今週の儲かる繁盛店の視点 第206話:「店舗は儲かるカタチになっていますか? 」
「先生、うちはスーパーではないのですが、業種が違っても人時生産性を上げることはできますか?」
――――業種業態関係なく効果上げることが可能です。
とキッパリ申し上げました。
私の前職は西友ですが、実際にお手伝いさせていただいた企業のものと、伊藤独自の視点で戦略人時として体系化し、多くの企業にご活用いただいております。
中には、個別相談で「西友(の現場)で上手くいった話を(うちの現場で)真似てうまくいくのでしょうか?」とか「GMSやスーパー以外の専門店チェーンでの改善事例はあるのですか」といったご質問もお受けすることはあります。
そういう意味で、違和感を持たれた方がおられるのも、自然なものなのかもしれません。
昨今マスメディアなどでは、製造業のモノづくり発想による現場発の改善が、常にクローズアップされています。
こういった言葉のせいかどうかわかりませんが「改善をは現場に聞かなければならない」とか「顧客の意見を拾わなくてはならない」といって、なんでもかんでも、現場に聞いて回わる方もいらっしゃいます。
いわゆる、改善は現場に聞き「悪い部分だけを改めて良くする」という狭義的な視点で部分改善を真似てやろうとすると、業種が異なれば、当然それは全くそぐわないことばかりなわけで、商品が変われば、全く役にたたないことになります。
実際、経営者でも「今、何が効果がありそうなのか情報交換しましょう」と言って取引先に競合情報を聞きまわる人や「同じ業種で上手くいっている改善事例でいいものは無いか?」とたずねてくる人もいます。
企業の経営手法や考え方の相違なので、そういった人たちにとやかく言うつもりはありませんが、もし弊社にご相談に、来られたとしたら、私はただちに「そんなことは無駄ですから、おやめになったほうがいいですよ」とハッキリお伝えすることにしています。
製造業の例で言いますと「ハイブリッド車」で、プリウスが登場するまで、誰も「低燃費の車が無くて不便」「電気で動く機能がないと不便」などとは言ってはいません。
それどころか、当時「電気で走る車があったら便利だともいますか?」という質問をしたとします。使ったことのない人は、「今使っている車で不自由していないから要らない」とか「価格も高いんでしょうから自分には買えそうにないから要らない」といった反応を示すことでしょう。
通販のAmazonも、もし、当時「本のネット販売があったら便利と思いますか?」と質問してもAmazonを使ったことない人は、「急がないから本屋さんで間に合う」といった反応をしめすことでしょう。どちらも前評判は決して高くなかった、この2つですが、共通していることは、だれも見たこともない「収益モデルで答えを創り出した」と言う点です。
小売チェーンの西友の例でいえば、そもそも「深夜にスーパーが開いてないと不便」と誰も言っていません。
もし、当時「深夜のスーパーがあったら便利だと思いますか?」と質問したとします。使ったことのない人は、「コンビニがあるし不自由していないから要らない」「昼間しか買わないから必要ない」といった反応を示すことでしょう。
しかし、それが、他と一線を画す総合スーパーとして「収益モデルで答えを創り出した」わけです。
そういう意味では、人時売上への取り組みも同じで、まともに見たこともない、使ったこともないツールに対して「使わない理由」や「欲しくない理由」を「取引先との情報交換」や「好事例情報収集」を聞いて、国内チェーン企業の経営者が何もしないことに、何の意味があるのかということに、ひとりの経営者として、違和感をもっております。
メディアからは「人手不足がチェーン経営不振理由」「GMSチェーンは衰退産業」「これからはネット通販の時代」という情報が出回ることで、その横並び意識に拍車がかかり、チェーン業界の人時生産性への取り組みが遅延していると考えます。
過去、西友もその一社であったわけですが、グローバル企業として、海外企業のスピード感や多様性に触れていますと「やらない理由をこちらが一つ思いつく間に、海外チェーンはやる理由を一つ思いつきその差は2となります。
さらにやらない理由をこちらが2つ思いつく間に、海外チェーンは、やる理由を2つ思いつくきその差は4になる」というふうに差は広がるばかりでであったということです。
つまり、どんなに素晴らしい仕組みやノウハウがあっても、単に、情報をとろうとするだけなのか、自らが真剣に考え主体的に動くかどうかということで、その差は倍々と広がっていくことに常にさらされていたことが、この戦略人時の必要性を強く感じたのがきっかけといえます。
実際に お手伝いさせていただいている企業では、非効率業務改善項目を集めるための、店舗ヒアリングミーティングをやります。
しかし社長自身が考えのないまま、プロジェクトリーダーにこの仕切りを丸投げすると、全く意見が出てこないか、不平不満ばかりが出てきます。
一方で、社長が主体的に、経営としてやらなくてはならない骨太の企画をもっていて、こういうのはどうですか?という聞き方をすると、相手は真剣に考えて答えてくれますし、納得できる理由も得ることが出来ます。
そこで賛同が多ければ経営として進める判断ができるわけです。
こうして出てきた 非効率業務は必ず実行できますし、人時生産性向上に必ず結果となって反映してくることとなります。
この業務改革で儲けが上がる理由は、業種や規模に関係なく、主体的に人時を、自社の業務内容と照らし合わせ、本来あるべき儲かるカタチを創るからといえます。
さあ、貴社でも、主体的に儲かるカタチ、創っておられますか?
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。