今週の儲かる繁盛店の視点 第177話:「本業強化のために研ぎ澄ましておくべきこと」
「先生、人時売上については全くノーマークでした、これから始めるにあたって注意点はありますか?」
先日セミナーに参加された、熱心な社長からのご相談です。店舗や競合を見て回り、これまで年間でかなりの販促経費をかけてこられたとのこと。
チラシはたまに当たるときもあるけど、基本的に思い通りには売れない。他社を圧倒するチラシと思われたい気持ちが強くて・・・といった効果の見えない取り組みに、危機感を感じておられました。
――― 思い通りに結果がでないのは、的外れなことを されてるからに他ありません。その戦略とは早期決別してください。とキッパリと申し上げました。
チラシや売場表現に多く時間をかけても、全体の売上アップにならない企業には共通点があります。
――― 朝の開店時に店舗コンディションは最高のレベルになっていますか?とお聞きしますと、皆さん「うっ」と言葉に詰まります。
申し上げるまでもありませんが、売る準備体制がしっかりと整っていないのに、チラシを連発したところで顧客満足度は上がりません。
例えば、開店が朝9時だとしますと、遅くとも8時30分には全ての売場の品出し、売場点検が完了してなくてはなりません。
ここの出来栄えが1日の売上を決定づけるわけですが、大事なことは、全ての商品が揃っているか?ということです。
「そんなの 当たり前のことじゃないですか?」という声が聞こえてきそうですが、
伊藤は企業の店舗を訪問したとき、必ず尋ねることがあります。
――― 昨日の品切れ件数は何件ですか?と
しかし、これを掌握されている経営者が少ないことを 遺憾に思っています。
冷静に考えてみればわかることですが、顧客にとって大事なことは、元売場にすべての商品がそろっているかどうか?というシンプルなことです。
しかし、実態は、チラシ商品の切り替え、商品大量陳列や派手な演出、コトPOPの準備、といったことに時間をとられ、「品切れ」という大事なことが見落とされています。
一方で、「品切れ」に対して、即座に答えることのできる企業では、経営が利益を出すポイントを明確にし、改善の手順があるため、人時売上が毎月更新しています。
断っておきますが、チラシがダメと言っているわけではありません。自社の品切れ件数も把握できていない状態で、チラシを打っても、ザルで水をすくっているのと、同じようなものだからです。
そういう意味では、チラシは店舗業務を煩雑化させ品切れを誘発します。チラシを週2回、3回と訴求されているところは、その対策なしにやり続ければ、お客様は「いつも欲しい商品が品切れしてる店」とあきらめて、来店されなくなります。
実際に品切れ件数を調べてみるとわかるのですが、少ない店でも1日150アイテム、多い店ではその倍以上ある店もあります。
仮に、商品単価200円で、売場陳列数24個とすると、1日72万円の売上損失で、年間だと2億円以上にもなるのです。
「それだけで 売上が上がると思えない」という声が聞こえてきそうですが、
これに、真摯に向き合うことで、売上回復だけでなく、一度は離れた顧客も再び捉えることができます。言い換えれば新規顧客が増えるわけで、売上客数は一定の確率で増えていくこととなります。
詳細は セミナーでお伝えしていますが、大手のマネをし、経費をかけチラシを連発したり、目先の改装投資をしたり、過剰な大量商品陳列といった、一瞬の目立つことにこだわるチェーンには、ムダな大金をつかって弱体化してもらえばいいと考えています。
これから勝ち抜くチェーンがすべきことは、本来お客様が求めることに、焦点をあて、無理せず人時生産性を向上する手法で、社員・顧客・株主に利益還元できる企業となることです。
さあ、まだ 貴社では、一瞬の目立つことにこだわりますか?それとも店舗生産性に焦点をあてていきますか?
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。