今週の儲かる繁盛店の視点 第262話:「運営部長の動きが遅い本当の理由は社長の・・・。人を育てるのが上手い会社が絶対にやることとは?」
著書の講演会などで「先生、いい話ありがとうございました」、「感銘を受けました!」といっていただくのは、こちらとしても嬉しいものです。
一方で、残念なのは、社に戻って「いい話を聞いてきました…」と社長に報告し、自己満足で終わることです。
さらに、心配なのは、「いい話」を聞いてきましたと、運営部長の話が長くなり、部内の人時生産性が低下することです。
感銘、感動話の効果は一瞬ですが、会社の業績回復に必要なのは行動計画と忍耐力です。ビジネスは学校ではありませんから、感動話だけを伝えてもプラスになりません。とハッキリと申し上げています。
新しい発想にもとづく事業を社内にしっかりと根付かせるためには、仕組みが必要で、その前に「ああだ、こうだ」と情報が先走りすると、かえって邪魔にさえなる。とまで申し上げています。
当社が社長に限ったセミナーを開催する理由は、プロジェクト前にビジョンと行動計画を設定し、その情報管理をすることが、結果を変える最短の道と考えるからです。
これを、社員に「ちょっと勉強してきて、報告して」と丸投げすると、社長として、知っておくべきことが伝わらず、ネガティブ情報(リストラ・残業カット)が先行し、最悪の場合、企業衰退を招くこととなるからです。
例えば、
①プロジェクト自体が上手くいかなかった時⇒だれが責任をとるのか?
②途中で暗礁にのりあげたら⇒どのように前に進めていくのか?
③プロジェクト予算はどう捻出する⇒ どうやって投資回収策するのか?
こういったことは、プロジェクトが始まると、誰かしらが担うことになります。それが上手くできそうにないと感じた時「自分は苦手=自分の評価が下がる」といった思い込みによる誤解が生じます。
そのため、講演会に参加した運営部長から社長に伝わる報告は…
①(プロジェクトが)出来ない理由。
②(プロジェクトを)やらない理由。
③(プロジェクトの)予算がとれない理由。
といった、何もやらない報告に置き換わってしまうのです。
一方、成長している企業の社長にとっては、自らどうやって利益を増やし成長軌道を描くのかが大事であり、自社を題材に仮説をたてることができるか否かこれを求めてセミナーに参加されます。
会社の業績が上向きであるならばまだしも、風が吹けば飛んでしまうような利益率だとすれば、一刻も猶予もないことは社長ご自身が一番わかります。
そのため、社内の「出来ない」を「出来る」に変えていくには、そういった手法を社長自身が探さなくてはなりません。
理由は、社内の優秀と思われてる人材でも、2年3年とその力を発揮し続けることはできないからです。
あいつなら大丈夫、と昇格させても1年もたたないうちに、現状の業務をこなすだけの指示待ち人間になってしまうのはそのためで、こうした人材を育成する仕組みをもたれない、会社の悲しい現実です。
ビジョンを設定し、行動計画が明文化されたプロジェクトは多くの解決プロセスを体験できることから、経営幹部の育成するという、決してお金では買うことの出来ない効果があります。
プロジェクトがキックオフされますと、
①出来ない理由⇒会社が責任をとるなら 個人のリスクは会社のプラスになる。
②やらない理由⇒会社が背中を押してくれるなら 解決手法を入手できる。
③予算がとれない理由⇒予算が無くても 利益を増やす手法を知ることができる。
と、すべてがリセットされ、ひとりひとりが考え、違いを生み出します。
「そうは言っても 予算がない…」という声が聞こえてきそうですが
おっしゃる通り、店舗運営本部は経費予算を持ちません。そのため、社内を変革の重要なポジションにもかかわらず、運営部長が、宣伝部や人事部、開発部、施設部といった主管部門に頭があがらないのも事実なのです。
そういった旧態依然の組織のまま、運営部長の仕事は社内調整役といった雑務に翻弄され続ければ、個店力は脆弱化するいく一方です。
そもそも、運営部長個人に問題あるのではなく、運営部長としての役割機能が不明確なことが問題なのです。
――――店舗運営の仕事とは何でしょうか? こうお聞きすると・・・
「店の売上利益をあげること…」という答えが返ってきます。
冷静に考えてみればわかる事ですが、店舗運営部長の役目は売上利益を上げることだとすると、商品改廃、チラシ、設備の改修全ての決裁権限を持つことになります。
ところが、この中のどれ一つとして、運営部長には決裁権限がないのです。そのために、運営部長が主管部門に陳情に出向くといった、妙な構造が生まれるのです。
断っておきますが、運営部は売上を上げなくてもいいという事ではありません。
利益をあげるために「人時売上高を上げる」ことが、店舗運営部の役割になるということです。言い換えますと、少ない人数で店舗を運営できるようすることです。
店舗運営部は、店舗人件費という、もっとも高い経費を握っている重要部門であり、その改業務改善要望を、主管部門となる宣伝部、人事部、施設部門にリクエストしていくことになります。
冒頭から申し上げているとおり、元来 人は変わることを望まないもの。だからこそ、各主管部の心の扉を開くことができるのは社長しかなく、プロジェクトには必ず、社長に入っていただくことも重要なポイントとなります。
詳しくは、セミナーでお伝えしていますが、
ここのスタートのボタンの掛け違いさえ間違わなければ、業務改革を成功させることが出来、他社より2割~3割少ない人員で業務が回せるように変わっていきます。
さあ、貴社では、まだ社員の意識改革を呼びかける啓蒙活動だけで終わらせますか?それとも、構造部分に踏み込んだ、利益と人材生み出す業務改革をスタートをさせますか?