今週の儲かる繁盛店の視点 第268話:「売上不振の時こそ〇〇の使命を自覚すれば、勝ち残る道は必ずみつかる」
「目標人時売上を実現するためには、どういうふうにまわしていくか、店舗にも考えてもらわないとと思っています。最初から何でも揃っていったら考えないですから、人が減って、そこでやりくりする考えを引き出すようにしていきます。」
今 人時売上上昇中のチェーンの社長のひとことです。
――――いいですね。その調子でいってください。伊藤は申し上げました。
人時売上目標の達成にむけ、その手法を他の店に伝授するには、業務改革部門を設定し、能力も人員も強化していかなくてはなりません。
店舗から業革部に異動した人には、自分の使命は何なのか?を自問自答して理解することから始めます。使命がわかっている者と、そうでない者では力の発揮のしかたが全く違ってくるからです。
それがわかると、各店の店長への教育、各主管部門との折衝する力がつき、問題解決能力が一気に花開します。教育のための教育ではなく、実務で数値を動かしていくための実践トレーニングこそが、大事であるということです。
こういった視点で、店舗の生産性の低い業務を探しサポートしていくことが、残業続きで休みもろくに獲れなかった店の管理職の超過勤務問題を解決していくことになります。
店舗の業務量が減るということは、本部の業務も同時に減り、会社として労働時間も減ってきています。
今、地域の雇用対策委員会の会議などでは、企業価値を、引き上げ魅力ある企業にするにはどうすべきか。そのためには働く人の環境を改善し、満足度の高いと感じる会社をつくる。
そうなれない企業はますます厳しくなっていく。というレベルで話し合いが行われています。それを対岸の火事と見るか?自らの使命と捉えるかで大きくやるべきことは変わってきます。
日頃 伊藤は、こちらの社長とお話しする時も「出来そうなことを選り好みして、やっていたら間に合いません。やるべきことをすべてやる。そう全部です。そしてその中で効果のあるものを自社の血肉にしていくのです」とハッキリ申し上げています。
健康な体をつくっていくためには、食事の好き嫌いなくバランスのいい食事が大切なことは言うまでもありません。体にいい食事をすることが第一であり それが疲れをためず、集中力を上げることに繋がり、自分自身の生産性を引き上げます。
しかし、そういったことに注意しておかないと、体にはあまり良くないとわかっていても、長年の食習慣や味覚があって食べてしまい、メタボになったり疲れやすくなったりで、集中力があがらず生産性が落ちます。
もちろん自分一人ではできません、家族の協力も必要ですし、そういった本を読んだり、それを改善維持するサポートを受けなくては、永年の悪習慣は絶つことができないからです。お金もかかりますが、健康はお金では買うことはできません。
企業も同じで、まずは、生産性を引き上げたいのであれば、良くないものは摂取しないということが 前提になります。はじめのこの部分が重要で、そのためには、何がいいもので何が良くないのか?それを区分けしていくコトが必要です。これが 業務項目の棚卸であったり、非効率業務の設定です。
ここは、根幹の部分ですので、ここで実態部分の洗い出しが甘いと、全てが狂ってきます。
よく話題になるのが「売場手直し」を固定業務するのか変動にするのか?はたまた 無くすのか?といったことです。
仕事が無い時の 天下の宝刀「売場手直し」業務。 全ての商品は整理され、お客様の方を向いて前だしがされている。商品破損やホコリがついていない状態。…というのが近しい表現だと思います。
もちろん、そうあったほうがいいのは誰でもわかります。しかしこれを毎日何人時と固定業務に設定すると何がおきるか?ということです。
あるチェーンでは、こんなことがありました。
売場が乱れる 夕方のピークにあわせて、手直しタイムというのがあって、15時になると手の空いている人は 全員出てきて売場手直しをするというもの。実際に調査をしてみると、出てきたのはたった2人。それも今年配属になった新入社員とパートさんです。
二人は ペットボトルと缶詰の補充をしてます。「品出し」です。それが終わると、ペットボルの売場を二人で手直しし、その時間は15分でした。
この中で、手直しかけた時間は0.5人時ですが、その殆どは品出しであったということと、他の品出しの無い売場の人は誰一人でてこなかった。という事実です。
これが、売上にどう影響するのかその計測方法も、結果もどこにも示めされていません。
人時売上とは、一人当たり時間売上高のことです。売上貢献にできたかを示す指標。それぞれが、売上に直結している仕事を最優先に設定するこれがLSPの役割になります。
本当にこの業務が必要ならば、その効果結果が表示されるべきでしょうし、その業務ができなかった場合は、何故できなかったのかを追求して改善すれば数値がかわるので人の再配置改善ができます。
しかし、それが表示されないということは、効果が曖昧であり、そのためにやることも曖昧になり、単に品出しの延長ということになります。
極端な話、「今、手が空いてる人は手直しやって・・・」時間をつぶしていてください。ということを経営は容認している。ということです。
こういいますと「うちは伝統的に 昔から〇〇時になったら手直しをやると決めてるんです。」ということを言われます。
語弊を恐れず申し上げるとすれば、それで掲げた人時売上目標が達成できているならそれはそれでもいいと思います。利益が出るか出ないかといった人時売上実績を前に、昔からやっている「伝統的な業務」を理由に変えようとしないことがどういう結果になるか? それを変えるのは「誰」の使命かを考えたことがありますか?ということです。
その昔 人口が増え続け、まだ競合店もそんなになかったころ、チラシの初日に、お客さんが押し寄せた時の興奮を再び得る時のために、仕事の無い人を大量に抱えることもできました。
しかし、少子高齢化で人件費が高騰する中、余分な人員を1人でも増やせば、その重さに耐えきれず崩壊の一途をたどることになります。
こういった正しい判断ができる、自社の人間が育つことで、人時売上改善の、再現性は高くなっていきます。現場へのクイックリーな対応力により、社内の満足度や、店舗の対顧客満足度は大きく改善していきます。
人時にこれまで全く触れたことのない企業でも、ゼロからやり方を学ぶことで、結果の出かたが大きく変わります。
しかし、そのやり方をマスターするには、決まった時間が必要です。なんでもそうですが1年かけてやることで、その前年改善幅が結果数値となってハッキリとわかるからです。結果がついてくることは各自の自信に繋がります。
ですから、出来る限り数多くの人間を業革業務に投入することで、多店化展開の速度は比例します。
小売チェーンの場合、こうしたコンセプトをもとに、実務を通じ確立させた改革方法を示した書籍はありません。
小手先の販促、接客、管理等々といった考えだけで、店舗オペレーション全体をどうするか考えてこなかったからです。
そのため人時生産性をどうするのか?そういったことを導く師が世にいなかったのも問題の一つです。
居ないのであれば、自社にぴたりと合ったものを探すか、社長自らが構築し、そのノウハウを自社社員にインストールさせればいいのです。
経営者が結果のでる台本を書き上げ 1人ひとりがその使命を自覚することで、結果は見違えるように変わってくるものです。
さあ、将来の素晴らしい結果を実現させるため 共に頑張っていきましょう。