今週の儲かる繁盛店の視点 第318話:「過去のやり方に時間をかける企業は、人手を欲しがります。その理由は、ごまかしやすく、他人のせいにできるから!」
都道府県をまたぐ移動が可能となり、忙しくなってきました。6月で、消費税がらみのキャシュレスの補助も終わり、ようやくふつうの環境にもどりつつあります。
この先、小売りチェーンのプラス与件は、レジ袋の有料化のみとなり、ここから先が、成長できる企業と、出来ない企業の分かれ目となります。
先日も、とあるチェーンを訪問すると、「先生の言われる 思想や考え方は、重要ですね。単にやり方を真似ただけでは、出来ないことを徹底して伝えています」目下プロジェクト推進中の社長の一言です。
――――社長を中心に一丸となって頑張っておられるからに他ありません。がんばっていきましょう。とエールを送らせていただきました。
というのもこちらの企業、数年前、「せめてこのくらいは…」といって棚上げになっていた、いくつかの課題がありました。
それが、昨年あたりから解決できるように状況が変わってきています。
最初にお会いした時、会社は経費カットの真っただ中でした。会議室のテーブルは老朽化でグラグラして、手でしっかり押さえないと、契約書のハンコも押せない状態であったのを憶えていますが、今ではすっかりきれいになっています。
月を追うごとに、店舗看板や外壁塗装、駐車場アスファルト修理、パソコン機器の刷新が進み、昨年からは業績賞与の支給も実施。次々と課題をクリアし経営状態が良くなってきている様子が伺えます。
では、どの企業も同じようにノウハウさえ教わりさえすれば、同じ結果になるのか?というと現実はそれほど甘くはありません。その必要性を痛感し、絶対に自分のものにするといった信念なくして、経営を上向きにさせることはできないからです。
たまにあるのが、業務改革プロジェクトを「勉強会」といったスタンスでやろうとすることです。そこではノウハウを聞くことに満足し、横展開どころか、最初の店舗もおぼつかない状況でなかなか結果がでないことが起ります。
一方で、このプロジェクトを社長が「自社を題材にした実験」と捉える企業は、まるで違う結果が出てくるということです。最初の店で結果を出すのは当たり前、そこから 横展開していくために、何が足りないのか真剣に取り組まれるからです。
実はその答やヒントは、その会社の中に隠されていることがたくさんあります。
わかりやすい例で言えば、人が入れ替わっても、商品は日々発注され、売場に並びます。時間が来れば清掃スタッフが床やトイレを清掃してくれます。何も言わなくても新聞折り込みチラシが毎週訴求されます。
これは、本部の主管部門が仕組みをつくり、店舗がそのとおりに動けるようにしているからにほかありません。その仕組みがあることで、運営部長や店長は、初めて動かすことが出来る訳です。
業務改革も同じで、人時売上を上げられる店を、10店、20店と増やしていくのであれば、この業革改革部門の人員強化は、必須ということになります。
こう言いますと
「本部人員は少ない方がいいのでは」という声が聞こえてきます
実はこちらの企業も、「本部人員は増やさないもの」といったそういった暗黙のルールがあって、社長さんですからプロジェクトやってくうちにようやく気づいてこられて、「いやいや、業務改革部を作らないでやってたら大変なところでした」と笑い話で済んだ経緯があります。
なんでもそうですが、新たに始まる事業の先行投資は必須であり、業務改革もその例外ではないということです。見方を変えれば、成長チェーンほど、これ以外にも数多くのプロジェクトが並行して走っています。
したがって、本部人員は本来増えていなければいけないはずなのに、縮小均衡に向かっているとすると、衰退に向かっている危険な状態といわざるをえないということです。
また、人口増の頂点のバブル崩壊後と、人口減少時期における、チェーン経営本部の役割は全く変わってきていています。
当時、チェーン各社は本部を中心にとしたコスト削減策として、店に多くの人を出したことから、難しいことを考える必要のない、人海戦術に依存するようになっていきました。
その後、労働人口減少による、賃金高騰を目の当たりにし、人海戦術を見直すべく、人時売上に着目するようになってきたと言えます。
人時売上を上げるには、少ない人数で 店舗運営をすればいいわけですが、習慣化した人海戦術を変えていくのは、想像以上に難しく、無理に人を減らすと、収益悪化を招く恐れがあるということです。
それを 解決していくのが業務改革部であり、商品部や施設部といった主要部門と並んで、今後大きな役割を担うようになるということです。
なんといっても、最大の経費を使っている人件費内容に踏み込み、それを生産性の高いものに振り替えることで、利益の出かたは大きく変わってくるのは誰の目にも明らかです。
ところが、いざ蓋をあけてみると、人件費は金額以外、一切なにも記録が残っていないということに気づきます。
それは、頭数・人時…等々は、改善を進めていくための必要データですが、これが揃わないと、
「今まで通り 全て人がやる人海戦術」といったやり方から、「人がやると生産性が下がること」を見抜くことが出来ないのです。
例えば、店長会や部門会議をオンライン会議にすることで「人が移動する業務」は無くなります。
また、人時売上に関するデータを自動出力させることで店長が活動するのに必要なデータが朝一で揃うことで「人がエクセルで表をつくって計算する業務」は無くなります。
詳しくはセミナーでお伝えしていますが
このような細切れの時間を集め 塊にして可処分時間を増やしていくことによって、企業ごとに店舗の生産性の高い作業指示書を創り上げていきます。
この作業指示書では一人一人の動きを表示し、ガラス張りにすることで、作業をごまかそうとする人や、作業の遅れを人のせいにするといったことが掌握できるようになることから、これだけでも、人時売上の二けた以上の改善は十分見込めるものだからです。
さあ、貴社では、まだ、従来型の人の使い方を続けますか?それとも、「人を活かすための時間」を創ることで成長の道筋を見いだしますか?