやります、しかし、それだけだとバランスが悪くなり記録が伸びなくなります。
自らを変えていくためには、股関節などの柔軟性を高めるストレッチを取り入れて、どの部分が弱みなのかを客観視し、強みにして自己記録更新を目指します。
企業も同じで、ローコストオペレーションには、それが出来るようになるためにトレーニングを繰り返しやります。
そして、多様化するお客様の要求に応えていくためには、改善ミーティングを行い、柔軟性を高めていかなくてはバランスを崩し、記録は伸びなくなります。
昨日の実績を超えるため、自社の弱点を強みに変えていくのは企業も同じと言えます。
業務改革としてローコストオペレーションに取り組んでいくことで、多様な意見が尊重され、それによって人時生産性は改善されていきます。
実際に改革を導入した店舗では、「風通しがよくなった」「公平な評価が期待できる」「働きやすくなった」という声のほうが圧倒的に多くなります。
小売業は、やはり、現場の店長やパートナーさんが明るくなるような取り組みでなければ、お客様に対しても快適なお買い物環境は提供できません。
詳しくはセミナーでお伝えしておりますが、
「業務改革は一日にしてならず」です。ローコストオペレーションの階段を一段登ることで、企業レベルは明らかに変わってきます。
これこそが成長小売りチェーンの目指すところといえるでしょう。
さあ、貴社では、この取り組みはじめておられますでしょうか?
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。