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今週の儲かる繁盛店の視点 第260話「業務改革を実施した事業所は、全く別の会社と考える。それは!?」

「先月は,人事異動があって、その引き継ぎ、慣れていない人への訓練に時間がかかり、苦戦しました」とある企業の営業会議の報告です。

それを受け

「それは、毎年のことなんだから、そういう時間をとってやらなきゃだめなんだよ」Y社長からのダメ出しです。

運営部長と店長は、無言です。

Y社長は既に業務改革が完了した店舗なのに去年と、同じことが起きていることが気になっていました。

店長曰く

「今回の人事異動で、青果売場のマネジャーが本部に異動になり、他店舗から新しいマネジャーが着任した」とのこと。

その会議でプロジェクターに映し出された人時割LSP結果を見ると、予期していたことが起きていました。

新任マネジャーは張り切って売上を取ろうと人員を投入し、本人も早出残業をしていました。
よく見ると、売上とは関係のない部分に、人員が多かったり、本来必要なところに人が不足していたりと、ちぐはぐなスケジュールになっています。

月で締めてみれば人件費は大幅超過、このたった一つの売場によって、店トータルの人時売上を落とすこととなったからです。

ヒアリングをしていくと、現場のパートナーさんからも「マネジャーはLSPが分からないみたいで過去のスケジュールをコピペして運用していた」とか「やっと慣れたのに、また元に戻ってしまった」と不満の声が上がっていました。

店長が人時割LSPの使い方をOJTで教えようにも時間があわず、かといって前任者から引き継ぎで動かせる程度の甘いものではないことから、そのまま、着任して一カ月が経過していたのです。

かつて一日のスケジュールは、マネジャーの頭の中にあったため、周囲はマネジャーの機嫌を伺いながら、空気を読むことに気を使っていました。

今は、それが図表として出てくるので、ゴールに向け皆が作業に集中しています。

ムダが少ない分、多少商品量が増えても売場の立ち上がりが早くなり、売上も着実に上がるようになってきています。

加工作業のある鮮魚や惣菜といった部門であればなおさらで、何時までが加工作業、何時から品出し作業、何時から…という具合に各自作業が図上でハッキリと示されることから、ムダやダブリは減少します。

数年前は、人がいない、欠員がでたら、即 欠員補充!と誰もが会社の問題は「人手不足」と思っていました。ところがこうしてよく見ていくと、ムダややり直しが多く「業務量が増えていた」ことが問題だったことが分かったのです。

今、人時売上が改善できている店舗は、「人が減ってもできるように業務量を2割3割と減らしている店」です。Y社長が厳しい発言をしたのは、各店が作業指示書も組まずに、バラバラなやり方で「人が足りない」っていうのはおかしい、各店舗が勘違いしていないか?という背景があったからなのです。

しかし 肝心なことは、ここからになります。

――――Y社長 ここから先が大切です、だれもが、実験店の成功を喜んでいる人ばかりではないのです。 伊藤は申し上げました。

この活動を各店に広めていくためには、各自がネガティブに考えているものを丁寧に、ポジティブへと転換させていくコトが重要です。

理由は簡単でメーカーや製造業と違い、パートナー社員もひとりの顧客であり、乱暴なやり方をすれば自社で買いものをしてくれなくなってしまうからです。

また、初期に導入された店舗は、本部も我々も全面的にバックアップし、モチベーションを維持しながらやってきましたが3店、4店…と増やしていくと徐々に手薄となっていきます。

細かく教えられないことから、「あそこの店は 特別だから」とか「うちには そこまでやってくれなかった」といった嫉妬心が「やりたくない理由」に変わり表に出てきます。

これは人の多い企業の宿命なのですが、これを防ぐにはきめ細かな不満の解消と、改革店舗が良い結果になっていることを、経営会議、店長会で進捗報告を欠かさずアナウンスしていくことです。

言い方を変えると、環境の変化に対応するために、これまで「多くの人手をかけてやってきた企業」から、「人が少なくても運営できる企業」へ生まれ変わることを定期的に、社内広報してくということです。

「全ての業務量が3割減ったら…」「人手がかかる業務を半分以下にすることができたら…」といった野望を抱き、Y社長は行動してきました。

Y社長は、某外食大手を尋ね、人時の取り組みについて情報交換をされたり、店舗の作業効率改善のための物流の見直しであったり、IT関連の展示会には欠かさず出席して新ツール導入に活発に動いています。

新しい取り組みの糸口は社長の行動を通じてしか、見つけることができないからですが、人時売上をあげるヒントや答を導き出すために、違う世界に目を向け行動することで、目指すゴールへの戦略を確固なものにしていると言えます。

「下手の考え休むに似たり」と言うように、考えを持たぬまま他社がやっていることをネットや本・雑誌で見聞きするのであれば「ほう、なるほどね」ということになります。

一方で、先んじて行動し、実際に取り組もうとする企業は、「ん! そういうことだったのか」と発する言葉が変わってきます。

それは傍観している企業の何十倍、いや何千倍という利益を生むヒントを手にする、最もエキサイティングな瞬間です。

業務改革の舵取りで大事なことは、新しい発見をしたときのエキサイティング感であり、それこそが業務改革の多店化を進めるときに大きな牽引力となります。

社長の夢を実現するのは業務改革部門です。彼らが思考停止とならないように新しい情報の糸口を見つけ、会社として柔軟性と拡張性をもつことは、いつの時代でも必要な事だからです。

さあ、貴社では、今日の延長上に5年後、会社があると思いますか?それとも、別世界の会社をヒントに、高い目標を掲げ動き始めていますか?


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