今週の儲かる繁盛店の視点 第200話:「強く長く 成長していくチェーンと低迷チェーンの違い」
「先生 店長の考え方が全く変わりました!」
プロジェクトが一段落された、とあるチェーンの経営者の一言です。
これまで、こちらのチェーンは、チラシ部数の増大、移動スーパー、宅配、昼夜のタイムセール等々、といった売上を上げることだけを徹底してやり続けてこられました。
ところがここ数年、人件費高騰により利益が残らない状態が続き、売上拡大戦略から、人時売上戦略に大きく舵をきりました。
同時に業務改革のプロジェクトに着手し、目下、着実にそのステップを上がり続けています。
社長曰く「人時を、目標を達成の 社内共通用語として活用できたことで、結果が変わり、それが自信になりました」とても嬉しそうに語っておられました。
今だから言えるのですが、プロジェクトキックオフ時の店長はといいますと、少し不器用感が漂う、おっとりタイプでした。
正直申しまして、ちょっと大丈夫かなあ、というのが第一印象でした。
社長主催のプロジェクトにいきなり呼ばれ、「いったい何がはじまるのか?」「ただでさえ、忙しいのに、これ以上何をやらされるのだろうか?」「また、休みが取れなくなるのでは?」といった、店長の頭上には、漫画の吹き出しのように、それらの言葉が描かれていそうです。
その店長も、回数を追うごとに、不安は消え、いつしか、1年後には自分の言葉で意見が、言えるように明るく変わってきました。
そして、社長からは「一番変わったのは がんばってくれた店長です。プロジェクトメンバーもよくやってくれました。これからもよろしくお願いします」と、部下を誇らしげに語られる社長ご自身が一番変わった。と私は思っていまして、軌道に乗せることが出来て本当によかったと思っています。
一方で、こういった取り組みに、躊躇されているチェーンはといいますと、昨今の人件費高騰は、予想以上に早く進んでいることから、収益悪化は免れません。
業務改革とは、一言で言いますと「今までの店舗業務のやり方を変えていくこと」です。
そもそも、これまでのやり方は、一体どこで決まってきたのだろうか?と考えてみますと、社長の指示を受け、本部の各部署が、決定してきたこととなります。
そういう意味では、社長の近くにいながら、その本丸となる、店舗運営部が「そのやり方を変えていく」のが最もふさわしいと言えます。
しかしながら、店舗運営本部自体が、自ら進んでプロジェクトを立ち上げたり、自ら動いて、業務改革を実践していくという行動はしません。そのため、収益は良くならならないのです。
店舗運営本部は権力部署でもあるゆえに、誰もが感じていても、誰も口にしない、ということから、誰にも変えようがなかったという一面もあります。
「うちは、店舗運営部が意見を集めて改善をすすめている」というチェーンも中にはおられると思いますが、
――――では、人時売上目標は前年比どれぐらいですか?とお聞きすると
「2~3%」くらいです。と小声になります。
2~3%というのは、わざわざ業務改革部署をつくって、努力して作る数値目標ではありません。
運が良ければいくかもしれないというレベルです。
もう少し言えば、風が吹けばとんでしまうような低い目標では、人件費高騰のご時世では赤字からの脱却がはできません。
前職時代もこのようなことで、低迷が続き、リストラによる早期退職をせざるをえないことがあり、私自身も苦渋の決断をしてきました。
その時「二度と同じ過ちを繰り返してはいけない」と、意を決し、業務改革部を自部門傘下におさめ、その半年後に赤字体質を脱することが出来、そこから上昇気流に乗せることが出来たのです。
業務改革が進まない理由の一つに、改革を仕切ったことのない人に、その目標予算を組ませてはいないか?ということがあります。
そもそも、改革をやったことない人間に仕組みを作らせるせること自体が、無理というものですが、改革部門としてその目標を掲げることがその第一歩となるわけです。
その目標値を実際に作らせてみるとわかるのは、そこからでてくる人時売上の目標はすべて前年ベースであって、これでは、本来出来るモノも出来なくなってしまいます。
理由は簡単で、現状の利益の出ていない、やり方手順を真似したところで、何回やって同じ結果になるため、いつまでたっても利益が出る日がこないのです。
人間の体と同じで、大病を患い、手術をしなければならない状態になったとき、家族は状態を伝えることは出来ても、医者でなければその病状判断をし、治療をすることはできません。
そういう大病の経験のあるかたならお分かりになると思いますが、本当に本人もご家族も大変で、二度とそうならないために、術後は、普通の人以上に 健康に気を使うようになります。
先のチェーンも過去に、店舗数と売上拡大を続け、それが祟り、ここ数年で店舗閉鎖するといった、大手術をしてきまました。
弊社ご相談にお見えになられた時は、業務改革プロジェクトスタート時に、
―――仮の人時目標を決めましょう。と言っても、
「それでも高すぎるかもしれません」と言って中々決めることすらできませんでした。
今では、売上先行型から脱却し、人時売上目標値に向かってうごきその目標に手が届くようになったことをきっかけに、企業として息を吹き返し、次々と新たな手を打ち始めるようになられました。
これからが、さらに伸びゆくチャンスでして、新たな人時売上げ目標を掲げ、日本一の生産性の高いチェーンになるべく次のスタートをきったわけです。
すでにそのプランはスタートしていて、やるべきことも決まっています。
そしてそのゴールは目標は、最高益を毎年更新しつづけることにあります。
このように、長期にわたって、数値を更新し続けるためには、打つべき手を土俵際で考えていては間に合いません。
土俵の真ん中で、立ち合いの時からどこで、勝負を決めるか、戦略をもっているということが重要になります。
年度始めとなり、これから12カ月52週のどこで、結果を出せば年度が黒字になるか、そのためには、いつから手を打たなければならないか?ということとなります。
さあ、貴社では、まだ、名ばかりの業務改善を唱え続けますか?それとも、結果が変わる業務改革で長く強い企業を目指しますか?
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。