今週の儲かる繁盛店の視点 第236話:「企業の個性の活かし方で成功するチェーンと失敗するチェーンの違い」
「うちには 個性の強いベテランパートさんが多いのですが、それを活かし人時生産性を上げることはできますでしょうか?」
とあるチェーンの社長からのご相談です。
――――ベテランであろうが、何であろうが、個人に依存したやり方は、これからはすべて通じなくなります。とキッパリ申し上げました。
現状の「人に仕事がついている」会社のあり方に対し、これからは「仕事に人をつけていく」やり方に変わることとなるからです。
理由は簡単で、人口が増え働き手の多かった時代は、人に仕事を振っても回わすことが出来たわけですが、これからは、労働人口減によって、少ない人数でより良いサービスを提供出来る仕組みが必須となるからです。
とは言っても、実際に無駄な作業を減らし、利益に結びつく作業に集中させる。と言葉では1行2行ですんでも、やるとなると大変です。
人時生産性を改善していくためには、いろいろな実態調査をしていく訳ですが、なかには、効果があると思っていたことも、実はあまり効果がなかったということが、結構な数となって出てきたりします。理論上では、そういった業務の入れ替えをどんどん進めていけばいいわけですが、一度人に仕事がついてしまっていると、そう簡単にはいかないものです。
実際に、先の会社の社長さんが店を回った時、数件の品切れがあったので「この商品の発注量を増やすようにしてもらえますか?」とパートナーさんにたずねると「○○さんの休みの日に、勝手に修正したりすると怒られるので出来ません…」と「えっ?」と耳を疑う答えが返ってきたそうです。
また、別のお店を回った時に、品出しがされていない商品が通路に残っているのをみて、社長が「どうして品出しをしないのですか?」と聞くと、「ここは○○さんの担当ですから、手を出すと怒られてしまうので…」という答えが返ってきて、ここでも、思わず「うーん?」と言葉に詰ったそうです。
このように人に仕事がついていると、なにもかも、その人がいない動かないため、お客様に安定したサービスが提供できず、結果的に人時生産性は下がっていきます。
一方では、早くから「仕事を人につける」体制に移行し成果を出している会社もあります。
全国の優れた商品を発掘し丁寧に売りながら、裾値商品はどこよりもお安く提供するという「いいものをより安く」という企業方針をブレずに、貫こうと頑張っておられる会社です。
ほんとにこれを突き詰めていくと 実に奥の深いものがあり、だからこそそれを突き抜けることで追従者が現れないことにも納得がいきます。
優れた良いものは、世にたくさんあるわけですが、それを 見つけることから始め、導入し、売れるようにしていくことは決して楽なことではありません。
「あら、前から欲しかったこの商品、いつはいったの?」とか「今日は、この商品のために遠方から1時間かけて買いに来た」というお客様から声をかけられたりすれば、店としては こんなに嬉しいことはないわけで、頑張って導入した甲斐があった。という気持ちになるものです。それは、ワクワクする楽しいことですし、導入することで、売上も上がります。
しかし、こういった商品で利益が獲れるようになるには、何度も何度もその商品の魅力を伝える努力が必要ですし、定番フェースの取り方やエンドでのPRも重要になってきます。
ある意味、並べて価格訴求すれば売れるナショナルブランドの商品のフェース減らし、マイナーな商品にフェースをとっていくわけで、その認知にかける時間を考えれば、正直いって、粗利をとるのがやっとといったところだからです。
ここで最も大切なことは、マイナー商品を売れ筋に育てていくためにかかるコストを捻出する仕組みづくりが必須で、それがなければ、たとえ売上は増えても、締めたら減益だった。ということになりかねないからです。
この資金繰り問題を解決するために、「人についた仕事から仕事に人をつける」という社長の号令のもと、大きくやり方を変える方向に舵をきったことで、自社の得意な商品発掘力で利益を伸ばす道筋を、見いだすことが出来たといえます。
社長曰く、「観に来られる企業の多くは、目新しい商品ばかりに注目しがちですが、問題は人時生産性が上がらなくては、これはできないことです。まだまだ道半ばです」と、とても謙遜されますが、その改善のスピードと取り組みの情熱が、社員とお客様の心を動かし成果となって表れているのは間違いはありません。
個人に自由に仕事をさせて、利益がとれた時代は終わりです。これからは、企業が個性を創り上げていくために、仕事に人をつけた収益の仕組みをつくり、その再現性を高めていくコトです。
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