今週の儲かる繁盛店の視点 第241話:「流れに乗ろうとして失敗するチェーンと流れを作って成功するチェーンの違い」
「パートナーさんとアルバイトの人時はほぼ半分になりました。日々各店の人時を確認していくと、やるべきことが次々と見えるようになり現場に活気がでてきました」とあるチェーンの経営者からのご報告です。
――――目標が射程距離に入りましたので、気を抜かずに頑張っていきましょう。とエールを贈らせていただきました。
この会社も、最初から全てうまくいったわけではありません。
ここに来るまでは、厳しい中でも投資コストを捻出し、足りない部分は、人海戦術の手作業で涙ぐましい努力をされた結果といえます。
費用効果を生まない研修や、チラシ計画、自己満足的な演出や販促、勤怠ルール…といったものをプロジェクトチームが徹底的に見直してきた成果といえます。
今までは、ざっくりした時間管理のタイムカードも、システム化し1分単位ですべて勤務管理体制に移行することが出来ました。
これは、システムと問題と思われがちですが、人の問題であることは言うまでもありません。
よくご相談やセミナーにお見えになる経営者の方の中には、「サービス残業なんて、チェーン業界からなくなるわけない」とか「そんなことしたら残る企業が無くなってしまいますよ」と、いまだにこういったご発言をされる方がいるのにも驚きます。
――――管理職を含めサービス残業を容認している会社は、今後、消えて無くなります。とキッパリと言わせていただいております。
理由は簡単で、日々の売上が正しく出ない企業で、収益が上がる事がないように、正しく人時がつかめていない企業で、人時生産性が上がることは絶対ないからです。
それを是正せずに、労働力搾取をくり返す企業の行く末には破綻しかない。といっても過言ではありません。
「うちは人時ぐらいちゃんとだ出している」といった声も聞こえてきそうですが、
――――今、最も注目されているのは、残業の付かない管理職です。この層の総労働時間をカウントせずに人時生産性を出してもそれは全く意味をなさない。ともハッキリ申し上げています。
よく見受けるのが、大型チラシが訴求されるたびに、レジや品出しアルバイト不足人員の穴埋め作業にあたる、店長や副店長の姿です。
本来は、アルバイトがやるべき作業を、残業のつかない店長や管理職がやっている問題は、それを顕在化させていない経営の課題だからです。
「業務量が多く、人がいないから仕方がない」という声も聞こえてきそうですが、
――――経営課題として、その業務量を減らすための企画を、いくつ今年実行する予定ですか?
とお聞きすると
「うっ!」と皆さん言葉に詰ります。
そういう企業に限って、目先の売上確保に大きな販促チラシを連発したり、催事や移動スーパーといった外部売上までごちゃまぜにした、表面売上を増やすことばかりやって、それを人時で割って店舗人時売上と謳ったり、もうメチャクチャなわけです。
自社売上を人時で割って算出するのが人時売上であり 自社粗利と人時の関係がその企業の人時生産性であることは、今も昔も変わりありません。
それを売上さえ上がれば良いと妄信している企業に、今後の未来はあるわけがないのはいうまでもありません。
なんでもそうですが ルールを守るプレイヤーがいて、ゲームが成り立つわけで、経営も同じく、法というルールを逸脱して、「うちの人時生産性はこれぐらい」とわかったつもりでいても、コマを進める手立てが見つからないだけでなく、プレイヤ―として消えるのは時間の問題と言えます。
一方で、こういったことをキチンと管理する仕組みに変えた企業では、管理職は残業しません。困っている各部門の相談や解決に時間をキチンととったうえで、自ら手本となり定時にあがります。
部下や、パートナーさんは、その姿を見て時間内に仕事を終わらせる習慣が身に付くことで、計画外残業はほぼなくなります。
ひとりひとりがゆったりとした職場になる為、笑顔がたえず、様々な業務改善の意見が活発に交わされ、それが本部に連鎖し、社内の風通しが良くなります。
そういったことが、業務量削減のヒントとなり、経営はそれに着目し、利益効果の少ない業務を、すみやかに簡素化もしくは廃止を指示します。
本部も、やみくもに人員を店舗にだすという乱暴なやりかたをせず、無駄な指示を出す部門を廃部統合し、本部自体もスリム化していくことになります。
先の企業は、こうした取り組みを やり抜こうと決断し、結果が出るまであきらめなかった。このことが、自社で業務改革を遂行する社員の基礎力、応用力を着実に高めたと言えます。
明けない夜明けはありません。闇夜であってもよく見れば、星あかりが進むべき道を照らしだしてくれます。
問題は、「儲からない繰り返し」から「儲かる連鎖を引き起こす」やり方を発見する力であり、そこで結果をだそうとする行動力です。今、改革事例のトップを走る企業も、必死に目を凝らし、一筋の星の光に活路を見いだし、自ら流れを作ってきたから今の繁栄があるわけです。
さあ、あなたの会社でも、この機会に人時生産性を基に、高収益企業としての繁栄を手に入れてみませんか?