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今週の儲かる繁盛店の視点 第219話:「人時生産性の向上に成功するチェーンと失敗するチェーンの違い」

「先生 人時が下がらないのです」

先日お見えになったとあるチェーン経営者からのご相談です。

自社で、レイバースケジュールを作っているとのことですが、店舗からこれでは人時が足りないと、意見が出て、人時が増えてしまったというのです。

――――人時数値の整合性は、どこで確認していますか?とお聞きすると

「LSP担当者が算出してくるものを使っていますが・・・・」

――――先月のタイムカード打刻率は何パーセントですか?

「それは何でしょうか?」

――――そもそも、タイムカード打刻率も把握されないままでは、人時数値に、整合性があるとはいえません。
LSP担当者はこれを日々確認し、運営部長に対して、100%遵守するように指導すべきです。

とハッキリと申し上げました。

「人件費を下げたい」と考えるのは、どちらの経営者も同じです。

実際に、業務改革を進めるにあたっては、これから実施する内容や、工程について、関係する部署に、筋道を立てて示せるように、「論理的に体系化」しておくことが絶対条件となります。

一つの考えに基づいた、一貫性がなければ、年単位で改革を進め、毎年利益更新させていくコトは不可能ですし、皆が勝手な思いこみで進めてしまったり、全ての施策が、行き当たりばったりで、その場しのぎの対応になってしまうからです。

そのLSP担当者が作成した「作業指示書」はどうやってつくったのか?お聞きすると、どこかのネットで貰ってきたフォームを使い、表題を自社流のタイトルに書き替え人時スケジュール表と置き換えて作成したもの。でした。

念のため、申し上げておきますが、LSPは導入しキチンと活用できれば、何千万はおろか、何億、何十億といった、利益に変わる話です。
これを、適当に見よう見まねでやろうとしたり、何の権限や責任もない、担当者任せでやろうというのはどういうおつもりですか?ということです。

社員の立場からすれば、基本的に、自分の基本給からしか、物事の価値判断をしません。本人にとって、それが、自分の人生の金額に対する尺度だからです。
そのため、担当者本人からすれば、どこかで使えそうな無料ソフトをネットで探してきて、実務の中で手直しながら使いこなしていけば、最もコストをかけずに上手くやっている。
自分は、会社に対してすごく貢献していると信じて疑わないのです。

しかし、社長の「人時が下がらない」の言葉の中にあるように。その結果、膨大なムダが放置されつづけ、時間が浪費され、知らぬ間に確実に会社を傾けていってるのです。
「LSPで人時が下がらない日数×全従業員の人件費」が確実に銀行口座から消えているのです。

貴社には、何人の社員さん、パートナーさんがいますか?

1カ月の給与はいくらですか?

これが1年遅れるといくらになりますか?

実際に計算してみてください。どれだけの損失になるか?そしてそれが、間違った判断をしていることに、直ぐにわかることと思います。

そもそも、担当者にLSPを任せて その担当者が率先して、運営部長に「この部分にムダある、改善してください」と意見するなどといった、担当者自身の立場が危うくなるようなことをやってくれるだろう。と考える方が、どうかしているということです。

業務改革とは、経営戦略です。経営者が旗も振らず、ゴールも示さず、金も出さず、担当者任せにし、部分的に使えそうなツールを当てはめ、表面的にやろうとすれば、瞬く間に人件費は膨らみあがり悪化するのは、火を見るよりも明らかです。

運営部長や店長にしてみれば、効果の上がらないツールについては、真剣にとりくむことはありませんし、そもそも、それを使ってどうやって人時生産性をあげるのか?説明がなければ、単に入力するだけで、何の応用もできないことになります。

「作業指示書」や「LSP」を導入するということは、システム投資はもちろん、業務改革部といった教育組織、その入力時間のコストが必要になります。

まともな企業であれば、改善投資計画をつくり投資回収率ROIを算出して、その回収進捗をみていくわけです。しかし、ネットでタダで入手したものであることから、企画書はおろか、計画書もないのです。

これが、資金の無駄遣いを引き起こす、最大原因ということになります。事業は投資があってそれをどう増やし、次の成長戦略に再投資させていくか?というのが命題です。
タダで仕入れたものが、売場で売り続けることができないように、タダで入手したものは、使いにくく、効果を出すことが出来ないからタダなのです。
無駄な作業を担当者にやらせ、その作業を全店舗に365日やらせているのです。 

チェーン経営にとって、タダほど怖いものはなく、それが高コストの温床になっていていることに 気づかなくてはならないのです。

店舗のエレベーターやエスカレーター、またレジや冷蔵ケースなどは、目に見えるカタチがあるので、設置には投資計画があり、必ず保守契約を締結します。いざというときは保守サービスが駆けつけ対応をし、安心安全が担保されることになります。

LSPのようなシステムソフトは、目に見えませんし、目の前に危険を感じるものがないことから、先のチェーンのように、タダでもできると勘違いしている経営者がいるのは驚きます。ここは、現場が悩んだり、機能が停止したりすることが最大のロスとなり、1年後の利益に大きく影響するわけです。

LSPではありませんが、私の指導先でも、似たようなソフトを1店舗分のお試し無料システムソフトを使い導入していたものの、2店目以降は、金がかかるので担当者判断で導入せず、各店に膨大な作業量になって、人時が一向に減らないままであった。という笑い話は、ウソのような本当の話です。

一方では、人時生産性のゴールを示し、LSP運用の投資計画を立て進めているチェーンでは、毎年確実に、次のステージで生産性を上げ続けています。
上がらない月は、何も施策を経営として考えていなかったことが、明確になる為、経営として、決して気を緩めません。
それらをサポートする仕組みとしてシステムが正しく稼働しからに他ならないからです

現場は どこ店舗も同じものは一つもないわけで、担当者任せに、それぞれに合わせていけば膨大なコストがかかります。

しかし 経営の本質はどこでも同じで、それは抽象概念としてもっておかなければ、ならないわけで、こうした業務改革を進めるために、それに基づき、投資を行い成長を目指すわけです。

大事なことなので、繰り返しますが、業務改革を成功させるには、経営として旗振りを行い目標を達成させることです。

見えにくい事だからといって、担当者に丸投げした時点で、雪だるま式にコストが増えはじめ 衰退チェーンとして坂を転げ落ちていくことになります。見えにくいシステムソフトの投資だからこそ、最も経営が主導権をもって動かなくてはならないと言えるからです。

さあ、貴社では、まだ、タダ思考で、高コスト体質を続けますか?それとも、事業計画として、着実にローコストオペレーションのステップを登り続けますか?

今日も最後までお読みいただきありがとうございました。


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